Feature Image

DAW & PLUG-IN

ディストーション・プラグインの傑作、iZotope「Trash」が復活…… 無償版の「Trash Lite」も提供されるように

iZotopeが新製品、「Trash(トラッシュ)」を発表。ディストーション・プラグインの傑作が、大きな進化を遂げて復活しました。無償で利用できる「Trash Lite」も用意されています。

iZotope - Trash 2024

iZotope「Trash」

iZotopeが2003年にリリースした「Trash」は、高機能なディストーション・プラグインの先駆けとなった製品です。ギター・アンプの単純なモデリングにとどまらず、モジュール化された“歪みの要素”を組み合わせ可能にすることで、ありとあらゆるディストーション・サウンドに対応。2012年にアップデートされたバージョン2では、ダイナミクスなどさらに多くの機能が追加され、世界中のクリエイターから支持を集めました。

iZotope - Trash 2024

2003年にリリースされた「Trash」バージョン1.0

惜しまれつつ一昨年、販売が終了した「Trash」ですが、このたび大幅な進化を遂げて見事復活。“Trash 3”ではなく、「Trash」というシンプルな製品名で、iZotopeの製品ラインに復帰しました。

新しい「Trash」では、“モジュラー・ディストーション”という旧バージョンのコンセプトはそのままに、より使いやすく、より高機能なプラグインへと進化を遂げています。大きく変わったのがユーザー・インターフェースで、ページ切り替えではなく、1画面で各モジュールのパラメーターを操作できるように。デザインや色使いも洗練され、これまで以上に音づくりがやりやすくなりました。

iZotope - Trash 2024

歪みを生み出す『Trash』モジュール

歪みを生み出す『Trash』モジュールは、“Noise Art”や“Distropia”など60種類以上のディストーション・タイプ(アルゴリズム)を搭載。そして最大4種類のディストーション・タイプをXYパッドにアサインし、自由にブレンドできるように。もちろん、周波数帯域を低域/中域/高域に分割して処理を行うマルチバンド仕様なので、一部の帯域だけ強く歪ませるということも可能。さらにはダイナミックに音色を変化できる“Tilt”という新パラメーターも追加されています。

iZotope - Trash 2024

これまで同様、マルチバンド処理に対応

コンボリューション処理によって響きを付加できる『Convolve』モジュールは、ピアノ・キャビネットやフレキシ・ガラス管など、実に600種類以上のIRデータを搭載。こちらも『Trash』モジュール同様、最大4種類のIRデータをXYパッドにアサインして、自由にブレンドすることができます。強力なのが、オーディオ・ファイルからIRデータを抽出できる機能“Impulse Response Loader”が備わっている点で、好みの音響特性で畳み込むことが可能。『Trash』モジュールと『Convolve』モジュールの処理は、入れ替えることも可能になっています。

iZotope - Trash 2024

響きを付加できる『Convolve』モジュール

音づくりに欠かせない『Filter』モジュールは、アナログ機材をモデリングした新しいアルゴリズムが搭載され、“Scream”パラメーターによって自己発振させることも可能に。また、新しい『Envelope』モジュールでは、入力音の振幅を使ってダイナミックに音色をモジュレーションすることが可能になっています。そして嬉しいのが、最後段に追加されたオート・ゲイン機能。この機能をオンにすることで、過激に歪ませた場合でも、突発的なクリップを回避することができます。

iZotope - Trash 2024

自己発振できる『Filter』モジュール

iZotope - Trash 2024

エンベロープ・フォロワーの『Envelope』モジュール

iZotope - Trash 2024

突発的なクリップを回避できるオート・ゲイン機能も搭載

新生「Trash」は、Mac(Monterey以降)/Windows(10以降)に対応し、VST3/AU/AAXの各フォーマットをサポート(32bit/VST2は非対応)。Mac/Windows版の販売価格は16,200円で、2024年4月16日までの期間限定で、イントロ・プライスの12,800円で販売中。旧バージョンからのアップグレードは4,800円(イントロ・プライス。通常価格は8,200円)で、他の製品からのクロスグレードも7,980円で用意されています。また、冒頭でお伝えしたように無償版の「Trash Lite」もリリースされており、本バージョンからiPad版も提供されるようになりました(Mac/Windows版のユーザーも別途購入が必要)。

