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製品開発ストーリー #35:IK Multimedia Syntronik 〜 究極のシンセ音源を作り上げた男、エリク・ノーランダー氏インタビュー
5月に発表されたIK Multimediaの新製品、「Syntronik(シントロニック)」の販売が本日(2017年7月20日)20:30(日本時間)から開始されました。「Syntronik」は、往年のシンセサイザー/ストリングス・マシン、計38機種のサンプルを贅沢に収録した新しいソフトウェア・インストゥルメント。IK Multimediaが長年培ってきたサンプリング技術に、MODO BASSやT-RackSで定評のあるモデリング技術を融合、過去の名機の再現にとどまらない“新しい音作り”を可能にする、次世代のシンセサイザー音源です。ヴィンテージ・マシンの音の太さや温かみは、アナログ回路特有の揺らぎ/不安定さによるところが大きいと言われていますが、「Syntronik」では新技術“DRIFT”によってアナログ回路特有のふるまいも完璧に再現。さらにはモデリングによる4種類のフィルターの搭載によって、“Oberheim SEMのオシレーターにMoogのラダー・フィルターを組み合わせる”といった夢のような音作りも可能になっています。
API 500 Seriesを彷彿とさせる38種類のエフェクトや、強力なアルペジエーター機能なども備え、使い手のクリエイティビティを大いに刺激してくれる次世代のシンセサイザー音源、「Syntronik」。そこでICONでは、「Syntronik」の音源開発の中心人物であるエリク・ノーランダー(Erik Norlander)氏に、開発コンセプトと機能について話を伺ってみることにしました。エリク・ノーランダー氏は、AlesisのAndromedaの開発にも携わったシンセサイザーの世界では非常に有名な人物です(エリク・ノーランダー氏のWebサイトは、こちら)。
なおこの「Syntronik」、発売と同時に無償版の「Syntronik Free」も公開されました。「Syntronik Free」は、サウンドを50種類に限定したバージョンですが、機能面は「Syntronik」と同一(!)とのこと。後で有償版のインストゥルメントを個別に購入/追加することも可能になっています。「Syntronik」が気になるものの、すぐに購入を決断できない…… という人は、まずは「Syntronik Free」をダウンロードしてみてはいかがでしょうか。また有償版の「Syntronik」は、2017年7月末までの期間限定で、beatcloud.jpでのダウンロード版が50%OFFとなっています(注:これは日本でのみ実施されるプロモーションで、IK MultimediaのWebサイトで購入する場合は通常価格になってしまうので、十分に注意してください。2017年7月末まで50%OFFで購入できるのは、beatcloud.jpのみです!)。ダウンロード版の50%OFF後の価格は、フル版が17,000円(税別)、99ドル/99ユーロ以上のIK Multimedia製品を1つでも所有していれば購入できるクロスグレード版は11,500円(税別)。購入を検討している人は、2017年7月末までに決断するのが吉と言えそうです(自分がクロスグレード版の購入権利があるか分からない…… という人は、こちらの記事を参照してください)。
それではエリク・ノーランダー氏によるIK Multimedia「Syntronik」製品開発ストーリー、お楽しみください!
ヴィンテージ・マシンをかつてないレベルで再現した上で、さらに“その先”に進むことができる新しいシンセサイザー音源
——— まずはエリクさんの経歴から簡単におしえていただけますか。
EN 私はアメリカ・カリフォルニアのハリウッド出身で、小さい頃からジャズやクラシックを学んで育ちました。大学では英文学を専攻したのですが、音楽家への道が捨てがたく、修士課程の途中で退学しました。その後はキーボーディスト、作曲家、プロデューサーとして40を超えるアルバムに参加し、これまでにソロ・アルバムを10枚リリースしています。一緒に10枚のアルバムを作ったラナ・レーンは私の妻なのですが、彼女は日本でも人気があり、来日公演にも同行しました。日本で人気といえば、キーボーディストとしてエイジア・フィーチャリング・ジョン・ ペインのツアーに参加したこともあり、『Seasons Will Change』の共同作曲家としてもクレジットされています。
——— IK Multimediaの仕事を手がけるようになったのは?
