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INTERVIEW

☆Taku Takahashi(m-flo/block.fm)インタビュー 〜 愛用のシンセとオンライン・フェス『BLOCK.FESTIVAL』を語る

m-floのトラックメイカーとして、ミレニアム以降の日本の音楽シーンを牽引してきたDJ/プロデューサー、☆Taku Takahashi。氏が手がける楽曲は、キャッチーでメロディアスなポップスでありながら、ダンス・ミュージックのトレンドが巧みに取り入れられているのが特徴で、そのサウンドは国内はもとより海外でも高く評価されています。m-floデビュー20周年にあたる昨年は、オリジナル・メンバー LISAが復帰後初のアルバム『KYO』をリリースし、大きな注目を集めました。

DJ/プロデューサーとして精力的な活動を行う一方、最先端のテクノロジーにも造詣が深い氏は、2011年にインターネット・ラジオ局『block.fm』をローンチ。今年春には、LINE LIVEを使ったオンラインの音楽フェスティバル、『BLOCK.FESTIVAL』をスタートさせました。クリエイターである氏が、なぜ自らインターネット・ラジオ局を立ち上げ、オンラインの音楽フェスティバルをスタートさせたのか。本日8月1日(土)16:00から開催される『BLOCK.FESTIVAL Vol.2』(視聴はこちらから)の準備中の『block.fm』のスタジオにお邪魔し、じっくりとお話を伺いました。最近のプロダクションや愛用の音源についても話を聞くことができましたので、ぜひご一読ください。

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

☆Taku Takahashi(m-flo/block.fm)

オリジナリティーを出すのが難しい時代だからこそ、あえて“面倒くさいこと”をする

——— ☆Takuさんは、ICONで紹介したレッド・カラーの1200 SOUND by ARMEN(注:ニューヨークの楽器店が製作したE-mu SP-1200のラックマウント・モデル。詳しくは、こちらの記事を参照)を購入されたんですよね。

☆Taku 買いました。テイさん(注:テイ・トウワ氏)がARMENを持っていて、ずっと欲しいなと思っていたんです。それほどコンディションは悪くなかったんですけど、さすがにフロッピーを使い続けるのは厳しいので(笑)、日本に届いてからghostinmpcさんにフラッシュ・ドライブへの換装とメンテナンスをお願いしました。何度か制作でも使いましたよ。あの赤いARMEN、売主から聞いたんですけど、最初の持ち主はピート・ロックの叔父さんだったみたいで(笑)。その叔父さん、ARMENを手に入れて、それまで使っていたオリジナルのSP-1200をピート・ロックにプレゼントしたようです。

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

☆Taku Takahashi所有のレッド・カラーの1200 SOUND by ARMEN。E-mu SP-1200の特注ラックマウント・モデル

——— スタジオ内にはオリジナルのSP-1200やSP-12も置かれていますが、☆Takuさんの中で’80sサンプリング・ドラム・マシンはやはり特別?

☆Taku そうですね。m-floの初期の作品からずっと使っています。でも使い方としては、ドラム・マシンというより、ほぼエフェクターですよね。一度取り込んで、周波数を落としてザラザラの音にして、別のサンプラーに戻す。実際に鳴らすのは、メインのサンプラーの方で。

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

レコード棚の上に置かれているのは、E-mu SP-1200とUrei 1620の原形となったBozakのDJミキサー。Bozakの上には、Shinya’s Studio 1176 Rev.D Peak Limiterの姿も見える

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

’80sサンプリング・ドラム・マシンの名機、E-mu SP-12

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

m-floのミュージック・ビデオにも登場するローランドのドラム・マシン、TR-66 Rhythm Arranger

——— ソフト音源全盛のいま、ハード音源も引き続き活用されていると。

☆Taku もちろんソフト音源の方が多いんですけど、最近またハードに回帰してきていますね。昔愛用していたStudio Electronics SE-1を買い直したいなと思ったり。Minimoog Voyagerもすばらしいんですけど、SE-1ってすごく使いやすいんですよ。SE-1に関してもARMENと同じで、テイさんの影響なんですけど(笑)。機材だけでなく、ぼくの打ち込みはテイさんにすごく影響を受けてますね。

——— 作業の中心になるのはAbleton Liveですか?

