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WORKSHOP

連載『アイドルソングの作り方 〜 HOW TO MAKE “IDOLSONG”』by CHEEBOW 〜 第9回:アイドルソング作家トーク Vol.1(前編)ゲスト:タニヤマヒロアキ&福井シンリ

“週末音楽家”CHEEBOWさんがアイドルソングの作曲法を指南する連載、『アイドルソングの作り方』。今回から2回にわたり、作編曲家のタニヤマヒロアキさんと福井シンリさんをゲストに迎え、CHEEBOWさんとのざっくばらんな鼎談をお送りします。お二人はどのようにしてアイドルソングの作家になったのか、どうして継続してアイドルに楽曲を提供できているのか、アイドルソングの作家に必要なことなど、タメになる話がたくさん飛び出します。アイドルに曲を書きたい!と思っている人はぜひご一読ください。(取材協力:株式会社フックアップ

How to make IDOLSONG

大学時代、4年間で300曲くらい作りました(福井)

——— この連載では初の対談ということになるんですが、まずはCHEEBOWさん、タニヤマヒロアキさんと福井シンリさんを最初の対談相手に指名した理由からおしえてください。

CHEEBOW いや、もう単に仲良しだから(笑)。ぼくらはクライアントも似ていて、3人ともアークジュエル(註:ライブアイドルが多数所属するプロダクション)の愛乙女☆DOLLに曲を書いていたり。この2人とはたまに呑みに行ったりしますし、作家仲間の中では特に付き合いが古いんですよ。

福井 あ、そうだったんですか。

CHEEBOW そうだよ。ぼくはアークジュエルの仕事をするまでは、こういう仕事をしたことがなかったから。そういえば昔、愛乙女☆DOLLが12ヶ月連続で新曲を発表したことがあったじゃない。あのとき、ぼくの後に曲を提供したのがタニヤマさんで、“他の人はどんな曲を作るんだろう”と凄く気になったんですよ。いま振り返ると、他の作家を意識し始めたのも、作家同士の付き合いが始まったのも、あれがきっかけだったのかも。芳川よしのくんとか、ヒゲドライバーさんとか。

タニヤマ そうかもしれないですね。

CHEEBOW いまだにあのときの人たちとは集まったりしているよね。

——— CHEEBOWさんがアイドルに曲を提供するようになったきっかけは、この連載の中で何度か語られているのですが、お二人のきっかけもおしえていただけますか。

タニヤマ ぼくは最初、作家になるつもりはなかったんです。その昔知り合いから誘われて、レコーディング・ディレクターのアシスタントをやったんですけど、その仕事を始めたときは世に出る音楽がどうやって作られているかさっぱり分からなかった。まさに右も左も分からない状態だったんですけど、ある人から“自分で音楽を作ってみれば、その流れが分かるんじゃないかな”と言われて、それで打ち込みで曲作りを始めたんです。なのであくまでも自分の勉強のために曲作りを始めたんですが、しばらくして“アイドルに曲を書いてみないか”という話をいただいて。それからですね。今から6年くらい前のことです。

CHEEBOW タニヤマさんのパターンは珍しいかもしれない。ネットに自分の曲を公開していたわけでもないでしょ。

タニヤマ そうですね。あとはもう石のように転がっていって、気づいたらこうなっていたという(笑)。

福井 ぼくは大学進学で上京したんですけど、当時ビジュアル系のバンドでベースを弾いていたんです(笑)。それで自分のバンド用に、大学4年間で300曲くらい作ったんですよ。ズームのRT-323(註:リズム・マシン)とボスのBR-8(註:デジタルMTR)を買って、ベースとギターは自分で弾いて。

