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SYNTH & MACHINE

日立製作所が1960年代に開発したアナログ・コンピューター、“Hitachi 240”が生成する電子音を収録したビデオが公開

オランダの電子音楽スタジオ『Willem Twee studios(ウィレム・トウィ・スタジオ)』が、日本の日立製作所が1960年代に開発したアナログ・コンピューター、“Hitachi 240”を電子楽器として使用したビデオを公開し、注目を集めています。

オランダ南部の都市、ノルトブラバント州スヘルトーヘンボスにある『Willem Twee studios』は、2015年に開設されたパブリックな電子音楽スタジオです。施設は、1950年代〜1960年代の測定機器/アナログ・コンピューターが設置された“Studio 1”、1960年代〜1970年代のモジュラー・シンセサイザーが常設された“Studio 2”、コンパクトなプロジェクト・スタジオである“Studio 3”、Steinway製グランド・ピアノやパイプ・オルガンが設置されたコンサート・ホール“Studio 4”という4つの空間で構成され、音楽家はもちろんのこと、スタジオに興味のある人なら誰でも利用することが可能。内部の様子は、HAINBACHのビデオなどで確認することができ、『Willem Twee studios』自身もYouTubeSNSを使って積極的に発信を行っています。

そんな『Willem Twee studios』が公開したのは、日立製作所のアナログ・コンピューター、“Hitachi 240”を使って電子音を生成したビデオ。日立製作所は国内で他に先駆けてアナログ・コンピューターの開発に着手した企業であり、1953年には純国産機としては初となる繰返型アナログ・コンピューターを完成させ、1955年には戸塚工場でアナログ・コンピューターの生産を開始。さまざまな用途で活躍した同社のアナログ・コンピューターですが、その一つとして有名なのが鉄塔間の“送電線のたわみ計算”で、戦後日本の電力インフラの整備に大いに貢献しました。

Hitachi Analog Computer

“Hitachi 240”の元になった“Hitachi 505”

『Willem Twee studios』に常設されている“Hitachi 240”は、アナログ・コンピューターの文献によく登場する“Hitachi 505”のスピンオフ・モデル。1960年代に開発された“Hitachi 505”は、デジタル・コンピューターを内包しない完全なアナログ・コンピューターでありながら、リング・カウンター、ゲート、フリップフロップといったデジタル論理演算モジュールを多数搭載しているのが特徴。『Willem Twee studios』によれば、その姉妹機である“Hitachi 240”は当時オランダのすべての工業高校に設置(!)されたとのことで、また作動電圧が10Vであることから、音楽用モジュラー・シンセサイザーとの接続性に優れているのもポイントとのことです。公開されたビデオでは、完全に機能する“Hitachi 240”が2台併用され、6種類の減衰サイン波がオーディオ・レートで生成されています。

1960年代の純国産アナログ・コンピューターが生成する電子音。気になる方はぜひビデオをチェックしてみてください。

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