SYNTH & MACHINE
大型タッチ・スクリーンを搭載したフランス発の新世代FMシンセサイザー、Kodamo Instruments「EssenceFM」
DX7の発売から40年近く経った現在も、世界中のミュージシャン/クリエイターを魅了してやまないFMサウンド。そのメタリックで艶やかな音色はFMならではのもので、DigitoneやModel:Cyclesなど、同音源にフォーカスした製品は今もなおコンスタントに登場し続けています(今年1月の『The NAMM Show』では、コルグが新型FMシンセサイザー、“opsix”をお披露目したのも記憶に新しいところです)。
そして今回、ヨーロッパの新興メーカーから、かなり強力なFMシンセサイザーがデビューをはたしました。フランス南部、ボルドールージュという街に工房を構えるKodamo Instrumentsが開発した「EssenceFM(エッセンス・エフエム)」は、デスクトップと3Uラックマウント、どちらのスタイルでも使用できるFMシンセサイザー。大型のタッチ・スクリーンを使って、FM音源の可能性をとことん追求できる、とても魅力的な新製品です。
「EssenceFM」は、6オペレータのFMシンセサイザーで、最大300ボイス(オペレータの総数は1,800!)/最大16マルチ・ティンバー(1ティンバーあたりの最大ボイス数は128)と、音源モジュールとして十分なスペックを有しています。最大24種類スタンバイできるオペレータ波形は、タッチ・スクリーン上で自由にドローイング/変形できるほか、WAVファイルのインポートにも対応。音作りの肝となるアルゴリズムも、ユーザー・サイドで自由に定義可能で、変調によって生じた波形の“ジャギー”を自動的に補間する『High Quality FM』、補完を行わない『Oldschool FM』という2種類のレンダリング・エンジンを選択できるのもユニークです。
加えてボイスごとにレゾナンス付きのローパス・フィルターが1基、6点のエンベロープ・ジェネレーターが14基(ボリューム×6、ピッチ×6、フィルター×1、パン×1)、多機能なLFOが1基備わり、FM波形を緻密にシェイプすることが可能。8ソース(128種類の中から選択)/8デスティネーション(228種類の中から選択)のモジュレーション・マトリクスも、ボイスごとに設定することができます。作成した音色は“ボイス”として保存でき、異なるボイスをレイヤー/スプリットさせて“パッチ”として扱うことも可能。ボイスとパッチはそれぞれ3,328種類保存でき(26バンク×128種類)、約500種類のボイスと約400種類のパッチがファクトリー・プリセットとして収録されています。最終段には20種類のアルゴリズムを選択できるマルチ・エフェクトが2基用意されており、『Parallel』、『Chained』、『Chained Hybrid』の3つの中からルーティングを選択することが可能。パッチごとに設定できる最大128イベント/最大128ステップのボイス・シーケンサーも搭載しています。
そして「EssenceFM」の大きな特徴としてアピールされているのが、現代的なユーザー・インターフェースと、スタジオ・クオリティーの音質です。フロント・パネルには、7インチ/400×240ピクセルのカラー・タッチ・スクリーンが備わり、右側に用意された6基のロータリー・エンコーダーと相まって、直感的な操作性を実現。マルチタッチ対応のタッチ・スクリーンは、応答速度60fps/視野角160°の高品質なIPS液晶が採用され、輝度やタッチ操作の反応に加えて、カラー・テーマや音のフィードバックなども設定可能。とかく難しいと言われるFM音源ですが、指先で直感的に操作できる「EssenceFM」なら、これまでになく感覚的な音作りが期待できそうです。また、音質にもかわりこだわっているようで、内部処理は48kHz/32bit float、DAコンバーターは24bit、8系統(4×ステレオ/8×モノ)のアナログ出力はすべてバランス仕様。MIDI接続は、DIN(入力/出力/スルー)とUSBに加えて、RTP-Ethernet(Apple MIDI)もサポートしています。
SysEX経由でのDX7のパッチのロードにも対応した新世代FMシンセサイザー、「EssenceFM」。販売はすでに始まっており、オンライン・ストアでの価格は1,158ユーロとなっています。国外への発送にも対応しているようなので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
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