CHEEBOW すごいね、300曲って(笑)。

福井 あの頃は曲作りが楽しくて仕方なかったんですよ(笑)。デモと言ってもちゃんとフル尺で、歌メロも自分で歌って、もう完璧に作り込んでましたね。

CHEEBOW みんな基本的に宅録好きだよね。特にアイドルソングの作家さんは、みんな宅録好きのような気がする。自分で音を重ねていくのが好きなんだろうね。

タニヤマ ぼくは宅録、あんまり好きではなかったです(笑)。

福井 でも、それだけ曲を作ってもバンドの方は上手くいかず(笑)。それでどうしようかなと悩んでいたら、音楽仲間から“福井くんは作家になった方がいいんじゃないの?”と言われて、“そうか作家か!”と思い、パソコンを買って曲作りをやってみることにしたんです。DAWは、Avid Pro Toolsを買って。でも曲はたくさん出来ても、作家になるにはどうすればいいのか分からない(笑)。それで当時はちょうどブログというものが流行り始めたときで、何かヒントはないかと気になる作家さんのブログを片っ端からチェックしていたんですけど(笑)、そうしたらある日、鈴木Daichi秀行さんがアシスタントを募集していたんですよね。“これはプロの仕事を知るには良いチャンスじゃないか”と思い、応募したところ見事採用していただいて。そこからはDaichiさんのアシスタントをしながら、ちょこちょこと作家活動をするようになりました。

CHEEBOW 福井さんは、最初にメジャーで提供したアイドル曲が、愛乙女☆DOLLのメジャー・デビュー曲(註:2014年リリースの『High jump!!』)なんだよね。

福井 そうです。知り合いの業界関係者がアークジュエルの社長と仲が良くて、その関係で“愛乙女☆DOLLというアイドルがいるんだけど、曲を書いてみないか”と声をかけていただいて。それで提出した曲が、たまたまメジャー・デビューの曲に採用されたんです。最終選考に残ったときは、“マジか!”と驚きましたけど(笑)。愛乙女☆DOLLの曲のおかけで、それ以降はアイドルソングが通りやすくなりました。なので仕事の大半は今でもアイドルソングです(笑)。

愛乙女☆DOLL『High jump!!』

——— CHEEBOWさんは自他ともに認めるドルオタですが、タニヤマさんと福井さんは?

福井 作家として関わるまでは、まったく興味無かったですね(笑)。ぼくが一番音楽を聴いていた90年代が、ちょうど(アイドルの)冬の時代だったというのもあるのかもしれないです。

タニヤマ ぼくは積極的に聴きはしませんでしたが、ミュージックステーションに出るようなアイドルや街で流れるようなアイドルソングは知っているという程度でした。

CHEEBOW タニヤマさん、全然違う仕事してたもんね。

タニヤマ ぼくは元バーテンダーですから(笑)。

How to make IDOLSONG

タニヤマヒロアキ

ドラマーとしてのバンド活動を歴て、作編曲家に転向。ヤなことそっとミュートのプロデュースを行いながら、Luce Twinkle Wink☆、MIGMA SHELTER等への楽曲提供を行う。Twitter:@hiroanarchy

クライアントにノーと言ったことは一度もない。どんな要望にも2つ返事で答えています(タニヤマ)

——— お三方ともきっかけはたまたまという感じですが、その後もアイドルソングの作家として活躍されているということは、ファンや運営サイドから楽曲が評価されているんだと思います。自分たちの楽曲のどのあたりが評価されているんだと思いますか?

CHEEBOW 何でしょうね。ぼくは楽曲というよりも、ライブで盛り上がれる曲が作れるとか、アイドルの良い部分を引き出せるとか、そういった部分が評価されているのではないかと思います。あとは納期を厳守するので、依頼する側からするとそのあたりも安心なのかもしれません。

福井 何でこの仕事を続けられているのか、いま改めて考えてみたんですが(笑)、ぼくの場合はプレゼン能力とスピードなんじゃないかと。アイドルソングと言うと、コンペや運営からの依頼で曲を書くというイメージを持っている人が多いと思いますが、ぼくは自分から運営サイドにプレゼンするんですよ。“こういう曲、どうでしょう?”って(笑)。かなり細かくディテールを詰めて、聴かせるデモも歌入れしたらそのまま発売できるくらいのクオリティで作って。

CHEEBOW 福井さん、本当に仕事が早いよね。

福井 ぼくは詞も書くんですけど、フル尺の楽曲で作詞から作曲、アレンジまで5日から1週間で作ります。最近やっているThere There Theres(註:旧名 BELLRING少女ハート。2017年2月に改名)の曲なんかは、作詞込みで2日もあれば作ってしまう。だから運営的に、“福井シンリに頼めばすぐに作ってくれる”というのはあるのかもしれません。