EN 私はAlesis Andromedaの開発に携わったほか、The Bob Moog Foundationの活動にも深く関わるなど、いくつかの楽器メーカーと仕事をともにしてきました。そんなこともあり、数年前からIK Multimedia製品の音源制作を手がけるようになったのです。SampleMoogに始まり、SampleTank 3、その拡張音源、iOSアプリのiGrand Piano、iLectric Pianoなど、これまで多くの製品の音源を制作してきました。
——— 新製品の「Syntronik」がいよいよ発売になります。MODO BASSの次のソフトウェア・インストゥルメントとして、シンセサイザー音源を開発することになった経緯をおしえてください。
EN 私たちはみなさんに、ソフトウェア・インストゥルメントの“トータル・ソリューション”を提供したいと考えています。その目標に沿って2014年、マルチ音源であるSampleTankの久々のメジャー・バージョン・アップを実施しました。また、音源をアプリ内課金で追加することができる無償版、SampleTank Custom Shopも同時に公開し、その拡張音源となるCinematic Percussion、Brandenburg Pianoをリリースしたのです。その後もチェコのプラハで収録したオーケストラ音源、Miroslav Philharmonik 2や、ハリウッドで収録したOrchestral Percussionなど、アコースティック楽器を中心にSampleTank 3の拡張音源をリリースしてきました。そしてご存じのとおり昨年、エレクトリック・ベースをフィジカル・モデリングで再現したMODO BASSをリリースし、主だったアコースティック楽器はほぼ揃ったと言える状況になりました。
ですから、その次に最高のエレクトロニック・サウンドを網羅したシンセサイザー音源の開発に取り組んだのは、私たちにとって必然のステップだったのです。そこではSampleMoogやSonik Synthといった過去の製品をアップデートするという選択肢もありましたが、私たちはまったく新しいソフトウェア・インストゥルメントを開発することを決意しました。市場にはたくさんのシンセサイザー音源が出回っていますから、ユーザーのみなさんの耳は肥え、製品に求めるレベルも高くなっています。そんなみなさんの期待に応えるには、過去の製品をアップデートするのではなく、現代の音楽シーンにマッチした“モダンなシンセサイザー音源”を新たに開発するしかないと考えたのです。そして長い研究開発期間を経て完成したのが、「Syntronik」というわけです。「Syntronik」の開発では、私たちが20年以上にわたって培ってきたサンプリングとモデリングという2つの技術を投入し、それぞれが得意とする特性を活かすことで、ヴィンテージ・マシンの名機をかつてないレベルで再現しています。その上で、さらにその先に進むことができる“新しい楽器”を目指して開発を行ったのです。
——— 「Syntronik」とはどのようなソフトウェア・インストゥルメントなのか、簡単に紹介していただけますか。
EN 「Syntronik」は、シンセサイザー/ストリングス・マシンの名機38機種のサンプルを元にした、まったく新しいシンセサイザー音源です。繰り返しになりますが、「Syntronik」は単純なサンプリング音源ではありません。最先端のサンプリング技術に、MODO BASSやT-RackSなどで高く評価されているモデリング技術を融合したハイブリッド・タイプのソフトウェア・インストゥルメントなのです。私たちが独自に開発した“DRIFT”と呼ばれる技術によって、アナログ・オシレーターの繊細かつ微妙な揺らぎを再現し、なおかつ4種類のアナログ・フィルター・モデルを搭載しています。この先進のハイブリッド・アーキテクチャーにより、ヴィンテージ・マシンの太く温かみのあるサウンドを完璧に再現しているのです。「Syntronik」には17種類のインストゥルメントと、総計2,000種類以上のプリセット・サウンドが収録されており、最高のシンセサイザー・サウンドを直ちにプレイできるようになっています。
