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ディストーション・プラグインの傑作、iZotope「Trash」が復活…… 無償版の「Trash Lite」も提供されるように
iZotopeが新製品、「Trash(トラッシュ)」を発表。ディストーション・プラグインの傑作が、大きな進化を遂げて復活しました。無償で利用できる「Trash Lite」も用意されています。
iZotopeが2003年にリリースした「Trash」は、高機能なディストーション・プラグインの先駆けとなった製品です。ギター・アンプの単純なモデリングにとどまらず、モジュール化された“歪みの要素”を組み合わせ可能にすることで、ありとあらゆるディストーション・サウンドに対応。2012年にアップデートされたバージョン2では、ダイナミクスなどさらに多くの機能が追加され、世界中のクリエイターから支持を集めました。
惜しまれつつ一昨年、販売が終了した「Trash」ですが、このたび大幅な進化を遂げて見事復活。“Trash 3”ではなく、「Trash」というシンプルな製品名で、iZotopeの製品ラインに復帰しました。
新しい「Trash」では、“モジュラー・ディストーション”という旧バージョンのコンセプトはそのままに、より使いやすく、より高機能なプラグインへと進化を遂げています。大きく変わったのがユーザー・インターフェースで、ページ切り替えではなく、1画面で各モジュールのパラメーターを操作できるように。デザインや色使いも洗練され、これまで以上に音づくりがやりやすくなりました。
歪みを生み出す『Trash』モジュールは、“Noise Art”や“Distropia”など60種類以上のディストーション・タイプ(アルゴリズム)を搭載。そして最大4種類のディストーション・タイプをXYパッドにアサインし、自由にブレンドできるように。もちろん、周波数帯域を低域/中域/高域に分割して処理を行うマルチバンド仕様なので、一部の帯域だけ強く歪ませるということも可能。さらにはダイナミックに音色を変化できる“Tilt”という新パラメーターも追加されています。
コンボリューション処理によって響きを付加できる『Convolve』モジュールは、ピアノ・キャビネットやフレキシ・ガラス管など、実に600種類以上のIRデータを搭載。こちらも『Trash』モジュール同様、最大4種類のIRデータをXYパッドにアサインして、自由にブレンドすることができます。強力なのが、オーディオ・ファイルからIRデータを抽出できる機能“Impulse Response Loader”が備わっている点で、好みの音響特性で畳み込むことが可能。『Trash』モジュールと『Convolve』モジュールの処理は、入れ替えることも可能になっています。
音づくりに欠かせない『Filter』モジュールは、アナログ機材をモデリングした新しいアルゴリズムが搭載され、“Scream”パラメーターによって自己発振させることも可能に。また、新しい『Envelope』モジュールでは、入力音の振幅を使ってダイナミックに音色をモジュレーションすることが可能になっています。そして嬉しいのが、最後段に追加されたオート・ゲイン機能。この機能をオンにすることで、過激に歪ませた場合でも、突発的なクリップを回避することができます。
新生「Trash」は、Mac(Monterey以降)/Windows(10以降)に対応し、VST3/AU/AAXの各フォーマットをサポート(32bit/VST2は非対応)。Mac/Windows版の販売価格は16,200円で、2024年4月16日までの期間限定で、イントロ・プライスの12,800円で販売中。旧バージョンからのアップグレードは4,800円(イントロ・プライス。通常価格は8,200円)で、他の製品からのクロスグレードも7,980円で用意されています。また、冒頭でお伝えしたように無償版の「Trash Lite」もリリースされており、本バージョンからiPad版も提供されるようになりました(Mac/Windows版のユーザーも別途購入が必要)。
iZotopeの国内代理店であるメディア・インテグレーションは「Trash」のリリースに合わせて、オンライン・セミナー『FINAL FANTASY VII REBIRTH Master Class for Game Music』の開催も発表。作曲家/サウンド・デザイナーの鈴木光人氏をゲストに迎えて行われるこのセミナーでは、『ファイナルファンタジーVII リバース』など数々のヒット作品を手がけてきた同氏が、ゲーム音楽の制作ワークフローについて詳しく解説するとのこと。セミナーは4月上旬に配信開始予定で、2023年9月1日以降にNative Instrunments/iZotope製品の国内サポートIDをメディア・インテグレーションに登録した人であれば、無償で受講できるとのことです。詳細については、メディア・インテグレーションのWebサイトをご覧ください。