☆Taku ここ10年はAbletonです。Abletonは、何よりオーディオ編集がしやすく、作業がすごく早い。良い意味で乱暴に扱えるソフトなんです。それと不可欠なのが、Push 2ですね。Abletonは、Pushがあるのと無いのとではぜんぜん違います。ぼくはすごくサンプリングをする人なんですが、Pushがあるとサンプルをスライスするのがめちゃくちゃラクなんですよ。その昔Propellerhead ReCycleでやっていたスライスが、ボタンをポンポン押すだけで、しかも調整しながらできる。サンプルを細かく切る場合も、Pushはボタンが64個あるので助かります。ボーカルをチョップするときなど、本当に便利ですね。

——— ☆Takuさんの周りのクリエイター、『block.fm』に出演するようなエレクトロニック・ミュージックのアーティストやDJも、みんなAbletonですか?

☆Taku AbletonとImage-Line FL Studioが多いと思います。でも、やれることはどれも一緒だと思うので、キャンパスとしてどれがいちばんしっくりくるかですよね。Apple Logic Proの新しいバージョンにも、Abletonみたいな機能が追加されましたし。バンボくん(注:banvox氏)がFL Studioを使っているを見て、おもしろいな、使ってみようかなと思うこともありますし。

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

☆Taku Takahashiのプロダクション・スペース。作業の中心となるのは、Ableton LiveとPush 2の組み合わせで、オーディオ・インターフェースはApogee Quartet、モニター・スピーカーはFocal Shapeというセレクション

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

プロダクションに欠かせないツールと語るAbleton Push 2

——— 最近はソフト音源はどのようなものをお使いですか?

☆Taku よく使うのは、ROLI Seaboardに付いてくるEquatorNative Instruments系、IK Multimedia SampleTank、あとはFXpansionのも好きですね。StrobeとかCypherとか。もちろん、定番のXfer Records SerumLennarDigital Sylenth1Native Instruments Massiveとかもすばらしいとは思うんですけど、ああいう音源を使うとどうしても人と似てしまうじゃないですか。だからあえてそういうものは使わないようにしたり、ハードでやっていたようなことをソフトでやったりしています。

——— ハードでやっていたことをソフトで?

☆Taku さっきのSP-1200の話じゃないですけど、あえて面倒くさいことをやるようにしているというか。寄り道をすることで、想定外のことが起こったりするものなんです。そもそも鍵盤をちゃんと弾けるタイプではないので、頭の中にあるものを形にしようと思っても、イメージどおりにならないことが多い。毎回“ああでもない、こうでもない”とトライ&エラーの連続で、ハマるまで延々と試行錯誤の繰り返しなんですけど、その過程で新しい発見と出会えたりするものなんです。その昔、Moogの音がカッコいいなと思って、手持ちのローランド JUNOで一生懸命音を作ったりしていたわけですけど、JUNOではどんなにがんばってもMoogの音にならないんですよ(笑)。でも、Moogには似せられなくても、その試行錯誤の過程で新しいアイディア、オリジナリティーが生まれたりしたんです。

いまは誰々のSerumの音がカッコいいと思ったら、YouTubeを見ればまったく同じ音が作れてしまうわけじゃないですか。オリジナリティーを出すのがすごく難しい時代になっていますよね。みんなオリジナリティーを求めて闘っている。でも、ぼくはそこで真っ向勝負する根気がないので(笑)、人とは違うものを使って、トライ&エラーを繰り返しているというか。

——— なるほど。

☆Taku いまは配信の時代ですし、すべてがデジタルなので、もちろんスピード感は重要です。デモのクオリティーもすごく高いものが求められますしね。だから、人がそういう流行りの音源を使うのは理解できるんですよ。打ち込みって面倒ですし(笑)、フラストレーションが溜まりますから、インスタントにパッと曲ができてしまうのは快感だったりする。でも、根気よくトライ&エラーを続けながら作るのが、ぼくにはいちばん合っているかなって。

——— 昨晩の『block.fm』の番組で80KIDZもプレイしていましたが、流行りのモジュラーシンセについてはどう捉えていますか?

