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iZotope、「Ozone 12」を発表…… ミックス音源の各パートにEQがかけられる『Stem EQ』や、ダイナミクスを復元できる『Unlimiter』など、魔法のような新機能が多数追加
iZotopeが、Ozoneの最新バージョン「Ozone 12」を発表。ミックス音源のボーカルやドラムに個別にEQがかけられる『Stem EQ』や、過剰にコンプレッション/リミッティング処理された音源のダイナミクスを復元できる『Unlimiter』など、iZotopeお得意の機械学習による驚きの新機能が多数追加されました。iZotopeいわく、“ファイナル・マスターのコントロールを新たな次元に引き上げる”、革新的なマスタリング・ツールの登場です。
iZotope「Ozone 12」(画面キャプチャーは、Ozone 12 Advanced)
世界中のエンジニアやクリエイターから絶大な支持を集めているマスタリング・ツール、iZotope Ozoneが約2年ぶりにメジャー・バージョン・アップ。本日(2025年9月3日)、新バージョンとなる「Ozone 12」がリリースされました。多くの新機能が搭載された「Ozone 12」ですが、中でも目玉のフィーチャーと言えるのが、『Stem EQ』『Bass Control』『Unlimiter』という3つの新モジュールです。『Stem EQ』は、ミックスされた音源に含まれるボーカル/ドラム/ベース/その他のパートに、個別にEQがかけられる(!)という驚異的なモジュール(Advancedのみ搭載)。このモジュールを使えば、音源をRXのMusic Rebalanceなどで分離することなく(つまりミックスしたままの状態で)、ボーカルの中域を強調したり、ベースの低域を持ち上げたりといった処理が可能になります。操作方法は普通のEQとほとんど変わらず、オートメーションを使うことも可能。ミックスに戻ることなく、マスタリング段で各パートのバランスを調整できる、非常に有用なモジュールと言っていいでしょう。
ミックス音源の各パートにEQがかけられる驚異のモジュール『Stem EQ』
低域の量感やアタック感をコントロールできる新モジュール『Bass Control』
パツパツになってしまった音源をマスタリング時に復元できる魔法のようなモジュール『Unlimiter』
2つめの『Bass Control』は、iZotopeお得意の機械学習によって、低域の量感やアタック感を自由にコントロールできるモジュールです(Advanced/Standardに搭載)。基本となるパラメーターは、低域のレベルを制御する“Balance”と、低周波数帯のトランジェントのレベルを制御する“Punch”の2つだけとシンプル。ローパス・フィルターが備わっているので、中周波数帯〜高周波数帯には触れずに、低周波数帯だけにフォーカスして処理することができます。3つめの『Unlimiter』は、過剰なコンプレッション/リミッティング処理によって、失われてしまったダイナミクスやトランジェントを、まるでパソコンのアンドゥ操作のように復元できるモジュール(Advancedのみ搭載)。ミックス時のマキシマイザー処理でパツパツになってしまった音源を、マスタリング時に元に戻すことができる魔法のようなモジュールです。
「Ozone 12」では、マスタリング作業を手助けしてくれる『Master Assistant』のワークフローも刷新されました。新しい『Master Assistant』では、完全なお任せマスタリングではなく、ユーザー設定に沿って処理を実行することも可能に。具体的には、『Master Assistant』の提案を元に、どのモジュールを使用するか、ラウドネスのターゲットをどれくらいにするかといったカスタマイズに対応。また、『Master Assistant』に音源を聴かせる尺も設定でき(尺を長くすれば、アシスタントの判断材料も増える)、ジャンル・ターゲットも前バージョンから25種類増え、音楽ジャンル/音楽スタイルを細かく選択できるようになりました。この新しいジャンル・ターゲットは、『Stabilizer』モジュールでも利用することができます。そして『Maximizer』モジュールには、“IRC 5”リミッター・モードが新たに追加。iZotopeいわく、“IRC 5”リミッターは最も先進的なアルゴリズムとのことで、高いLUFSでも歪みのないクリーンなマキシマイズ処理が可能とのことです。
「Ozone 12」に搭載されているモジュール
その他、ユーザー・インターフェースも新しくなり、より使いやすくなった次世代マスタリング・ツール、「Ozone 12」。これまでどおりAdvanced/Standard/Elementsの3グレード展開で、既存ユーザーのバージョン・アップ価格(2025年10月6日までのイントロ・プライス)は、Advancedが33,810円、Standardが25,382円となっています。また、「Ozone 12」のリリースに合わせて、Music Production Suiteもバージョン8にアップデート。Music Production Suite 8では「Ozone 12」のほか、Catalystシリーズ5製品(FXEQ、Velvet、Aurora、Cascadia、Plasma)と、フラッグシップ・リバーブのEquinoxも含まれるようになりました。Music Production Suite 8へのバージョン・アップ価格(2025年10月6日までのイントロ・プライス)は、Music Production Suite 7〜7.1ユーザーが46,576円、Music Production Suite 1〜6.5ユーザーが58,623円となっています。さらなる詳細は、メディア・インテグレーションのWebサイトをご覧ください。
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