もちろん、ソフトウェアならではのフィーチャーもたくさん盛り込んであります。「Syntronik」では、最大4種類のインストゥルメントをレイヤー/スプリットできるので、ヴィンテージ・マシンの再現にとどまらない新しいサウンドを作り出すことが可能になっていますし、API 500 Seriesを彷彿とさせるランチボックス・スタイルのエフェクトが計38種類搭載されています。Pultec、Urei、Teletronix、Fairchildなど、エフェクター好きにはたまらない夢のようなラインナップで、これらを最大5種類組み合わせて使用することが可能です。「Syntronik」のために新規開発したアンサンブル・エフェクトは非常に美しく、ARP String EnsembleやRoland Juno-60、RS-505にかけると最高のサウンドが得られますよ。また、「Syntronik」の中で様々なフレーズを生み出すことができる、パワフルなノート/コード・アルペジエーターも注目してほしい機能の1つです。
——— 「Syntronik」が発表されたとき、ヴィンテージ・シンセサイザーのコレクション的な音源なのかと思ったのですが、IK Multimediaの製品ページではヴィンテージ・マシンのサンプルというのはあくまでも叩き台であり、それを元に“新しい音作り”ができるという点が強調されていますね。
EN すばらしい。「Syntronik」のコンセプトを理解していただいて、大変嬉しく思います。「Syntronik」は、懐古趣味的にヴィンテージ・マシンを再現した音源ではありません。オシレーターとフィルターは自由に組み合わせることができますから、例えばOberheimのオシレーターにMoogのラダー・フィルターをパッチングするという音作りが簡単に行えます。その上で、最大5種類のエフェクトが使用できるわけですから、音作りの可能性は無限と言っていいでしょう。丁寧に収録された50GB以上のサンプル・ライブラリーと、4種類のアナログ・フィルター・モデルをコンピューター上で自由に組み合わせることができるのです。ヴィンテージ・マシンの最高のサウンドが収録されているのは事実ですが、先鋭的なポップスやエレクトロニカなど、現代のさまざまな音楽スタイルに対応する究極のシンセサイザー音源、それが「Syntronik」なのです。
サンプリングの“再現力”とモデリングの“表現力”を高いレベルで融合
——— 100%モデリングによるMODO BASSのサウンドは大変高く評価されています。「Syntronik」でもサンプルを使用せず、100%モデリングにするというアイディアはありませんでしたか?
EN いろいろ検討した結果、シンセサイザー音源に関してはサンプリングとモデリング、2つの技術を組み合わせるのがベストだという結論に至りました。モデリングは“表現力”に非常に優れた手法ですが、サウンドそのものの“再現力”に関しては、やはりサンプリングに軍配が上がります。特にシンセサイザーやストリングス・マシンといった電子楽器に関しては、各機種に合ったレコーディング方法、エディットのワークフローなど、膨大なノウハウが蓄積されているサンプリングを使うのが最適だと判断したのです。そこに“DRIFT”アルゴリズムや、モデリングによる4種類のアナログ・フィルターを組み合わせることで、サンプリングだけでは難しい“表現力”を付加したのが「Syntronik」なのです。サンプリングによる“再現力”とモデリングによる“表現力”のコンビネーションにより、「Syntronik」は別次元のサウンドを生成します。サンプリングとモデリング、2つの技術に長けた私たちだからこそ開発できたソフトウェア・インストゥルメントと言っていいでしょう。
——— 音色の源泉となるサンプルは、ヴィンテージ・シンセサイザー/ストリングス・マシン38機種の音をサンプリングしたとのことですが、この機種はどうやって選定したのですか?
EN 最初はMinimoog Model D、Sequential Circuits Prophet-5、Yamaha CS-80、Oberheim SEMなど、最も有名なクラシック・シンセサイザー10機種からスタートしました。そこから数珠つなぎのようにMultimoog、Micromoog、Moog Prodigy、Moog Rogueとどんどん増えていったのです。最初はここまで増やすつもりはなかったのですが、最初に選んだ10機種のサウンドがすばらしく、関連機種もラインナップに加えたくなるというパターンの繰り返しでした(笑)。ストリングス・マシンに関しては、まずとりかかったのはARP String Ensemble。そこからRoland RS-505、RS-09、Elka Rhapsody 490、Hohner String Performer、そしてCrumar OrchestratorのバリエーションであるUnivox Multimanと手を広げるのは自然な流れでしたね。
——— それらの実機は、一体どのように用意されたのでしょうか?