☆Taku モジュラーシンセも同じで、予想できないのが楽しいんですよね。意図しないことが起こって、カッコいい音楽ができてしまう。モジュラーシンセにハマっている人たちって、別にモジュラーをやっている自分に酔っているわけではなく(笑)、純粋にモジュラーで起こる事故を楽しんでいるんだと思います。

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

カシオ SK-1をサーキット・ベンドしたKasual Circuits製作のオリジナル・シンセサイザー

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

最近、少しずつハードに回帰していると語る☆Taku Takahashi氏

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

スタジオ内には貴重なソニー CFS-C7 CHORD MACHINE(写真右)など、’80sラジカセ/ウォークマンも多数置かれていた

——— m-floがシーンに出てきたときは、まだ都心の大きなスタジオで作業する時代だったと思いますが、いまはメジャーのアーティストでもMacBook Proだけで完パケてしまったりします。テクノロジーがもたらしたこのプロダクション・フローの変化には、100%肯定的ですか?

☆Taku もちろん。ぼくは大昔から、ラップトップだけですべてできてしまう時代になってほしいと言い続けていましたから。ようやくそれが現実のものになって嬉しいです。大きなスタジオを使うメリットは、ミックス・ダウンのときのモニター環境ですよね。でも、ぼくの場合ミックス・ダウンはエンジニアさんにお願いするので。

自らローンチしたインターネット・ラジオ局、『block.fm』

——— ☆Takuさんは、テクノロジーへの造詣も深いことで知られていますが、テクノロジーへの関心は昔から?

☆Taku そうですね。小さい頃からテクロノジーには興味があって、最初に手に入れたパソコンはMSXです。でも、ちょっとBASICをかじった程度で、ファミコンのようなゲーム・マシンとしての使い方がほとんどでしたけど(笑)。その後、NEC PC-8801も買いましたが、ちゃんと使い始めたのはMacからですね。

——— ☆Takuさんは2011年、『block.fm』を立ち上げられました。アーティスト活動の傍ら、インターネット・ラジオ局をローンチされたのはなぜですか?

☆Taku 単純に、自分が好きな曲をかけてくれるラジオ局が無かったから(笑)。昔はFM局がヒット曲を仕掛けていたんですけど、不景気になってみんな守りに入ってしまい、自分たちでヒット曲を仕掛けるのではなく、すでにヒットしている曲をかけるだけになってしまった。その結果、シーンでは新しくておもしろい音楽がどんどん生まれているのに、そういう曲がラジオでまったく流れなくなってしまったんです。それで何とかFM局で新しい音楽を流せないか、いろいろチャレンジしてみたんですけど、これは無理だということが分かって。だったらもう自分で始めちゃえって(笑)。

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

2011年にスタートしたインターネット・ラジオ局、『block.fm』。スマホやパソコンから無料で聴くことができる。メディア・サイトとしての一面も持っており、音楽やカルチャー、音楽制作ツールのニュースなども掲載されている

——— 単なるWebサイトではなく、“インターネット・ラジオ”というWebサービスですから、立ち上げは大変だったのでは?

☆Taku 何も考えてないんですよ(笑)。やると言ったら後先考えずにやっちゃうタイプなんです。何でも初期衝動で、すぐに行動に移してしまう。もちろんその後、めちゃくちゃ苦労するんですけど(笑)。

——— この記事を読んでいる人に、『block.fm』についてあらためてご紹介いただけますか。

☆Taku 最初はダンス・ミュージック専門のインターネット・ラジオ局だったんですが、その後ニュースも配信するようになって、現在はインターネット・ラジオとニュース・メディアの2本が柱になっています。扱うジャンルは、基本エレクトロニックではあるんですが、立ち上げ当時よりも幅は広がっていますね。世の中にはこんなにも新しい音楽、楽しいカルチャーがあるんだよということを伝えるメディアでありたいと思っています。

——— 出演するアーティストやDJは、どなたがキュレーションされているんですか?

☆Taku ぼくやスタッフ、みんなで決めています。“最近、この人いいよね”とか、そういう話をしながら。こちらが興味を持って声をかけると、その人がまた新しい人をおしえてくれたり。いい循環になっていますね。最近はシンガーソングライター的なアーティストにも出演してもらっていますが、エレクトロニック・ミュージックのシーンと無関係なシンガーソングライターが出演することはなく、みんな何かしら繋がりのある人ばかりです。

——— いちリスナーとして、『block.fm』で新しいアーティストやDJを知ることも多いです。韓国のDJ、7ip7o3も『block.fm』で知りました。

☆Taku それは嬉しいですね。韓国の音楽って、K-POPでアイドルが先行してしまっているところがあるんですが、アンダーグラウンドのシーンもすごくおもしろいんですよ。質の高い音楽がどんどん生まれているんです。

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

block.fm』のスタジオ。膨大な量のレコードが所蔵されている

60万人以上が視聴したオンラインのライブ・イベント、『BLOCK.FESTIVAL』

——— 『block.fm』は今年4月と5月、オンラインのライブ・イベント『BLOCK.FESTIVAL』を開催して、大きな話題になりました。今週土曜日には『BLOCK.FESTIVAL Vol.2』が行われますが、なぜこのようなオンライン・イベントを開催しようと考えたのですか?