There There Theres

タニヤマ ぼくは何だろうな……。イエス・マンだからですかね(笑)。ぼくはクライアントからの依頼に対して、ノーと言ったことは一度もないんですよ。“こういう感じの曲が欲しい”とか、“いつまでに欲しい”とかいろいろ言われるんですけど、どんな要望にも2つ返事で答えています。

CHEEBOW さすがは元バーテンダー(笑)。

全員 (笑)

タニヤマ 曲調に関して言えば、しっかり浮き沈みを作り、ライブで盛り上がれる曲というのは常に意識していますね。それも評価されているのかもしれないです。

——— みなさんライブアイドル、いわゆる地下アイドルにたくさん曲を提供されていますが、ライブアイドルの楽曲制作依頼はどんな感じなのでしょうか。けっこう細かかったりするのですか?

タニヤマ ぼくの場合は、基本お任せのことが多いですね。

CHEEBOW ぼくはもういろいろです。凄く細かく言われることもありますし、すべてお任せという場合もありますし。この時期ですと、“春の卒業ソング”というざっくりとした依頼だったり(笑)。でも何か言われたとしても、緩い場合の方が多いかもしれないです。

タニヤマ お任せでやらせていただいた方がやりやすいんですけど、出来上がった曲を後で聴くと、細かく依頼された曲の方が達成感はあったりしますね。

CHEEBOW どっちの方がやりやすいかと言うと、ぼくは細かく依頼された方がやりやすい。本業がプログラマーなので、やっぱり仕様書がないと(笑)。

——— 制作依頼を受けたアイドルのことは、曲を書き始める前ににいろいろチェックします?

CHEEBOW 既存曲は絶対に聴きますね。ネットに無ければ、運営さんに言って貰います。現場に足を運ぶこともあるんですけど、最初はライブアイドルのことがまったく分からなかったので、現場の雰囲気が知りたくて通い始めたんですよね。それで“なるほど、こういう感じなんだ”と分かった。でも最近は、ライブアイドルだからと言って現場に迎合しすぎるのも良くないなと思っています。

福井 ぼくも既存曲は必ずチェックします。そのアイドルの雰囲気を掴むという意味もあるんですが、既存曲とぶつからない曲を作るためにも聴いた方が絶対にいい。どの曲も似通っているというのは、そのアイドルにとってマイナスになってしまうと思うんです。ぼくらは既に持っている武器の複製ではなく、違う武器を作ってあげなければというのは常に意識していますね。

タニヤマ ライブアイドルは週に2〜3回ライブやったり、本当に現場の数が多いですからね。同じような曲ばかりだと飽きられてしまう。あとはセトリのどこに入れても大丈夫な曲ということも考えます。

福井 既存曲と喧嘩しない曲ということですよね。

How to make IDOLSONG

福井シンリ

バンドでベーシストとして活動後、鈴木Daichi秀行氏のアシスタントを経て、作編曲家に転向。There There Theres『Upstairs Down』2曲提供。TVアニメ『デジモンユニバース アプリモンスターズ』ED曲『リトルピ』を含む、Ange☆Reve『Lumière 〜天使盤〜』『Lumière 〜堕天使盤〜』計7曲提供。Twitter:@shinri1223

——— 楽曲だけでなく、ブログやSNSなどもチェックしますか?

タニヤマ ぼくはしないですね。

CHEEBOW ぼくはめっちゃする(笑)。

福井 どういう子たちなのか気になったときに見たことはあります(笑)。

CHEEBOW ブログやSNSチェックすると、どんな子たちなのかよく分かるよね。ぼく以上に細かくチェックしているのが、作詞をお願いしているまいさん。あの人、気持ち悪いくらいチェックする(笑)。

福井 ぼくも詞を書くときはチェックしますね。

CHEEBOW タニヤマさんも詞を書くでしょ?