EN 実はほとんど、私の個人的なコレクションなんです(笑)。IK Multimediaの「Syntronik」の製品ページには実機が並べられた写真が掲載されていますが、あれはすべて私のコレクションですね。今回サンプリングした実機の中で、最も大きなサイズのものはYamaha GX-1、最も小さなサイズのものはYamaha CS01だと思いますが、私はどちらも所有していなかったので、あるレコーディング・セッションのときにサンプリングさせてもらいました。
——— サンプリングに使用した機材をおしえてください。
EN すべてのサンプルは、MOTU Digital Performerを使ってレコーディングしました。サンプリング・レートやビット・レゾリューリョンに関しては、その時点で最高のスペックを選んでいます。しかしレコーディング時よりも低いスペックでもオーディオ品質に問題が無いと判断した場合は、ファイルを扱いやすくするためにダウン・サンプルする場合もあります。同様にループ処理を施す持続音のサンプルも、基本的にビット・レゾリューリョンは16bitに落としています。ちなみに「Syntronik」の内部では32bit浮動小数点で処理が行われます。その結果、エンベロープのダイナイミック・レンジは一般的なAD/DAコンバーターを上回っています。エンベロープの解像度は非常に重要で、持続音の減衰時、限りなく無音に近づいたときのノイズ・フロアの低さは、高品位なアナログ機器以上かもしれません。
——— サンプルはすべて「Syntronik」のために新規に収録されたものなのでしょうか?
EN 98%は新しいサンプルだと思ってください。ごく一部、SampleMoogなど過去の製品のサンプルを使用したものもありますが、その場合もそのまま流用するのではなく、贅沢なキー・マップを新たに制作しました。また、私が昔から録り溜めてきた秘蔵のサンプルも一部で使われています。
機能に制限のない無償版の「Syntronik Free」もダウンロード提供
——— アナログ回路の不安定さ、揺らぎを再現するという“DRIFT”技術についておしえてください。
EN “DRIFT”は、イタリア本社の開発チームとアメリカ在住の私との間で、海を超えて行われた長い議論から生まれた新しい技術です。私たちは新しいシンセサイザー音源を開発するにあたって、何をすべきか、逆に何を避けるべきか、嫌というほど議論を重ねました。今回、私たちが絶対的に取り組まなければならなかったのは、アナログ回路の有機的かつ不安定なふるまいをデジタル領域で再現することです。例えば、アナログ・シンセサイザーの内部では、オシレーターは常に発振しています。それが鳴ったり鳴らなかったりするのは、エンベロープでオシレーターの出力を開閉しているからなのです。無論、エンベロープが開き始めるときに波形がゼロ・クロッシングからスタートするとは限りません。それをデジタルで再現するには、単純に波形のスタート・ポイントを揺らせばいいと思うかもしれませんが、デジタルでは波形をゼロ・クロッシングから離れたポイントで再生すると、クリック・ノイズが生じてしまいます。そこで何らかのスムージング処理が必要になるわけですが、それはアナログVCAの上昇/下降時間を再現したものでなければなりません。これはアナログ回路の特性のほんの一部であり、ピッチも常に揺れ続けています。そんな無数の特性を1つ1つ洗い出し、私たちのサンプリングとモデリングに関する研究開発の成果を総動員して完成させた画期的なアルゴリズムが“DRIFT”なのです。申し訳ありませんが、これ以上詳しく説明することはできません。サンプリング・ベースの音源に、アナログ回路ならではのふるまいをもたらす技術だと思ってください。私たちが“DRIFT”に関して言えるのは、“それはすばらしいサウンドを生成してくれる”ということだけです。
——— ヴィンテージ・シンセサイザーを再現した音源は各社からリリースされています。それらと比較して「Syntronik」が優っている点というと?