☆Taku 『block.fm』主催のフェスというのは、3〜4年前からずっと考えていたんです。でも日本にはすでにたくさんのフェスがありますし、どんなフェスをやったらいいのか分からなかった。そうこうしているうちにこんな状況になって、せっかく日本の音楽シーンがおもしろくなってきているのに、その盛り上がりが途切れてしまったら嫌だなと。それで何も考えずに、“オンライン・フェスをやる!”と記事にしてしまったんですよね。まったく何も決まっていなかったので、周りのスタッフには本当に申し訳ないんですけど(笑)。

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

オンラインのライブ・イベント、『BLOCK.FESTIVAL』。今日8月1日には第3回目が開催される(視聴はこちらから)

——— ☆Takuさん的には最近、日本の音楽シーンがおもしろく感じていたのですか?

☆Taku そうですね。最近は日本のアーティストと海外のアーティストが普通にコラボレーションしていたりとか。タイだったり台湾だったり韓国だったり……。インターネットが当たり前になって、起こりうるべきことがしっかり起こっているのがおもしろい。その背景には、音楽を作ってCDを売るというそれまでのスキームが通用しなくなったというのがあると思います。レコード会社は長いこと、デモグラフィーなんて考えずに、バケツいっぱいの水をぶち撒けるようなマーケティングをやってきたわけですけど、今はもうターゲッティングの時代ですから。水鉄砲で相手をしっかり狙って、作る側と聴く側をマッチングしないといけない。もちろん、一斉射撃的な大きなマーケティングが必要な音楽もあるとは思いますけど。

——— 『BLOCK.FESTIVAL』のコンセプトをおしえてください。

☆Taku 繋がり、ですかね。このフェスで新しいアーティストを知ってもらい、それによって音楽好きの人たちが繋がってもらえれば嬉しい。『BLOCK.FESTIVAL』で配信プラットホームとして使っているLINE LIVEには、オープン・チャットの機能があるんですけど、フェスが始まる前なのにもう盛り上がっているんですよ。そういうのを見ると嬉しくなりますし、人と人の繋がりは本当に大事にしていきたいと思っています。状況が落ち着いたら、ぜひリアル・フェスも開催したいですね。

——— 『BLOCK.FESTIVAL』は、出演アーティストが自宅から配信を行うというのがおもしろいですね。一体どのようなシステムで配信しているのでしょうか?

☆Taku めちゃくちゃシンプルで、スマホを使ってWirecast GoというOBS的なアプリで配信しています。みんな自宅ですから、カメラとか大がかりな機材をセッティングするのは無理だったので、スマホを使って配信してしまおうと。それで今回、大活躍しているのが、IK Multimediaのオーディオ・インターフェース、iRigシリーズです。少しでも良い音で配信したかったので、出演者にはiRigシリーズを送って使ってもらって。iPhoneで配信するには、iRigシリーズがいちばんいいんですよね。Lightningで直で繋ぐことができますし、設定も簡単で、誰でもすぐに使うことができる。iRigシリーズって、iPhoneに特化した最初のオーディオ・インターフェースじゃないですか。だから安心して使うことができるんです。ぼくは個人的にもiRig Pro Duoを使っていて、出演者の中でもTENDREとかAAAMYYYちゃんは、すでにiRigを持っていましたね。今回、新しいiRig Streamというモデルを初めて使ったんですが、これが配信用にはいちばんいい。コンパクトで、電源もしっかり取れるので(注:電源アダプターiRig PSU 3Aは別売)、iRig PowerBridgeを使うよりも動作が安定しているような気がします。

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

BLOCK.FESTIVAL』の高音質配信を支えるオーディオ・インターフェース、IK Multimedia iRigシリーズ

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

iRigシリーズの中でも「配信用にいちばんいい」(☆Taku Takahashi氏)と語るiRig Stream

——— 配信プラットホームとしてLINE LIVEを選ばれたのは?

