WORKSHOP
連載『アイドルソングの作り方 〜 HOW TO MAKE “IDOLSONG”』by CHEEBOW 〜 第10回:アイドルソング作家トーク Vol.1(後編)ゲスト:タニヤマヒロアキ&福井シンリ
- 『アイドルソングの作り方』第1回:アイドルソングの魅力
- 『アイドルソングの作り方』第2回:ライブアイドルという存在
- 『アイドルソングの作り方』第3回:アイドルソングができるまで
- 『アイドルソングの作り方』第4回:アイドルソングを作る(作曲編)
- 『アイドルソングの作り方』第5回:アイドルソングを作る(作詞編)
- 『アイドルソングの作り方』第6回:アイドルソングを作る(アレンジ編)
- 『アイドルソングの作り方』第7回:アイドルソングを作る(仕上げ編)
- 『アイドルソングの作り方』第8回:作曲ができるようになる方法
- 『アイドルソングの作り方』番外編:『なのはなイントネーション』提供アイドル発表!
- 『アイドルソングの作り方』第9回:アイドルソング作家トーク Vol.1(前編)ゲスト:タニヤマヒロアキ&福井シンリ
“週末音楽家”CHEEBOWさんがアイドルソングの作曲法を指南する連載、『アイドルソングの作り方』。今回は前回に引き続き、作編曲家のタニヤマヒロアキさんと福井シンリさんをゲストに迎えたCHEEBOWさんとの鼎談を掲載します。お二人はどのようにしてアイドルソングの作家になったのか、どうして継続してアイドルに楽曲を提供できているのか、アイドルソングの作家に必要なことなど、タメになる話がたくさん飛び出します。アイドルに曲を書きたい!と思っている人はぜひご一読ください(前編はこちらで読めます)。(取材協力:株式会社フックアップ)
歌って気持ちいいメロディーかどうかというのはとても重要(タニヤマ)
——— みなさん曲作りのフローは大体決まっていますか?
福井 そうですね。ぼくは最初にドラム、ベースのルート、歌メロの3つを1コーラス分打ち込むんです。ドラムは軽いXLN Audio Addictive Drumsを使って、歌メロはAIR Music Technology Xpand!2のテナー・サックスの音色で。それで1コーラス分出来たら、ピアノでコードを付ける。付けると言っても、頭の中では鳴っているので、それを入力するだけなんですけどね。ピアノ音源は、最近マイ・ブームのUVI Grand Piano Model Dを使います。あとはシンセを入れたり、生楽器に差し替えたりと……。
CHEEBOW ストリングスとかは最近何使ってる?
福井 意外かもしれないですけど、ストリングスもXpand!2が一番多いですね。
CHEEBOW 福井さんはMIDIシーケンサーとしてAvid Pro Toolsを使っているのがおもしろいよね。どうしてPro Toolsを使ってるの?
福井 パソコンで曲を作ろうと思ったときに、ショップで店員さんに薦められたのがPro Toolsが入ったMboxというパッケージだったんです(笑)。それからもう10年以上Pro Toolsですね。今は最新のPro Tools 12をRMEのオーディオ・インターフェースと組み合わせて使っています。
CHEEBOW タニヤマさんは?
タニヤマ ぼくは鍵盤を前に、ギターを抱えて作業を開始します(笑)。DAWは、CHEEBOWさんと同じSteinberg Cubase Proですね。ギターはオーディオ・インターフェースに繋ぎっぱなしで、すぐに録音できるようにしてあって。鍵盤ではCubase標準のHALion Sonic SEのヤマハ S90の音色が鳴るようにしてあります。
——— 最初に打ち込むのは、やはりドラムですか?
タニヤマ いや、とりあえずギターを弾きます(笑)。ギター小僧のようにエレキ・ギターでリフを弾きながら曲のアイディアを練るんです。
福井 そのときはドラム・ループとかクリックとか鳴らしてないの?
タニヤマ 鳴らしてない。で、カッコいいフレーズが出来たと思ったら録音して、そこで初めてBPMが分かる(笑)。そしてドラムを入力してギターを重ねて、大体1コーラス出来たら、あとはひたすら自分で歌って歌メロを考える感じですね。歌っては消し、歌っては消しの繰り返しです。
CHEEBOW 歌メロを鍵盤で考えるんじゃなくて、自分で歌いながら考えるんだ。
タニヤマ そうです。歌メロをシンセでなぞるのは本当に最後の最後ですね。クライアントや歌い手の女の子が分かりやすいように一応シンセでなぞるんですけど、最近はそれもあまりやらなくなりました。ぼくが歌った仮歌で十分なんじゃないかなと思って(笑)。もちろん、女の子に合わせてキーは変更するんですけど。なぜ自分で歌って歌メロを考えるのかというと、歌っていて気持ちいいメロディーかどうかが知りたいからです。歌っていて気持ちいいメロディーかどうかというのはとても重要で、だから主メロだけでなく、ハモも自分で歌って入れてしまいます。
CHEEBOW それで時間はどれくらいかかるの?
