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Valhalla DSP、まったく新しいリバーブ/ディレイ・プラグイン、「Valhalla Supermassive」の無償配布を開始
Valhalla DSPが、新作のプラグイン「Valhalla Supermassive(バルハラ・スーパーマッシブ)」を発表しました。「Valhalla Supermassive」は、8種類のアルゴリズムを選択できる新種のリバーブ/ディレイで、誰でも無償でダウンロードすることができます。
質の高いリバーブで世界的に高く評価されているValhalla DSPが、新作のプラグイン「Valhalla Supermassive」をリリースしました。既存の製品からアルゴリズムを流用せず、完全にゼロから開発したという「Valhalla Supermassive」は、バリエーション豊かなエフェクトを作り出すことができるプラグイン。アルゴリズムの核となるのは、出力を入力に返す(フィードバックさせる)“ディレイラインの束”(FDN=Feedback Delay Network)であり、ディレイラインの本数、そのルーティングとミキシング、各種パラメーターを変化させることで、多彩なリバーブ/ディレイ・エフェクトを生み出します。
開発者のシーン・コステロ氏(Sean Costello/Valhalla DSPの“アルゴリズミック・リバーブ・ウィザード”)によれば、氏の20年以上にもおよぶリバーブ研究の中で、決してナチュラルな響きではない“非現実的なアルゴリズム”をいくつも発見したとのこと。それらは多くの人が好む、“部屋の残響のようなリバーブ”や、“ヴィンテージ・アウトボードのようなリバーブ”には役に立たなかったため、長年放置していたとのことですが、そういった“非現実的なアルゴリズム”を集めてプラグイン化したのが、今回の「Valhalla Supermassive」なのです。コステロ氏いわく、「Valhalla Supermassive」は“長年放置されていたアルゴリズムの祭典”であり、音の粒子が粗かったり、極端に明るい音になってしまったり、あるいは金属的な音になってしまったり、あるときはレーザー銃のように発振してしまったりと、決して洗練された(理想的な)リバーブ/ディレイではないとのこと。しかしそういった荒削りで不器用なサウンドこそ、「Valhalla Supermassive」の持ち味であり、コステロ氏はそのサウンドを、“悔い改めずにデジタル、悔い改めずに不自然”と独特の表現で評価しています。
「Valhalla Supermassive」の肝となるパラメーターが、UIの中央に配された『WARP』です。『WARP』では、先述のFDNのディレイ・タイムを一括制御でき、”ハーモニック・ディレイ“や”ディレイ・クラスター“といったエフェクティブな効果を作り出すことが可能。もうひとつ、「Valhalla Supermassive」を使いこなす上で重要なパラメーターが『DENSITY』で、100.0%に設定した場合は自然な響きのリバーブとなりますが、設定値を下げることで残響音の密度を不自然に(歪に)コントロールできるようになっています。たとえば、一般的なリバーブは減衰するに従って残響音の密度も低くなっていきますが、『DENSITY』の設定値を下げると、時間軸とは比例しない“点描”のような残響音を得ることが可能。コステロ氏いわく、“このような残響の変化はこれまで回避していたものだったが、今回は奇妙で素晴らしい効果として実装した”とのことです。
「Valhalla Supermassive」に用意されているパラメーターは、以下のとおりです。
- MODE:8種類のアルゴリズムを切り替えます。搭載されているアルゴリズムは以下のとおりです。
- Gemini:最も“普通な”リバーブです。アタックは非常に速く、残響音は指数関数的に自然に減衰します。『DENSITY』を最大値、『WARP』を50.0%以上の値に設定すると、とてもスムーズなリバーブになります。『DENSITY』を下げると、減衰音の密度が時間経過とともに低くなり、点描的なリバーブを得ることができます。
- Hydra:アタックが比較的速い、豊かな響きのリバーブで、残響音は時間をかけて指数関数的に減衰します。『DENSITY』の設定値によってそのサウンドは大きく変化し、0.0%ではシンプルなディレイですが、設定値を上げるとエフェクトの密度が高くなり、複雑なリバーブ/ディレイになります。モジュレーション機能(後述)がとても有効なアルゴリズムです。
- Centaurus:アタックが遅く、ディケイが短い、残響音がわずかに持続するアルゴリズムです。アタックとディケイは『FEEDBACK』の設定値によって変化し、『FEEDBACK』の設定値を上げると、アタックは速く、ディケイは長くなります。『WARP』パラメーターを組み合わせることで、フェード・イン/フェード・アウトするエフェクトを作り出すことができます。
- Sagittarius:Centaurus同様、『FEEDBACK』の設定値によってアタックとディケイが変化するアルゴリズムです。『FEEDBACK』の設定値が70.0%以下の場合、ゆっくりと、同じ長さでフェード・イン/フェード・アウトします。『FEEDBACK』の設定値を上げると、フェード・インは速く、ディケイは長くなり、時間の経過に合わせてフェードするエフェクトに最適なアルゴリズムです。
