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Soma Laboratory LYRA-8を再現した無料のソフトシンセ「LIRA•8」…… 延々と遊べる“ソフトウェア・ドローン・マシン”
デベロッパーのMike Moreno DSPが配布している「LIRA•8」は、Soma LaboratoryのLYRA-8を元に開発された無料のソフトウェア・シンセサイザー(VST3/AU/Pura Data対応)。“オーガニック・シンセサイザー”を謳うLYRA-8のユニークな構造(アルゴリズム)が、とても忠実に再現されています。

Mike Moreno DSP「LIRA•8」
無線技術者だったヴラド・クレイマー(Vlad Kreimer)が2016年に立ち上げたSoma Laboratoryは、ロシア発の新興の電子楽器メーカー。設立後間もない同社ですが、独創的な電子楽器を次々に発表し、シンセ・フリークの間で一躍その名が知られるようになりました。そんなSoma Laboratoryの現時点での代表作と言えるのが、LYRA-8と名付けられたデスクトップ型のアナログ・シンセサイザーで、手前に取り付けられた金属製のタッチ・センサーで演奏する実験的な電子楽器=“ドローン・マシン”です。音源となるのは各々ピッチをコントロールできる8基のオシレーターで(Soma Laboratoryは“ジェネレーター”と呼んでいます)、ジェネレーターは2基を1組として“ボイス”として扱われ、計4組のボイスはレイヤーして鳴らせるだけでなく、有機的にFMモジュレーションすることが可能。上部には、複雑なモジュレーション波形を生成する『HYPER-LFO』、クロス・フィードバック対応のデュアル・ディレイ『MOD-DELAY』、最終段で音を歪ませることができる『DISTORTION』といったセクションも備えています。

Soma Laboratory LYRA-8
Mike Moreno DSPの「LIRA•8」は、LYRA-8のサウンドと機能をコンピューター上にほぼ完璧に再現したソフトウェア(注:Mike Moreno DSPによれば、Soma Laboratoryとのコラボレーションで開発されたものではないとのこと)。ソフトウェアですので、LYRA-8の大きな特徴であるタッチ・センサーで演奏することはできませんが、各ジェネレーターはMIDIノート(C2〜G2)でトリガーすることが可能。「LIRA•8」を見て、「こういうドローン・シンセは、ハードだから楽しいのでは……」と感じた人も多いのではないかと思いますが、実際にインストールしてみると想像以上に楽しく、かなり遊べるソフトウェア・シンセサイザーという印象です。
「LIRA•8」に用意されている主要パラメーターは、以下のとおりです。
- TUNE:各ジェネレーターのピッチをコントロールします。ジェネレーターごとにフリケンシー・レンジが異なり、3〜6は標準ですが、1〜2は低域、7〜8は高域に寄ったレンジになっています。
- FAST:ボイス(隣り合う2基のジェネレーターの組)のアタック/リリース・タイムを選択します。オンのときは速いアタック/リリース・タイム、オフのときは遅いアタック/リリース・タイムになります。
- SHARP:ボイスの波形をモーフィングします。
- MOD:ボイスのモジュレーションの深さをコントロールします。モジュレーション・ソースは、上のスイッチで選択します。スイッチが左のときは隣のボイス、右のときは最上部の『HYPER-LFO』がモジュレーション・ソースとなります。
- HOLD:隣り合う2組のボイスのホールドと音量をコントロールします。スライダーを操作すると音がホールドし、音量も上がっていきます。
- PITCH:隣り合う2組のボイスのピッチを一括コントロールします。
- 34>56/78>12:ボイスのモジュレーション・ソースを入れ替えるスイッチです。このスイッチをオンにすると、ボイス56のモジュレーション・ソースはボイス34になり、ボイス12のモジュレーション・ソースはボイス78になります。つまりオンのときは、4組のボイスが完全なFMループとなります。
- TOTAL-FB:モジュレーション・ソースの『HYPER-LFO』を、「LIRA•8」の最終出力に入れ替えてしまう強力なスイッチです。
- VIBRATO:ヴィブラートのオン/オフを切り替えるスイッチです。ヴィブラートのフリケンシーは、ボイスごとに異なります。
本格的な“ソフトウェア・ドローン・マシン”であり、延々と遊ぶことができる「LIRA•8」。Mac(AU/VST3)/Windows(VST3)/Linux対応で、Pure Dataで使用できるスタンドアローン・バージョンも用意されています。気になった方は、Mike Moreno DSPのGumroadから無料でダウンロードできますので、ぜひチェックしてみてください。GitHubではソース・コードも公開されています。