タニヤマ 本当に作っては消し、作っては消しの繰り返しなので、時間はかかりますね。最低2週間はかかります。
CHEEBOW 浮かんだメロディーを修正するんじゃなくて捨てちゃうんだ。
タニヤマ ギターのリフに関しては“後で使えるかもしれない”と思って残しておくこともありますけど、歌メロに関しては良くないと思ったら消してゼロから作り直しますね。
——— そのときの歌メロは鼻歌のような感じなんですか?
タニヤマ “なんちゃって英語”でしっかり歌詞を付けて歌います(笑)。歌メロを考える上で歌詞の母音と子音って重要なんですよ。ですから、“なんちゃって英語”の母音と子音を、その後に作る歌詞でもそのまま引き継ぐこともあります。
——— ギターを使わずに曲を作ることもあるんですか?
タニヤマ たまに鍵盤で作ることもありますけど、ほとんどギターで作りますね。
——— コード進行とかメロとかが手グセで似たような感じになってしまったりというのはないですか?
タニヤマ ぼくは無いです。聴く人が聴いたら“タニヤマのリフだ”と感じるのかもしれないですけど、作っている当人は自分の手グセというのはよく分かってないですね。そのかわり、できるだけ似たような曲にならないように、使うエフェクターを変えたりして、最初に“遊ぶ時間”を設けるようにしているんです。
——— やはり作家と言えども、何かしら楽器は出来た方がいいですか?
タニヤマ そうですね。めちゃくちゃ上手い必要は無いと思うんですけど、多少は出来た方がいいんじゃないかと思いますね。音楽理論に関しても、もし時間があるなら早めに始めておいた方がいいんじゃないかと。ぼくはいまだによく分かってないですけど(笑)。仕事をしてて、音楽理論が分かってたらいいなと思うことはあります。
CHEEBOW ぼくは楽器、まったく出来ないんですけど、弾けた方がいいのかなと思うことはありますね。ただ、弾けなくても作家にはなれます。
福井 ダンス・トラックだったら楽器出来なくても作れちゃいますもんね。
タニヤマ 終わってみたら何の楽器も手に取ってなかったなということはありますね。あ、ギターもベースも弾いてないやという。
CHEEBOW 楽器出来ないと言いましたけど、学生時代吹奏楽をやっていたので、ホルンは昔吹いていたんです。ホルンのフレーズって、ポップスで言うところの裏メロなんですよ。だから裏メロを作るのは結構得意で。最近はまったく吹いてないですけど、ホルンやってて良かったなと思いますね(笑)。スコアも読めるのもホルンをやってたからですし。
タニヤマ CHEEBOWさんの曲作りはどんな感じなんですか?
CHEEBOW ぼくは曲を作ろうと思ったら、XLN Audio Addictive Keysのスタンドアローン版を立ち上げて、鍵盤を弾きながら鼻歌で歌メロを考える。
福井 へぇ。プラグインではなく、スタンドアローン版なんですね。
CHEEBOW そう。いきなりCubaseは立ち上げない(笑)。で、コードとメロディー…… 1コーラス全部でなくてもサビの部分だけでも良いのが出来上がったらCubaseを立ち上げる。それでサビのメロディーがフィックスしたら、AメロやBメロのコードだけを先に考えることが多いですね。
福井 コードだけ先に作るんですか。
CHEEBOW そうなんだけど、コードを先に作るとあんまり良いメロディーが浮かばないこともあるので、もちろんメロディーに合わせてコードは変えたりする。あまりにもBメロが良くなかったら、コードごとザクッと消しちゃったり(笑)。それでもコードを先に作るのは、とりあえず1コーラス分のコード進行が出来てしまえば、その後の作業が行き詰まることがないから。先にメロディーを作ろうとすると、良いメロディーが浮かばないと作業が行き詰まっちゃたりするじゃない。でもコード進行だけでも1コーラス分作ってしまえば、あとはそれを良くしていく作業だから行き詰まらないんですよね。ぼくだけかもしれないですけど。
——— コードはCubaseのコード・トラックに入力するんですか?
