Feature Image

NEW DEVICES

ゲーム感覚でフレーズを無限に生み出すことができるポータブル・シンセサイザー、「Ellitone E[64]」が間もなく発売

Etsyでオリジナルの電子楽器の販売を行っているEllitone Synthesizersが、新製品「Ellitone E[64]」の予約受付を開始。大きな注目を集めています。

Ellitone Synthesizers - Ellitone E[64]

アメリカ・ミズーリ州南部の工房で、ガレージ・メーカーならではの独創的な電子楽器をコツコツと生産しているEllitone Synthesizers。先ごろ予約受付が始まった新製品「Ellitone E[64]」は、シーケンサー内蔵型のポータブル・シンセサイザー。携帯ゲーム機を彷彿とさせる横型の筐体には、12ボイスの本格的なウェーブテーブル・シンセサイザーを搭載し、左端の十字ボタンと右端のセレクト&パラメーター・ボタンを使って、ゲーム感覚で音作りを行うことができます。ウェーブテーブル波形は128種類用意され、異なる波形をモーフィングすることも可能。後段にはローパス・フィルターと、テープ・エコーを模倣したというローファイなディレイも内蔵し、ポータブル・シンセサイザーとは思えない多彩な音づくりが可能になっています。

Ellitone Synthesizers - Ellitone E[64]

これだけでも十分興味をそそられる「Ellitone E[64]」ですが、最大の特徴は音源部ではなく、ユニークなシーケンサー部にあります。「Ellitone E[64]」には最大64ステップのシーケンサーが備わっていますが、ユーザーが自分でフレーズを入力する普通のシーケンサーではありません。ルート/スケール/ステップ長/リズムといったパラメーターを設定し、フレーズの“動き”(「Ellitone E[64]」では『Path』と呼びます)を64種類の中から選んでパターンを作成する、いわゆるチャンス・シーケンサーが搭載されているのです。左上に備わった8×8=64個のマトリクスLEDにはそれぞれノートが割り振られ、十字ボタンやパラメーター・ボタンを使って『Path』やリズムをリアルタイムに変化させることで、まさしくゲーム感覚でパターンを作成することが可能。おもしろいのが、『Path』やノートを上下左右に“ナッジ”できる『Twist』というパラメーターが用意されている点で、これにより無限とも言えるパターン生成を可能にしています。

Ellitone Synthesizers - Ellitone E[64]

ゲーム機のようなユーザー・インターフェースは、4つのセクションに分かれている。チャンス・シーケンサーを操作するのが、左側の『notes』と『sequencing』

Ellitone Synthesizers - Ellitone E[64]

フレーズの“動き”を決めるパラメーター、『Path』。64種類の中から選ぶことができ、『Twist』というパラメーターで上下左右に“ナッジ”することも可能

開発者のエリス(Ellis)さんはこのようなチャンス・シーケンサーを搭載した理由について、以下のように語っています。

自力でパターンを作って作曲する苦労から、どうにかして抜け出せないかというのが「Ellitone E[64]」開発のスタート・ポイントでした。現在利用できる音楽制作ツールのほとんどは、“空白のキャンバス”にノートを置いて、ゼロから曲作りをスタートしなければなりません。しかし私は、この方法が非常に退屈だなと感じていたのです。「Ellitone E[64]」では作曲エンジンによって、複雑なパターンを即座に作成することができます。この方法でパターンを作成した方が、自分でゼロから作成するよりもはるかに奇妙で、美しいパッセージが生み出せることが分かりました。作曲エンジンを使用する上で、音楽理論の知識はゼロで構いません。ユーザーは33種類のパラメーターを操作するだけで、複雑なパターンを生み出すことができます。

このようなチャンス・シーケンサーは決して珍しいものではありませんが、YouTubeにアップされたデモ・ビデオを見ると、「Ellitone E[64]」のシーケンサーがとてもよく考えられていることが分かります。ゲーム機ライクなユーザー・インターフェースも、チャンス・シーケンサーの操作にとても合っており、ウェーブテーブル・シンセサイザーとチャンス・シーケンサーの相性もバッチリという印象です。

Ellitone E[64]」の価格は324.99ドルで、日本への送料は20ドル。出荷は2020年6月半ばより開始され、本記事作成時点でまだ最初のバッチが残っているもようです。ユニークなチャンス・シーケンサーを搭載したポータブル・シンセサイザー、「Ellitone E[64]」。気になる方はぜひデモ・ビデオをチェックしてみてください。

IK Multimedia、珠玉の“メタル・トーン”を再現する「TONEX Metal Gems」をリリース…… Peavey 5150やSoldano SLO-100などを忠実にモデリング

シングルボードコンピュータをモジュール化した“Eurorack PC”、「PAC BOT」…… モジュラーシンセの中でDAWやプラグインを使用することが可能に

ストンプ・メーカーが作ったJUNO/Polysixインスパイアのバーチャル・アナログ・シンセ、VONGON「REPLAY」がデビュー

Amiga独特のローファイでクラッチーなサウンドを再現するプラグイン・サンプラー、PotenzaDSP「Amigo」がリリース

ディストーション・プラグインの傑作、iZotope「Trash」が復活…… 無償版の「Trash Lite」も提供されるように

ボタンとジョイスティックでコードを演奏できるポケット・シンセ、Pocket Audio「HiChord」が誕生

Waves、入力音のダイナミクスでエフェクトを変調できる、これまでにない空間系複合プロセッサー「Space Rider」を発売

Arturia、「Pigments 5」を発表…… マルチ・コア処理に最適化、1クリックでメロディーを生成するジェネレーティブ機能も搭載

ローランド、オール・イン・ワンのゲーム配信用デバイス、「BRIDGE CAST X」を発表…… HDMI入力の装備により、映像も扱うことが可能に

コルグ「handytraxx play」がデビュー…… クロス・フェーダーやルーパー、エフェクトを搭載、これ1台でDJプレイが楽しめるクリエイティブなレコード・プレーヤー

コルグ、伝説のシンセサイザーを復刻した「PS-3300FS」を発表…… 約半世紀の年月を経て蘇る、“全鍵ポリフォニック”のモンスター・シンセ

ALM/Busy Circuitsから便利モジュール、「MEGA MILTON」が登場…… レベル変換/ミキサー/スリュー・リミッター/S&H/マルチプルといった機能が集約

コルグのDIYシンセ、NTS-1 digital kitが“mkII”として進化…… 新たにマルチタッチ・キーボードを搭載、MIDIシーケンサーとしても機能するように

コルグ、NTSシリーズ第3弾「NTS-3 kaoss pad kit」を発表…… 自分の手で組み立てる“DIY KAOSS PAD”がデビュー

ボス、新型ボーカル・プロセッサー「VE-22」を発表…… コンデンサー・マイクにも対応、配信に便利なUSBオーディオIF機能も

名機コルグ microKORGの新世代モデルが待望のデビュー…… 音色の“時代感”を選択できるタイム・トラベル機能も搭載

Cycling ’74、Max 8.6をリリース…… SFZファイル対応によってサンプリング音源を簡単に実現、ゲーム・コントローラーを利用できる新オブジェクトも登場

iZotope、最低限の操作でボーカル/喋り声の品質を向上できる新機軸のプラグイン、「VEA」を発表…… 4,200円で販売中

ICON