タニヤマ 書きますけど、ぼくはライブ映像を見るくらいです(笑)。

——— タニヤマさんと福井さんは、アイドルのパーソナリティーはあまり気にしないと。

タニヤマ いかにもアイドルというアイドルに曲を書く場合は、そういうものをチェックすることでヒントが得られることもあるんでしょうけど、ぼくが書いてきた曲は比較的そうじゃない場合が多いので(笑)。

CHEEBOW There There Theresってどんな感じで発注がくるの? 凄く気になる(笑)。

福井 “こういう感じの曲調で”と普通ですよ。ただ、運営の人がUKの音楽が好きなので、そういった感じのメロとオケにしないといけないんです。基本、J-POPのメロとオケはNG(笑)。具体的に“こういった感じのリズムで”とYouTubeのリンクが送られてくることもあります。プレゼン好きなので、ぼくの方から“こういう感じはどうですか?”と提案することもありますよ。

CHEEBOW へぇ。いま思い出したけど、タニヤマさんってギターのリフから曲を作るんだよね。

タニヤマ そうです。ギターのリフから作ることが多いですね。数十秒だけのギター・リフだけ送って、気に入ってもらったらワン・コーラス作るんです。

CHEEBOW それって歌メロはどのタイミングで付けるの?

タニヤマ 歌メロは第2段階、ワン・コーラスを作るときに付けますね。

CHEEBOW じゃあ最初は本当にギターのリフだけなんだ。

タニヤマ ギターのリフだけですね。福井さんが言っていたとおり、There There Theresは基本洋楽なので、歌メロもなんちゃって英語で付けます(笑)。作詞は後で(笑)。

——— ライブアイドルの曲にも、トレンドがあったりするのでしょうか?

タニヤマ ありますね。

CHEEBOW あると思います。でも最近はあまりに多様化していて、ひとくちにアイドルと言っても本当にいろいろですよね。アークジュエル所属のアイドルは王道という感じですけど、2人がやっているThere There Theresはアイドルソングと言うよりロックですし、ヤなことそっとミュートなんてオルタナですから(笑)。トレンドはあるとは思うんですけど、流行りのスタイルというのは無いかもしれない。

——— アイドルを手がけるときと、非アイドルのJ-POPを手がけるときで、作家としての関わり方に特に違いは無いですか?

タニヤマ アイドルの仕事は、クライアントとの距離が近いんじゃないかと思います。普通のJ-POPのアーティストですと、プロデューサーがいて、ディレクターがいてと、たくさんのスタッフがいますけど、アイドルの場合はプロデューサーから直で依頼がくることが多いですね。

How to make IDOLSONG

CHEEBOW

アイドルに曲を書きたいのなら、まずは行動を起こすこと。とにかく自分を売り込む(福井)

——— この連載を読んでいる人の中には、自分もライブアイドルに曲を提供したいと思っている人も多いと思うんですが、何かアドバイスがあればお願いします。

福井 まずは行動を起こすことだと思いますね。とにかく自分を売り込む。

タニヤマ そうですね。曲を書きたいグループの現場に行って、スタッフを見つけて、“曲を書きたいです”と話してみたらいいと思います。運営の側からすれば選択肢は多ければ多いほどいいと思うので、現場で“曲を書きたいです”と売り込んでくる人がいたら、たぶんウェルカムなんじゃないかと思いますよ。それでお眼鏡にかなえば、発注するでしょうし。

CHEEBOW なるほどー。ぼくは自分から営業したことはほとんどなくて、これまで来る仕事を受けてきただけだったので参考になりますね。

福井 CHEEBOWさんこそ、自分から売り込んだら上手くいくような気がしますけど。

CHEEBOW いやいや、いきなりぼくが“曲を書きたいです”なんて言ったら、運営さんは迷惑でしょう(笑)。そんな風に売り込まれたら、向こうも断りにくいでしょうし(笑)。

福井 あとは今だったらSoundCloudという便利なものがあるので、自分の曲はバンバン公開しておいた方がいいですね。

タニヤマ でもSoundCloudにアップしただけでは(クライアントに)届かないんじゃない? やはり自分から積極的に動かないとダメだと思います。

CHEEBOW そういえばアイドルの事務所にけっこうデモが送られてくるって聞いたことあるな。

タニヤマ なるほど。事務所に送るというのも手ですね。

CHEEBOW でもライブアイドルと言っても、楽曲のクオリティが低いわけではないので、それなりのレベルのものを送らないと気にもかけてもらえないと思います。ある程度アレンジが出来上がっているのは当然で、弾き語りとかではダメですね(笑)。ちなみにこれはライブアイドルの話で、メジャーのアイドルの作家になりたいのであれば、作家の事務所に所属してコンペに参加するしかないと思います。

福井 そうですね。メジャーのアイドルに曲を書きたい人には、ぼくらの話はあまり参考にならないかもしれない(笑)。

——— みなさんメジャー・アイドルのコンペには参加されているのですか?