CHEEBOW そうです。あとはリズムのループと歌メロを入れて、それからコード進行を手直ししたり。コード進行を手直しする段階では、もうリズムのキメとかも考えていますね。今日はせっかくなので、最近のみんなのお気に入りの機材とかについても聞きたいな。
タニヤマ 最近のお気に入りは、Line 6 Variaxですね。ぼくはギターを抱えっぱなしで作業をするので、1本でエレキとアコギが切り替えられるVariaxは本当に便利な機材だなと感動してます(笑)。それと最近手に入れたVital Audioのギター・ケーブルも良かったです。単なるケーブルなんですけど、あれで音が激変しました。
福井 アイドルソングの作家になりたい人向けの記事なんだから、ギターとかケーブルとかよりソフト音源やプラグインの方が参考になるんじゃない?(笑)
タニヤマ そうだね。ギターのプロセッサーとしてはNative Instruments Guitar Rigを使ってます。これはシンちゃんから薦められたんですけど。
福井 まだGuitar Rigなの? ぼくはもう使ってない(笑)。最近はもうPositive Grid BIASばっかりですね。ギター・プロセッサー系のプラグインは全部持っていて、空間系の音色だとGuitar Rigが良いこともあるんですけど、歪み系の音色は断然BIAS。質感が凄くいい。ベースに関しては、昔からIK Multimedia AmpliTube Ampeg SVXばっかり使ってます。シンセベースにも必ずAmpliTube Ampeg SVXを通して、歪み感を補正して太さを作ってますね。
CHEEBOW ぼくは最近買ったSpectrasonics Keyscapeですね。容量が77GBもあってロードに時間がかかるんですけど、凄く良いです。最近はあればっかり弾いてますね。あれを弾いてると自分がピアノが上手くなったような感じがする(笑)。
福井 使っていてテンションが上がるというのは大事ですよね。
——— ドラム音源はどんなものを?
タニヤマ 基本はToontrack Superior Drummerで、あとは楽曲に合わせてFXpansion BFDやAddictive Drumsなども使いますし、いろいろですね。
福井 ぼくもその3つで、他にはSpectrasonics Stylus RMXやNative Instruments Batteryなども使います。
CHEEBOW ぼくは基本Addictive Drumsで、シンセ・ドラムはBatteryですね。
福井 クラブ系の曲では、コルグ ELECTRIBEをサンプリングした音をBatteryで鳴らしたりもしますね。
運営さんからすると、ぼくらは作家であると同時にサウンド・プロデューサーでもある(福井)
——— みなさん、自分の作曲法のここが独特、他の人と違うというのはあったりしますか?
タニヤマ ドラムを鍵盤ではなく、電子ドラムを叩いて入力している人はあまりいないかもしれないですね(笑)。タイミングに関してはどっちで入力してもいいと思うんですけど、ベロシティに関しては鍵盤で入力するのと電子ドラムで入力するのとでは全然グルーブが違うんですよ。ゴースト・ノートも自然に入力できますから。
福井 作曲法とは違うかもしれないですけど、もともとバンドをやっていたので、ドラムとベースだけで曲が成り立つように作っています。曲の土台というか、やっぱりドラムとベースは重要だと思っているので。
CHEEBOW 曲を作りながら、やっぱり自分はベーシストだなと感じることはある?
福井 そうですね。BELLRING少女ハート(現・There There Theres)とかは、自分はあのバンドのベーシストという立ち位置で曲を作ってしまっていますね(笑)。
タニヤマ 曲を聴けばすぐにシンちゃんの曲だと分かる(笑)。
福井 それは嬉しいですね。自分でも一発で福井シンリの曲だと分かってもらえるように作っているので。制作側からも、そういう曲が求められているんです。
CHEEBOW ぼくはみんなと違って楽器が出来ないので、クォンタイズやベロシティはほぼ一定なんですよ。ベロシティは後でエディットしますけど。だから音色で違いを出そうとはしていますね。でもある人から、“これだけ楽器ができないのに作曲やアレンジしている人も珍しいので、これはCHEEBOWさんの個性と言っていいんじゃないかな”と言われて、今はポジティブに捉えています(笑)。
——— お三方とも作り方はバラバラですね。
CHEEBOW それが個性に繋がっているんじゃないかと思います。愛乙女☆DOLLやLuce Twinkle Wink☆の曲を聴いて、“これはタニヤマさんだ”とか、“これは福井さんだ”とすぐ分かりますから(笑)。
タニヤマ 使う音色が違うのですぐ分かる(笑)。
福井 運営さんからは、きっとその個性が求められているんですよね。そしてその個性が、それぞれの作家としての強みになっているんじゃないかと。
——— クライアントに納品した楽曲にOKが出たら、そこでもう手を離れる感じですか?
