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Vectrex/光速船のCPUをラズパイに置き換える「PiTrex」が登場…… Vectrexを“ベクタースキャン・コンピューター”として再生するアイテム
VectrexのCPUをRaspberry Piに置き換えてしまうカートリッジ、「PiTrex(パイトレックス)」が発売され、レトロ・ゲーマー/ビデオ・シンセ・フリークの間で注目を集めています。
米General Consumer Electronics(GCE)社が1982年に発売したVectrexは、9インチの白黒CRTを縦方向に搭載した家庭用ゲーム機。テレビに接続しなくても比較的大きな画面でゲームを楽しめることから人気を集め、日本でも1983年にバンダイから“コンピュータビジョン 光速船”という製品名で発売されました。Vectrex/光速船ともに、発売から約40年が経った今でもマニアの間で非常に人気のあるマシンですが、その大きな理由としては、ベクタースキャン方式の映像が挙げられます。ベクタースキャンはテレビなどで採用されているラスタースキャンとは異なり、電子ビームを動かして直接図形を描画する方式で、高精細で高コントラスト、かつなめらかな映像が特徴。その独特の映像は、Vectrexの北米発売と同時期に公開された映画『Tron』でも注目を集めました。単純な図形しか描画できないという欠点がありますが、ベクタースキャンの映像に魅せられている人は今でも多く、ビデオ・シンセ愛好家の間では、XYZ入力を搭載したVectrexがRutt/Etra Video Synthesizer用の定番モニターとなっています。
そして先頃、オーストラリアのOmberTechという工房が発売した「PiTrex」は、VectrexのCPUをラズパイに置き換えてしまうカートリッジ。CPUを置き換えるためのインターフェースがカートリッジ・スロットに出ているVectrexの設計を生かし、本体を傷つけずに(ハードウェア的な改造を施すことなく)使用できてしまう優れものアイテムです。ラズパイはRaspberry Pi Zero WHが推奨され(別売。Raspberry Pi Zero Wも利用できるようですが、ハンダ付けが必要とのこと)、microSDカードは256MB〜256GBのものまでサポート。アプリケーションとしては、オープンソースのイミュレーターを使用したゲーム機用途が一番に想定されているようで、既にいくつかのイミュレーター/ゲーム・ソフトが「PiTrex」で動いているとのこと。なお「PiTrex」はオープンソースのプロジェクトであり、コードや技術文書はGitHub/Wikiで公開されています。
Vectrexを高速なARM CPUを搭載した“ベクタースキャン・コンピューター”に再生してしまう「PiTrex」。販売価格は、カートリッジ・ケース入りのものが53豪ドル(約4,600円)、ケース無しの基板のみが36豪ドル(約3,100円)/DCソケット付きが39豪ドル(約3,400円)となっています。さらなる詳細は、OmberTechのWebサイトをご覧ください。