☆Taku “オンライン・フェスをやります”とFacebookに書き込んだら、代理店の方とかイベンターの方とか、たくさんの人が“ぜひ協力させてください”と声をかけてくださって。その中の一人にLINEの方がいて、“LINE LIVEだったらこういう感じにできますよ”と提案してくださったんです。LINEはみんな使っていますし、せっかくオファーをいただいたのでこれでいこうと。LINEって、すごくおもしろいんですよ。コミュニケーション機能だけでなく、音楽を聴けるLINE MUSICや宅配サービスのLINEデリマ、端末から情報を受信できるLINE Beaconなんていうサービスもあったり。とても可能性のあるプラットホームだと思っています。

——— これまで特にトラブルもなく?

☆Taku いちばん大変だったのは、iRigシリーズを確保することですね(笑)。みんな配信を始めたので、iRigシリーズがどこにも売ってないんですよ。だからメーカーや販売店さんに協力してもらって、何とか台数を確保して。それと難しいのは、インターネット回線のスピードとWi-Fiですね。みんな自宅なので、インターネット回線のスピードがそれぞれ違うんです。あとはWi-Fiも、いざ配信をしようと思ったら繋がらないことがあったり、けっこうシビアだなと実感しました。間に人が立っただけでもスピードが落ちたりしますから。あとは出演者にWirecast Goの使い方を遠隔で説明するのも大変でしたね。iPhoneを配信で使ってしまっているので、電話では話せませんから(笑)。

——— 2回開催されて、手応えは感じていますか?

☆Taku そうですね。60万人以上の人に視聴していただいて、何より嬉しかったのが、コメント欄がポジティブなものばかりだったこと。本当にみんなポジティブなんですよ。そういうところも含めて、手応えはめちゃくちゃ感じています。

——— 今週土曜日に開催される『BLOCK.FESTIVAL Vol.2』では、何か新しい取り組みがあったりするのですか?

☆Taku 今年は夏フェスが無いので、海が見える開放感のある場所から配信する予定です。それとデジタルとリアルで、花火を打ち上げようと考えているんですよ。リアル花火は、天候次第でできるかどうかは分からないんですけど……。今回もすばらしいアーティストがたくさん出演してくれるので、ぜひチェックしていただければと思います。

Taku Takahashi (m-flo/block.fm) Interview

今日8月1日には開催される『BLOCK.FESTIVAL Vol.2』の出演アーティスト(視聴はこちらから)

——— まだまだコロナの問題は収束しそうにありませんが、今後の活動についてはどのように考えていますか。

☆Taku この状況がしばらく続くかもしれないですし、意外と早く収束してしまうかもしれないですし、先のことは誰にも分からない。そんな中で、自分たちに何ができるか、模索していくしかないと思っています。ライブ配信に関しては、『BLOCK.FESTIVAL』で手応えは感じていますが、これがいまの状況に対する完璧な答えだとは思っていません。ライブ配信以外のエクスペリエンスをどのように提供していくか、インタラクティブ性をいかに上げていくかなど、考えていかなければならないことは多いですね。そのトライ&エラーの中で、新しいイノベーションが生まれるのかなと思っています。

——— 最後に、☆Takuさんがいま、注目しているテクノロジーをおしえてください。

☆Taku テクノロジーという言葉が、いまや本当のテクノロジーを表す言葉ではなくなっている感じがします(笑)。20年前のハイテクが、現代ではライフ・スタイルの一部になっていますからね。昔のSF映画を観て、空想から生まれたこんな装置があるんだと思うことはありますが、そこまでビックリすることはない。VRにAR、5Gなど、新しいテクノロジーはどんどん登場していますが、ぼくはそれらを使って何を表現できるか、どのようなストーリーを伝えられるかということの方に興味があります。ハサミも最初に生まれたときは、その切れやすさにみんな感動したと思うんですが、すぐにそんな切れやすさよりも、ハサミを使って一体何ができるかということの方に人々の興味は移っていった。新しいテクノロジーも、すごいだけで終わらないで、それで何を見せれるか、何を表現できるかということの方が重要。ぼくはあくまでもコンテンツ屋なので、そういうものを使って、いかにおもしろいコンテンツを作れるかということを考えています。

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