EN 市場にはたくさんのシンセサイザー音源が出回っており、私たちもSpectrasonics、Arturia、UVIなどの製品は大好きです。それらと「Syntronik」を比較するというのは、フェラーリとポルシェ、もしくはイタリア・ワインのバルベーラとカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンを比べるみたいなもので、誰も単純な優劣は付けられません。各製品にはそれぞれ独自のアプローチがあり、異なるヴィジョンがあるわけですからね。私たちが「Syntronik」で目標としたのは、大好きなクラシック・シンセサイザー38機種の開発意図に深く思いを馳せ、核となるフィール、エッセンスをしっかり捉え、パワフルで直感的に使えるソフトウェア・インストゥルメントとして完成させることです。そしてその目標は、見事に達成できたと自負しています。
——— 「Syntronik」というネーミングについてもおしえてください。
EN まず、私たちがミロスラフ・ヴィトウスと作ったオーケストラ音源、Philharmonikに続く製品という意味があります。ともに最後が“ik”で終わる訳は、お分りですよね? 頭の“Syn”については、Bob Moogによる有名な“synthesis = 多くの部分”という定義を意識しました。「Syntronik」における“多くの部分”とは、サンプリング、モデリング、エフェクト、ユーザー・フレンドリーなインターフェースといった要素の相互作用を意味します。決して“Syn”は、“synthetic”を辞書で引いたときに出てくる、“つくりもの、人工的”の意味ではありません。私たちが目指したのは、それとは正反対のオーガニックなサウンドです。
——— 「Syntronik」は、無償版の「Syntronik Free」も提供されるようですね。
EN そのとおりです。無償版とはいえ、「Syntronik Free」には50種類のサウンドと、約1GBものサンプルが含まれています。エンジン上の機能制限は無く、有償版との違いは収録のサンプル数だけとなります。無償にしては、かなり太っ腹な内容になっていると思います。このインタビューを読んで「Syntronik」に興味を持ったが、すぐには買えないという人は、ぜひ無償版を試してみてください。「Syntronik Free」では、有償版に含まれている17種類のインストゥルメントを個別に購入することも可能になっています。Roland TB-303のアシッド・ベースの音色が欲しいときは「T-03」、Moog Taurusスタイルのペダル・ベースが欲しいときは「Bully」と、好きなときに好きなモデルを買い足していくのも楽しいと思いますよ。
——— 「Syntronik」は、SampleTank 3の拡張音源としても利用できるそうですが、将来的にSampleTankの拡張音源をサード・パーティーも制作できるようにし、Native Instruments KONTAKTやUVI Engineのようにオープンなフォーマットにする予定はありますか?
EN 鋭い質問ですね。実は社内でディスカッションが進んでおり、SampleTankの拡張音源の開発環境が公開される可能性は高いと言っていいと思います。
——— 余談ですが、Propellerheadは先日、権利の問題からReBirth RB-338の開発/販売を終了しました。「Syntronik」の製品ページでは、各社のシンセサイザーの名前がそのまま使われていますが、権利関係の問題は無いのでしょうか。
EN 私たちのシンセサイザー・メーカーに対する尊敬の念は、とても大きいものです。Moog Musicとは昔から公式なパートナーシップを結んでいますが、直接の提携関係にないRoland、Yamaha、Dave Smith、Sequential、Tom Oberheim、Wolfgang Palm、PPGなど、すべてのメーカー、開発者に対して大きな尊敬の念を抱いています。個人的にも、私はAlesis Andromedaの開発に関わっていたので、当然Alesisに対して深い感謝と尊敬の念を持っています。「Syntronik」のGUIを見てもらえば、それが単なる模倣ではなく、尊敬の念に基づくオマージュだということがご理解いただけるでしょう。もちろん、「Syntronik」の製品ページや資料では、記載の会社名や製品名に関して、各社の商標または登録商標であること、提携関係の有無について明記してあります。
——— 最後に、この記事を読んでいる人にメッセージをお願いします。
EN 「Syntronik」の開発には、多大な労力がかかっています。サンプルの録音/編集、モデリング、GUIのデザインからコーディングまで、一筋縄ではいかない工程の連続でした。それでも最後までやり遂げることができたのは、開発チーム全員にこの製品に対する愛があったからでしょう。私たちの大切な友人である日本の皆さんが、この新しいソフトウェア・インストゥルメントを使って演奏を愉しむ日が待ち遠しいです。皆さんが「Syntronik」を使って制作した音楽が届く日を楽しみにしています。このプロジェクトが私たちに大きなインスピレーションを与えてくれたように、「Syntronik」が皆様のインスピレーションを刺激することを願っています。