- Great Annihilator:Centaurusを元に、より大規模に拡張したアルゴリズムで、かなりのプリ・ディレイを伴う遅いアタックと、非常に長いディケイが特徴です。
- Andromeda:Sagittariusを元に、より大規模に拡張したアルゴリズムで、かなりのプリ・ディレイを伴う遅いアタックと、数千秒にもおよぶ非常に長いディケイが特徴です。
- Lyra:アタックは速く、ディケイは長く、残響音の密度はとても低いアルゴリズムです。『DENSITY』を高めに設定した場合でも、リバーブ・ドメインよりもディレイ・ドメインに多くの時間を費やすので、時間経過に伴って徐々に音が拡散していくスペース・エコーのようなエフェクトに最適です。
- Capricorn:Lyraを拡張したアルゴリズムで、速いアタックと長いディケイは共通ですが、残響音の密度が中程度というのが違いです。点描的なリバーブや豊かなコーラスに最適です。
- MIX:原音/エフェクト音のミックス・バランスを、0.0〜100.0%の範囲で設定します。0.0%は完全に原音のみ、100.0%は完全にエフェクト音のみになります。また、上の“MIX”と記されている部分をクリックすることで、設定値をロックすることもできます(もう一度クリックすると、設定値のロックは解除されます)。
- WIDTH:ステレオ・イメージの広がりを、-100.0〜0.0〜100.0%の範囲で設定します。100.0%で最大のステレオ・イメージ、0.0%でモノラル、マイナス値で逆相になります。一部のアルゴリズムは音が左右に動きますが、マイナス値を設定した場合、その方向も逆になります。
- DELAY:FDNを構成するディレイラインの最も長いディレイ・タイムを0.0〜2,000msの範囲で設定します。アルゴリズムや『WARP』の設定値によっては、ここで設定したディレイ・タイムでディレイが聴こえない場合もあります。下の『Msec』メニューをクリックすることで、ミリ秒単位ではなく、ホスト側のテンポにシンクした音符単位でディレイ・タイムを設定することもできます。
- WARP:『DELAY』の設定値を元に、FDNを構成する各ディレイラインのディレイ・タイムの変化幅を0.0〜100.0%の範囲で設定します。
- 0.0%:FDNを構成する各ディレイラインのディレイ・タイムは、『DELAY』で設定した値となります。
- 0.0%以上:FDNを構成する各ディレイラインのディレイ・タイムは、設定値に従ってどんどんずれていき、『DELAY』の設定値よりも短くなります。
- 5.0〜15.0%:音の減衰に従って残響音が低く響く、奇妙な“ハーモニック・ディレイ”を生み出します。
- 20.0〜50.0%:初期のディレイ音がどんどん不明瞭になり、フィードバックが徐々に反響していく“ディレイ・クラスター”を生み出します。
- 50.0%以上:残響音がどんどん大きくなります。
- CLEAR:このボタンをクリックすると、バッファーが完全に消去されます。
- FEEDBACK:FDNのフィードバックを0.0〜100.0%の範囲で設定します。フィードバックを上げるとディケイも長くなり、一部のアルゴリズムではアタックの速さにも影響を与えます。
- DENSITY:出力に現れるディレイ音の量を、0.0〜100.0%の範囲で設定します。
- 0.0%:FDNを構成する各ディレイラインのルーティングは、完全に並列あるいは直列になり(アルゴリズムにより決定)、それらが途中でミックスされることはありません。
- 0.0%以上:FDNを構成する各ディレイラインが途中でミックスされるようになり、残響音の密度が増加します。また、ディレイ音が左右にクロスフェードするようになります。
- 100.0%:FDNを構成する各ディレイラインは完全にミックスされます。普通のリバーブを得たい場合はこの設定が最適です。
- MOD Rate:モジュレーションのスピードを、0.01〜10.00Hzの範囲で設定します。「Valhalla Supermassive」は、多相のサイン波をオシレーターとするモジュレーション機能を搭載しており、広がり感のあるコーラス/アンサンブル効果を作り出すことができます。
- MOD Depth:モジュレーションの深さを、0.0〜100.0%の範囲で設定します。「Valhalla Supermassive」 では、高速なモジュレーション時に音程を維持するため、MOD Depthの設定値がMOD Rateの設定値にも影響を与えるようになっています。MOD Depthを0.0%に設定するとドライなサウンドになり、WARPによる音の変化が分かりやすくなります。
- EQ High:ローパス・フィルター(-6dB/Oct)のカットオフ周波数を、200〜20000Hzの範囲で設定します。ローパス・フィルターは出力段に備わっているため、ディレイラインのフィードバックには影響を与えません。
- EQ Low:ハイパス・フィルター(-6dB/Oct)のカットオフ周波数を、10〜2000Hzの範囲で設定します。ハイパス・フィルターは出力段に備わっているため、ディレイラインのフィードバックには影響を与えません。
- PRESET:プリセットを選択します。プリセットの保存や、コピー/ペーストもここから行えます。
いかにもValhalla DSP製らしい、高い品質とユニークな機能を併せ持った新プラグイン、「Valhalla Supermassive」。煩わしい登録手続きをすることなく、誰でも無償で利用できますので、ぜひダウンロードすることをおすすめします。