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ローランド、映像と音声を解析して照明機器を“自動で”コントロールする画期的なコンバーター、「VC-1-DMX」を発表…… MIDIコンやDAWからのコントロールにも対応
今日から4日間、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド形態で開催される世界最大規模の家電の見本市、『CES 2022』(アメリカ・ラスベガス)。その開幕に合わせ、ローランドが多数の新製品を発表しました。中でも要注目なのが、映像/音声/MIDIデータによって照明機器をコントロールできる「VC-1-DMX」という製品です。

ローランド「VC-1-DMX」
“ビデオ・ライティング・コンバーター”を謳う「VC-1-DMX」は、入力された映像(HDMI)と音声(HDMI/アナログ)をアナライザーで解析し、色/明るさ/ビート/テンポ/音量といった情報を抽出、そのデータを元にDMX信号を自動生成するコンバーターです。これまで、ムービング・ライトやレーザーといった照明機器を使って空間演出を行う場合、専門のオペレーターが手動で操作しなければなりませんでしたが、「VC-1-DMX」は入力された映像と音声に基づいて照明機器を自動でコントロール。映像の色調に合わせて照明の色を自動で変化させ、楽曲のテンポに合わせてミラーボールの速度を自動で制御できる大変ユニークな製品です。

HDMI入力の映像/音声、アナログ入力の音声を解析し、DMX信号を生成する
「VC-1-DMX」の使用方法はとてもシンプルで、まずは演出のベースとなる映像/音声をHDMI端子に、映像なしのアナログ音声であればRCA端子に入力し、コントロールしたい照明機器をDMX端子に接続。「VC-1-DMX」にはローランド独自のビデオ・アナライザーとオーディオ・アナライザーが内蔵されており(上の図を参照)、入力された映像/音声に合わせてDMX信号を生成、自動で照明機器をコントロールします。DMX端子は5pinと3pinの両方が備わり、本体横のディップ・スイッチによって各種機器に対応したプリセット・マップを選択することも可能。HDMIはスルー端子、RCAも出力端子を装備しているので、既存のシステムに容易に組み込めるのもポイントです。「VC-1-DMX」で採用されているDMXは、照明機器でスタンダードになっている通信プロトコルで、1本のケーブルで最大512ch/1chあたり256段階のコントロール・データを扱うことが可能。「VC-1-DMX」にはMac/Windows用のエディター・ソフトウェアも用意され、USB端子にパソコンを接続すれば、DMXの設定をカスタマイズすることも可能になっています。

「VC-1-DMX」の前面。USB端子、プリセット・マップ選択用のディップ・スイッチ、HDMI入力端子、HDMIスルー端子を装備

「VC-1-DMX」の背面。電源入力端子、アナログ音声入力端子、アナログ音声出力端子、MIDI入力卵子、DMX端子(5pin)、DMX端子(3pin)を装備
ICON的に注目したいのが、MIDIにも対応している点です。MIDI入力端子はDINとUSBの両方を搭載し、低レーテンシーのMIDI to DMXコンバーターとしても機能。MIDIコントローラーやDAWを使って、照明機器の色や明るさ、パン/チルトなどをコントロールすることができます。これまでも同様のことを実現する機器/ソフトウェアは存在しましたが、「VC-1-DMX」は“自動コントロール機能を搭載したMIDI to DMXコンバーター”という点が大きな特徴です。

「VC-1-DMX」のブロック・ダイアグラム。MIDI to DMXコンバーターとしても使用できる
先日、自動コントロールのデモを見せてもらいましたが、映像の内容に合わせてLEDライトの色調や明るさが自動で変化するのは、目の当たりにするとなかなかインパクトがあります。凄いなと感じたのがレーテンシーの無さ(低さ)で、激しく変化する映像にもライティングがしっかり追従。ローランドはコンサートやクラブ・イベントだけでなく、商業施設(バーやカラオケ店など)や結婚式場における簡易的な演出用途もターゲットにしているようで、MIDIにも対応していることを考えると、かなり可能性のある機器という印象でした。気になる価格はオープン・プライスで、市場想定価格は70,000円前後、発売は2022年4月下旬を予定しているという「VC-1-DMX」。さらなる詳細は、ローランドのWebサイトをご覧ください。