iZotopeの国内代理店であるメディア・インテグレーションは「Trash」のリリースに合わせて、オンライン・セミナー『FINAL FANTASY VII REBIRTH Master Class for Game Music』の開催も発表。作曲家/サウンド・デザイナーの鈴木光人氏をゲストに迎えて行われるこのセミナーでは、『ファイナルファンタジーVII リバース』など数々のヒット作品を手がけてきた同氏が、ゲーム音楽の制作ワークフローについて詳しく解説するとのこと。セミナーは4月上旬に配信開始予定で、2023年9月1日以降にNative Instrunments/iZotope製品の国内サポートIDをメディア・インテグレーションに登録した人であれば、無償で受講できるとのことです。詳細については、メディア・インテグレーションのWebサイトをご覧ください。

AbletonがBLACK FRIDAYセールをスタート、Live 12や最新のPushが25%OFFで販売中…… 12月3日までの6日間限定

teenage engineeringのCEO、Jesper Kouthoofd氏がOP-XYを携えて来日、Yuri Suzuki氏との対談イベントが開催…… いち早くOP-XYを体験できる展示コーナーも

Auroraのコンセプトを受け継いだ新感覚ディレイ、iZotope「Cascadia」が発売…… 画像編集のマスク処理のような“インテリジェント・ディレイ”が登場

コルグ、nanoシリーズの新作「nanoKEY Fold」を発表…… 昔のケータイのように折りたためる、斬新なデザインのキーボード・コントローラーが誕生

teenage engineering、新製品「OP-XY」を発表…… 誰でも簡単にコード進行を作ることができる、次世代”シーケンス・シンセサイザー”が登場

Sonarworksの音響補正ツール SoundID Referenceが、Universal Audio Apollo Xに対応…… DSPでキャリブレーションすることが可能に

Native Instruments、「Maschine 3」を発表…… iZotope RX直系のステム・セパレーション機能を搭載、MP3などの圧縮オーディオのインポートにも対応

4つのノブでステムをミックスできる“クリエイティブ・ミキサー”、Native Instruments「Traktor Z1 MK2」がデビュー…… Traktor Pro 4が無償バンドル

iZotope、次世代ミキシング・スウィート「Neutron 5」を発表…… 3種類の新モジュールが追加、MPS 7も同時リリース

IK Multimedia、Bösendorfer 214VCをサンプリングしたPianoverseの新作、「Black Pearl B200」をリリース

“どこでも作曲マシン”、「Ableton Move」がデビュー…… バッテリー駆動、スピーカーやマイクも内蔵したコンパクトな音楽制作デバイス

IK Multimedia、TONEXの誕生2周年を記念して、TONEX Pedalのホワイト・バージョンを発売…… 完全数量限定

原音の明瞭度をキープできる画期的な“アンマスク・リバーブ”、iZotope「Aurora」がデビュー…… 画像編集のマスク処理のようなリバーブが登場

来たる10月18日、ジョナサン・ワイナーのマスタリング・セミナー第二弾が開催…… エアロスミスやデヴィッド・ボウイの作品を手がけた匠が、その技を徹底解説

ボーカル・トラックの歌声をまったく異なる声質に変換できるプラグイン、Sonarworks「SoundID VoiceAI」が2.0にアップデート…… 待望の永続版ライセンスも登場

IK Multimedia、ホワイト・バージョンのiLoud MTM MKIIを本日から販売開始…… 最新の『ARC』音場補正機能に対応

teenage engineeringのクルマ型オブジェ、「grip car」の国内販売がスタート…… B&O製品などで知られるアナース・ハーマンセンがデザイン

Product Review: 鈴木”Daichi”秀行が聴く、IK Multimedia「iLoud Micro Monitor Pro」

ICON