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SUPERBOOTH 2018: 独自の合成方式を採用した強力なソフト・シンセ、JoboMusic「FLEXION」がデビュー! 作成した音色を共有/販売できる機能も搭載
先週、3日間にわたって開催された世界最大のシンセサイザーの祭典、『SUPERBOOTH』。会場で知り合いのメーカー関係者/メディア関係者に遭遇すると、必ず「何かおもしろい新製品はありました?」という話になるのですが、複数の人が「あれは凄い。リリースが楽しみ」と言っていたのが「FLEXION」というソフトウェアです。
ドイツのJoboMusicという新興デベロッパーが披露した「FLEXION」は、“Constructive Synthesis”という合成方式でサウンドを生み出す新種のソフトウェア・シンセサイザー。“Constructive Synthesis”を直訳すると、“構築型合成”となりますが、JoboMusicのディレクターであり開発者でもあるJohannes Bochmann氏によれば、「よりコア・レベルで音色を作り出すことができる合成方式」とのこと。これまで以上に緻密で自由な音作りを可能にするソフトウェア・シンセサイザー、それが「FLEXION」なのです。
Johannes Bochmann氏に特別に送ってもらった、“Constructive Synthesis”「FLEXION」の主な特徴は以下のとおりです。
- オシレーター、モディファイアー、モジュレーターをモーフィングで生成する『Flexcurve』
- オシレーターは、以下の3つの要素をレイヤーすることで生成:
- 1:基本的な音色を定義する『Flexcurve』
- 2:変形可能なスペクトラム・エンベロープを定義する『Flexcurve』
- 3:規則に従ったサウンド・ベンディング
- モディファイアーは、フェイズ・ディストーション、ウェーブシェイピング、スペクトラル・ストレッチに対応
- 伝統的なフィルターのような振る舞いのスペクトラル・フィルター
- 出力シグナル/フィードバック・シグナルとして機能するリアクティブ・フリケンシー
- エフェクト・チェーン
- エンベロープ・モード/LFOモードで使用できる4基の変形可能なフリーフォーム・モジュレーター
- モジュレーターあたり4基使用できるサブ・モジュレーター(ステップ・モジュール/ノイズ・モジュールを含む)
…… と、一応日本語に訳してみましたが、これだけでは何が何だか分からないと思います。
「FLEXION」の“肝”と言えるのが、『Flexcurve』と呼ばれる自由自在に描くことができる曲線で、これによって基本となるオシレーター波形はもちろん、モディファイアー/モジュレーター波形などを思うがままに作成できるようになっています。オシレーターは複数合成することができ、フィルターやスキュー、ウェーブシェイパーといったモディファイアーによって音を加工することが可能。そして同じく『Flexcurve』ベースのエンベロープやLFOといったモジュレーターによって、音を変調する…… というのが「FLEXION」の基本のアルゴリズムのようです。ですから、全体を構成する要素は従来のシンセサイザーとそれほど変わりませんが、それらを『Flexcurve』で自由自在に生成し、縦横無尽に組み合わせられのが「FLEXION」の大きな特徴と言えそうです。
ブースではひととおりデモしてもらいましたが、『Flexcurve』(画面上部のカーブ)によって音色は劇的に変化し、非常に滑らかに遷移します。パラメーター数も膨大で、時間をかけて凝った音作りをしたいという人には最適なソフトウェア・シンセサイザーという印象でした。ユーザー・インターフェースも美しく、使っていて“気持ちのよいソフトウェア”と言えるでしょう。
「FLEXION」の特徴はこれだけではありません。実はこの「FLEXION」、作成した音色に専用のユーザー・インターフェース(!)を付けることができるのです。膨大なパラメーターが用意されている「FLEXION」ですが、一度音色ができてしまえば、その後に触るパラメーターは数個ということがほとんどのはず。「FLEXION」ならば、音色ごとにユーザー・インターフェースを作成できるため、まるで自分オリジナルのソフト・シンセ/プラグインのような感覚で使用することができるのです。Native Instruments Reaktorのようなイメージと捉えてもらえれば分かりやすいでしょう。
さらにユーザー・インターフェースを付けて保存したプリセットは、クラウド・ベースのプリセット・ブラウザーを使って他人とシェアすることもできます。プリセットには作者情報などを含めることもでき、中身をロックする(中身を見れないようにする)ことも可能。さらには“有料プリセット”として販売する(!)ことも可能で、腕に覚えのあるサウンド・デザイナーならば「FLEXION」内で利益が得られるシステムになっています。JoboMusicは、このようなプリセット・シェア/マーケットプレース機能を備えた「FLEXION」を称して、“コミュニティー・ベース・シンセサイザー”と呼んでいます。
これまでに無いとてもユニークなソフトウェア・シンセサイザー、「FLEXION」。Johannes Bochmann氏によれば、近日中にベータ・テストを開始する予定とのこと。興味のある方は、Webサイトでメール・アドレスを登録してみてはいかがでしょうか。