CHEEBOW ぼくは最近は全然ですね。みんな参加してる?

福井 たまにですね。

タニヤマ ぼくは参加してないです。曲を書くペースが遅くて、結果時間がないので(笑)。

——— みなさんフリーの作家さんですが、コンペの情報はどのように知るんですか?

CHEEBOW ぼくは作家事務所から情報を得ています。コンペは誰でも参加できるものではありませんから、そういうルートからでないと情報は降りてきません。

福井 ぼくはレコード会社のA&Rさんに声をかけていただくことが多いです。

タニヤマ そうですね。ぼくも福井さんと同じです。

——— メジャー・アイドルのコンペですと、どれくらいの期間で曲を提出するのですか?

CHEEBOW 1週間くらいじゃないですかね。

福井 大体1週間で1曲なんですけど、早いものだと3日後に提出というのもあったりします。

——— ライブアイドルも、メジャー・デビュー後はコンペで曲を募るようになるのでしょうか。

福井 Ange☆Reveなんかは、メジャーに行った後もインディーのときと同じやり方でやらせてもらっています。全部提案で。

CHEEBOW それ凄い(笑)。

福井 だからほぼ決めうちに近いんですよ。

タニヤマ 怖い人や(笑)。

CHEEBOW だからメジャー・アイドルがすべてコンペで曲を募っているかと言うと、そうではないということですね。アイドルによっては、もう作家陣が固定されているグループもいますし。そういうアイドルですと、他の作家が入る余地は無い。でも、いろんな作家を使うアイドルの場合は、これまでと違ったタイプの曲が欲しいからといきなり声がかかったりする。ぼくはそれがめちゃくちゃ多いんです。

タニヤマ そういえば昔、CHEEBOWさんから紹介してもらったこともありましたね。

——— 先ほど福井さんは5日くらいで作詞から作曲、アレンジまでしてしまうという話がありましたが、タニヤマさんは1曲作るのにどれくらい時間をかけるんですか?

タニヤマ あんまり言いたくないですけど(笑)、大体2週間はかかりますね。同時進行で複数の曲が進行していたりするので、終わってみると1ヶ月くらいかかってるんですけど。

CHEEBOW ぼくも1ヶ月くらいかな。曲を作るのは週末だけなので、自分がやっている時間だけだったら実質2〜3日だと思うんだけど、ぼくはみんなと違って歌詞やギターを発注しなければいけないので、そういう待ち時間を入れたら1ヶ月くらい。

福井 ぼくは分かりやすいアイドルだったら2〜3日で作ってしまいます(笑)。

——— あまり試行錯誤はしない?

福井 ぼくの場合、何も無い状態でPro Toolsを立ち上げて、“さて、どうしようかな”ということはしないんですよ。Pro Toolsを立ち上げたときには、脳内ですべて出来上がっているんです(笑)。曲のアイディアは、忘れないようにメモしてますけどね。

CHEEBOW そのメモ、見たいな(笑)。

福井 コード進行とかではないですよ。“Bメロにはシュワシュワしたシンセが入って”とか、そういうメモ(笑)。そしてメモを書いた後、気晴らしでゴハン作ったりして30分くらい休憩するんです。休憩から戻って、曲を完璧に脳内で再生できたら、これは大丈夫だと思って一気にPro Toolsに打ち込む(笑)。

タニヤマ 凄いな〜。

福井 昔はぼくも試行錯誤していたことがあるんですけど、結局時間ばっかりかかっちゃうんですよね。Daichiさんのアシスタントをしているときに、経験値を上げるためにはとにかくたくさん曲を作れと叩き込まれたので、それが身になっているのではないかと思います。

〜 作家トーク後編の『アイドルソングの作り方』第10回は、2017年4月18日(火)に掲載します。

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