CHEEBOW アイドルによって違います。東京のライブアイドルの場合、大抵レコーディングまで立ち会いますね。地方のライブアイドルの場合はそういうわけにもいかないので、音源を納品して終わりなんですけど。
タニヤマ そうですね。東京のアイドルだったら、レコーディングに立ち会って歌のディレクションも行います。ディレクションはかなりしっかりやりますね。“ハイ、ハイ、ハイ”と掛け声かけて(笑)。
福井 ぼくの場合は特殊かもしれないですけど、メジャーの案件でもマスタリングまで立ち会ってほしいと言われることが多いので、最後まで立ち会うことが多いですね。で、マスタリングが終わったものを聴かせてもらって、それでOKだったらひとまずその仕事は完了と。
CHEEBOW ぼくはトラックダウンとマスタリングに立ち会うことはまず無いですね。そこはもうお任せ(笑)。でも、楽曲の発表に関しては必ずと言っていいほどチェックします。お披露目ライブがあったら必ず見に行く(笑)。
タニヤマ ぼくも反応が気になったりするのでTwitterとかはチェックしますね。いま思ったんですけど、ぼくらは必ず歌割を作るじゃないですか。これはアイドルならではかもしれないですね。
——— 歌割と言うのは?
CHEEBOW どのメンバーがどの部分を歌うかというのを記したものを歌割と言うんです。歌割を作らないアイドルもいるんですけど、アークジュエル(註:多くのライブアイドルが所属する音楽事務所)のアイドルは大抵歌割を作りますね。事前に作らずに、レコーディングに立ち会ってその場で考えることもあります。
——— 次の曲ではこの子を立たせたいという運営側の意向もあったりするんじゃないですか?
CHEEBOW もちろんそういうのもあるので最初に話を聞いて。ぼくらが考えるというのは、そのアイドルの歌声をよく知っているからだと思うんです。
福井 運営さんからすると、ぼくら3人そうだと思うんですけど、作曲家/アレンジャーであると同時にサウンド・プロデューサーでもあるんですよね。
CHEEBOW そうだね。サウンド・プロデューサーだよね。運営さんが必ずしも音楽に詳しいわけではないので、ぼくらが音全体を見ている。これはライブアイドル特有のことかもしれないですけど。
福井 別に自分でサウンド・プロデューサーを名乗っているわけでないんですけど(笑)、やっていることはサウンド・プロデューサーだなと。
タニヤマ 確かにそうですね。
——— ファンの反応を見て、“あそこはこうしておけば良かったな”と思うことってありますか?
CHEEBOW ありますね。運営さんに言って直させてもらったこともあります(笑)。
タニヤマ 気にし始めると終わりが無いので、なるべく考えないようにしています(笑)。
福井 それはぼくもそう。
CHEEBOW ぼくはライブで見て、“あそこはやっぱりキック抜いた方が良かったな”と思い、キックを抜いたバージョンを作り直したこともあります(笑)。
自分が作りたいものではなく、求められるものを作れる人が作家に向いている(CHEEBOW)
——— アイドルソングの作家に向いているタイプと向いてないタイプってあったりしますか?
タニヤマ 個人的な意見ですが、アーティストとしてではなく、作家として仕事ができる人でないとダメだと思います。裏方に徹することができる人。
CHEEBOW 求められるものを作れる人ということだよね。自分が作りたいものではなく。
福井 加えて、歌う子たちが絵になるものを作れる人。要は職人でないとダメですね。アイドルソングの作家になりたい人の中には、“自分の曲をアイドルに歌ってほしい”と思っている人もいると思うんですけど、そういう考えだと多分通用しないですね。
タニヤマ ぼくらはそういうのが無かったから良かったのかもしれないね(笑)。
CHEEBOW 確かに。
福井 まったくこだわりが無かったからね。
CHEEBOW “こういう曲をアイドルに歌ってほしい”という明確なイメージがあるんだったら、アイドルになりたい子を募って運営になった方がいいと思います(笑)。最初から作家ではなく、プロデューサーになる。
——— ライブアイドルの数って増えているんですか?
