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書籍『NHKの電子音楽』が刊行…… 日本で初めて電子音楽スタジオが設置されたNHKを中心に、我が国の電子音楽の歩みに迫った1冊
日本放送協会=NHKを中心に、日本の電子音楽の歴史を詳細にまとめ上げた書籍、『NHKの電子音楽』が間もなく刊行されます。
『NHKの電子音楽』川崎弘二・著(フィルムアート社刊)
NHKの前身である東京放送局が日本で初めてラジオ放送を開始したのは1925年(大正14年)のこと。それから100年の節目にあたる今年、日本の電子音楽の歴史を余すところなく記した書籍が刊行されます。フィルムアート社から2025年7月12日に刊行される『NHKの電子音楽』は、日本で初めて電子音楽スタジオが設置されたNHKを中心に、我が国の電子音楽の歩み、作品が生まれた背景、表現技法や技術に迫った1冊。著者は、『日本の電子音楽』などで知られる川崎弘二氏で、1,432ページ、全66章(!)という圧倒的なボリュームとなっています。
以下、版元による本書のポイント(一部抜粋)です。
電子音楽の歴史は、効果音・擬音の制作、ステレオ技術を用いた立体放送、テープ録音、マイクロフォン録音、PCMの登場など録音再生技術の発展史としても読むことができます。本書では新しい音色としての電子音楽だけではなく、そうしたテクノロジーによる空間や時間、人間性をも含めた新しい音楽のあり方がどのように模索・実践されたのかについても記述しています。
オンド・マルトノやテルミンといった初期電子楽器、その後のシンセサイザーなど、電子楽器が日本に紹介・輸入されていく過程にも触れられており、電子楽器受容史として読むこともできます。
1925年のラジオ放送開始当初から、放送では具体音や擬音を用いた新たな音響表現の方法が模索されていました。こうしたNHKに電子音楽のためのスタジオが設立にいたる前史を知ることで、その後なぜこのような発展を遂げたのか、あるいは、そこで求められていた役割を知ることができます。
『NHKの電子音楽』の価格は19,800円(税込)で、Amazonなどでは既に予約受付中。なお、早期購入者には、作曲家の諸井誠が1962年にNHKで作曲した純電子音楽、『ヴァリエテ』の手書きの楽譜の複製(全22枚)が進呈されるとのこと。『NHKの電子音楽』の詳細については、フィルムアート社のWebサイトをご覧ください。