VIDEO SYNTH
世界中のビデオ・アーティスト待望のHD解像度/HDMI入出力のグリッチ・プロセッサー、BPMC「HDK-01」がデビュー
現代のワークフロー/システムにマッチしたHD解像度/HDMI入出力のグリッチ・プロセッサー、「HDK-01」がデビュー。Indiegogoで予約販売がスタートしました。
ビデオ機器の不調/誤作動によって生じる“壊れた映像(バグった映像)”を作り出すグリッチ・プロセッサーは、多くのビデオ・アーティスト/VJから支持されているデバイスです。既存のビデオ機器をサーキット・ベンドしたものからオリジナルの回路を積んだものまで、テイストの異なるグリッチ・プロセッサーが多数出回っており、BPMC、Mezkalin、Syntonie、LoFi Future、LullabyMachinesなどなど、世界中のデベロッパーが日々新しいデバイスの開発に取り組んでいます。
本日(2023年8月18日)、Indiegogoでクラウドファンディングがスタートした「HDK-01」は、BPMCが満を持して発表した新世代グリッチ・プロセッサー。この類のガレージ・メーカー製ビデオ・デバイスは、SD解像度/コンポジット入出力のものがほとんどですが、「HDK-01」はHD解像度/HDMI入出力という現代的な仕様になっているのが大きな特徴です。BPMCによれば、HD解像度のグリッチ・プロセッサーを実現するべく、HDMI伝送領域での映像の毀損技術を2017年に開発。その独自技術を元に出来上がったのが「HDK-01」で、720p/1080i/1080pのHDMIソースを、アナログ信号に変換することなくグリッチさせることが可能になっています。
「HDK-01」は、コンパクトなデスクトップ筐体が採用され、入出力および操作体系の詳細は不明ですが、RGBそれぞれの信号用に2つのノブと4つのスイッチが備わっているもよう。ローンチに合わせて公開されたデモ・ビデオでは、従来のグリッチ・プロセッサーとは明らかに異なる、高解像度でエッジの効いたグリッチ・エフェクトを確認することができます。またBPMCは、「HDK-01」の発表を記念して、ローランド V-02HDのサーキッド・ベンド・モデルもお披露目。このハンドメイドの改造V-02HDは、「HDK-01」と相性の良いビデオ・ミキサーとして設計され、スタック可能なグリッチ・エフェクトが5種類追加されているとのこと。この改造V-02HDも、Indiegogoでオーダーすることができます。
最後に、開発元のBPMCについても簡単に紹介しておきましょう。アメリカ・ポートランドに工房を構えるBPMCは、ビデオ・アーティストのビッグ・パウパー(Big Pauper)が2009年に立ち上げたガレージ・メーカー。グリッチ・プロセッサーをメインに手がけるガレージ・メーカーの中ではもっとも有名な工房であり、Eurorackバージョンも販売されたオリジナル回路のグリッチ・プロセッサー Fluxus Duoは、販売が終了した今でも多くのビデオ・アーティストに愛用されています。また2019年、アメリカ・ロサンゼルスで開催された『 Moog House of Electronicus』に、Moog Musicからのご指名でビデオ・シンセサイザーを設置したのもBPMCでした。
世界中のビデオ・アーティストが待ち望んでいたHD解像度/HDMI入出力のグリッチ・プロセッサー、「HDK-01」。Indiegogoでの販売価格は、アーリーバードが589ドル(40台限定)、ライト・ディスカウントが639ドル(60台限定)、通常価格が689ドルで、出荷予定は2023年12月となっています。また、ローランド V-02HDの改造モデルの販売価格は1,249ドル(20台限定)で、最初の10台が2023年11月、残りの10台が2024年2月に出荷される予定とのこと。さらなる詳細は、Indiegogoのキャンペーン・ページをご覧ください。