タニヤマ 何かここ数ヶ月、解散したグループが多い印象がありますね。
CHEEBOW でもその分、新しいグループも増えているので……。ファンの数より多いんじゃないかなと感じるくらいです(笑)。
タニヤマ YouTuberと同じで、どこまでをアイドルと言うかですよね。大学のサークルとかで活動しているアイドルもアイドルとしてカウントするのか。そういうのまで含めると、本当に凄い数になってると思います。
CHEEBOW 確かに。運営が付いてなくて一人でやってる子も多いですからね。
——— 長い対談になりましたが、最後にアイドルソングの作家になりたいという人にアドバイスがあればお願いします。
タニヤマ とにかくひたすら音楽を聴いた方がいいと思います。アイドルソングだけでなくいろんなジャンルの音楽を。
CHEEBOW そうですね。AWAの新着ソングが毎週水曜日更新なんですけど、ぼくはあれを全部聴くようにしているんです。中には嫌いなタイプの曲もあるんですけど、世間ではどんな曲が聴かれているのかなって。
タニヤマ インプット無くてはアウトプット無しですからね。
CHEEBOW とにかくたくさん聴いて、たくさん作る、だよね。
福井 でも、たくさん聴いても作れるようになるわけではないので、良いと思った曲があったらそれをコピーしてみるのがいいと思います。その昔、鈴木Daichi秀行さんにも、気に入った曲があったらそれを完コピした方がいいよと言われましたし。楽器でもそうじゃないですか。まずは好きなギタリストのコピーとかから入りますよね。完コピに挑戦することによって、自分の得意な部分と苦手な部分を知ることもできるんです。
CHEEBOW 分かるなぁ。ぼくは耳コピが得意ではなかったので、バンド・スコアを買ってきて、それをそのまま打ち込んだりしました(笑)。高校のとき、当時はフュージョンが好きだったので、T-SQUAREとか。
福井 T-SQUAREは凄いですね(笑)。
CHEEBOW バンド・スコアの写経(笑)。そういえば前に福井さんに言われて耳コピで打ち込んだこともありましたね。やっぱり耳コピが得意ではないので、もの凄く時間がかかったんですけど、あれで耳コピがちょっと出来るようになった気がします(笑)。
——— CHEEBOWさんは、芸能雑誌の付録の歌本をコード進行を覚える参考書にしたとおっしゃっていましたね。
CHEEBOW そうですね。その話をギタリストのnipotanにしたら、彼も歌本を見ながらギターを弾いていたらしく、作詞のまいさんも歌本の歌詞を写経していたらしくて。みんな歌本でいろいろ学んだんです(笑)。
タニヤマ くじら音楽隊、すげぇ(笑)。
CHEEBOW でも歌本は良かったですよ。音楽理論とかよく分かってないのにコード進行を覚えることができましたから。それが何百曲と載っているので。
——— みなさんの話をまとめると、とにかくたくさん音楽を聴いて、たくさん曲を作る。あとは積極的に自分を売り込むと。
福井 アイドルソングに限らず、作家になるにはそれしかないと思います。
タニヤマ 最初は“作家になる”というのではなく、誰かに1曲買ってもらうというのを目標にするのがいいんじゃないかと思います。誰かに1曲買ってもらったら、そこから道は開けると思うので。とはいえ、いきなり買ってもらうのも難しいと思うので、曲ができたら誰かに聴いてもらった方がいいと思います。ぼくも居酒屋のお兄ちゃんとかに聴いてもらったりしてますし(笑)。
福井 そうですね。自分一人で作ってると、よく分からなくなってしまうことがありますから。
CHEEBOW 音楽のことをあんまり分かってない人に聴いてもらうのがいいよね。ぼくもウチの奥さんに聴いてもらったりするんですけど、ぼくの音楽活動にまったく興味が無い人なので、そういう人の意見は参考になる(笑)。
——— お忙しいところ、みなさんありがとうございました!
『アイドルソングの作り方』トーク・イベント開催決定!
予告しておりました『アイドルソングの作り方』のトーク・イベント、遂に開催が決定しました! 日時は5月12日(金)18:30開場/19:00スタート、場所は東京・渋谷のRock oN Companyです。当日はCHEEBOWさんがアイドルソングができるまでを解説し、さらにはSteinberg Cubase Proを使って制作のワークフローを実演。もちろん質問タイムも設けますので、興味のある方はぜひお越しください!(入場無料です!)イベントについての詳細や申し込みについては、こちらのRock oN CompanyのWebサイトをご覧ください。
『アイドルソングの作り方』第11回は、2017年5月2日(火)に掲載します。