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FEATURE

Apple Music Lab『ファレル・ウィリアムスに学ぶ創造力の源泉』〜 ファレル・ウィリアムス × ローランド・ラム(ROLI)トーク・ライブ・レポート

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去る1月16日、東京・銀座のApple 銀座において、『Music Lab 〜 ファレル・ウィリアムスに学ぶ創造力の源』というトーク・イベントが開催されました。音楽をはじめ、様々な分野で活躍するトップ・アーティスト:ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)氏が、クリエイティブの源泉について語ったこのイベント。ホストはファレル氏と親交の深いROLIのCEO、ローランド・ラム(Roland Lamb)氏が務めました(ご存じのとおりファレル・ウィリアムス氏は昨年、ROLIのCCOに就任しました)。ここではその模様をレポートしたいと思います。

Apple Music Lab featuring Pharrell Williams and Roland Lamb for ROLI

インスピレーションとは儚いもの。それを具現化するかどうかはその人次第

ローランド・ラム 今日は我々ROLIの取り組みについてもお話ししたいのですが、『Music Lab』というセッションでもありますし、もっと大局的な内容にしたいと思っています。私たちはなぜ、何かをクリエイトしようとするのか。そんなことをファレルに訊いていきたいと思います。

ファレル・ウィリアムス 確かに誰しも何かをクリエイトします。なぜそのようなことを行うのか考えてみると、おそらく人間が前に進むためには、何かをクリエイトするという行為が不可欠なのではないかと思うんです。例えば音楽は、決して廃れず、古くなりません。作り手にとっては、とてもやり甲斐のあることです。作った楽曲は、皆が聴いてくれます。そしてそれは、聴いた人に影響を与えるのです。

ローランド・ラム もう少し話を掘り下げていきたいと思います。作り手はいろいろな可能性を探っていく中で、時にクリエイティブな判断が必要になることがあります。先ほども物事への向き合い方について話をしていたんですが、ファレルはこれについてはどう考えていますか。

ファレル・ウィリアムス それらはすべて、フィーリングによるものです。そしてそのフィーリングに対して、何かを加えるというプロセスを踏んでいきます。何かを加えたとき、自分のフィーリングが抑制されることもありますし、時にはそのフィーリングが強まることもあります。音楽はサウンドであると同時に、フィーリングでもあるのです。

ローランド・ラム 誰かをプロデュースしているとき、そのアーティストが目標に到達できていない、クリエイティブが停滞してしまっていると感じたとき、ブレイクスルーを得るためにファレルは何をしますか?

ファレル・ウィリアムス 音楽のプロダクションにおいて、そのアプローチの方法は人によって様々です。人によって異なるレンズを通してクリエイティブな作業を行なっている。もしかしたらその人には見えているものが、私には見えていないのかもしれないのです。その逆も然りです。ただ、暗い部屋でサングランスをかけているような状態のときでも、何か必ず見える瞬間が訪れます。

Apple Music Lab featuring Pharrell Williams and Roland Lamb for ROLI

ローランド・ラム 先ほど、クリエイティブに対するテクノロジーの関わりについても話をしました。テクノロジーは、アート全般にどのような作用をもたらしているのか。ファレルは、テクノロジーがアートにプラスに作用していると思っていますか? 時にはテクノロジーがクリエイティブの阻害要因になることもあると思います。

ファレル・ウィリアムス それは人によるのではないでしょうか。テクノロジーに造詣が深い人であれば、何百万ものオプションが広がりますし、そうではない人にとっても、シンプルな方法で役立つでしょう。私などは後者で、いつも同じ方法で(テクノロジーを)使っています。自分のアイディアを広げたいと思ったとき、テクノロジーはそれを可能にしてくれます。

ローランド・ラム ファレルは長いキャリアの中で、たくさんの作品を生み出してきました。これまでのキャリアを振り返って、クリエイティブな観点で最も苦労した瞬間と、また逆に暗闇の中から光を見つけた瞬間についておしえてもらえますか。

ファレル・ウィリアムス (少し沈黙の後)…… いま自分のキャリアを振り返って、そんなタフな瞬間はあったかなと思いました(笑)。だって自分が大好きなことをやっていて、自分が愛していることを追求できて、これはこの上ない悦びです。これは皆に与えられた権利であるにも関わらず、社会では子どもに対して医者になる、あるいは弁護士になることが成功であると教えています。私は単に自分が大好きなことを続けているだけです。そこには何ら文句はありません。私にとってはすべてが学びであり、自分を強く、前に進めてくれます。すべてのことに感謝しています。

一方で、ハイ・ポイントですが、ROLIの一員になれたことでしょうか(笑)。自分が大好きなことに加えて、楽器づくりにも携われる。他の人たちがクリエイティブになるための手助けができるというのは、最高の悦びだと思います。

ローランド・ラム 私はROLIでの楽器づくりによって、人々の不可能を可能するお手伝いができ、とても嬉しく思っています。クリエイティブは言ってみれば旅路であり、人から人、世代から世代へと様々なものが受け継がれていきます。ファレルにとって、この“クリエイティブ・ジャーニー”を牽引する原動力は何ですか。先ほど、フィーリングが誘導灯になっているという話がありましたが。

Apple Music Lab featuring Pharrell Williams and Roland Lamb for ROLI

ファレル・ウィリアムス やり甲斐という感情が自然と沸き起こってきます。もちろん、人によって基準は異なると思いますが、声なき声が聞こえてくるのです。そして自分の中で、“これでいいんだ”という感覚が生まれます。

ローランド・ラム ただ、他の音楽家と話をすると、声なき声など聞こえない、そのようなシグナルは捕らえられないという人も少なくありません。彼らにとっては、何が阻害要因になっているのでしょうか。

ファレル・ウィリアムス 実は誰もが持っている感覚なんです。“認識の塊”という感覚で、それはいくつかに区分され、その中の1つが音楽なんです。ただ、誰もが持っている感覚ではあるんですが、それを感じ取ることができなかったり、あるいはそこにアクセスしようとしない人もいるかもしれません。でも、誰しもが持っている感覚なんです。

ローランド・ラム 非常に興味深い話です。1つの魂があって、そこには必ず“認識の塊”があり、その中の1つが音楽であると。そしてその感覚を認識しているか、認識していないか、アクセスするか、アクセスしないかは人それぞれということですね。では私たちのクリエイティビティに、その“認識の塊”はどのように機能しているのでしょう。

ファレル・ウィリアムス 具現化するための衝動として機能していると思います。

ローランド・ラム …… 少し話が哲学的になってきましたね。

会場 (笑)

ファレル・ウィリアムス 有機的ではないすべてのもの、ぼくらが着ている服であれ、カメラであれ、それこそSeaboardであれ、それらはすべて、(クリエイターの)具現化したいという衝動が生み出しているのです。自分にとって驚きなのは、この世の中にはまだまだ無数のアイディアがあるということです。多くの人がそれを感じ取りながらも、具現化しなかったアイディアが無数にある。そしてそれはいつの日か、インスピレーションを受けた別の人が具現化する可能性があるということです。50年前に南アフリカのある人物が、あるアイディアを思いついたが、それを具現化することはしなかった。しかし50年後、別の人物がそのアイディアに気づいて具現化する。私はそれはとてもすばらしいことだと感じています。

ローランド・ラム ファレルは私に、いつも宿題を与えてくれます。ROLIで一緒に仕事をしていると、常に考えさせられる。今日はクリエイティビティとは何なのか、それを具現化する衝動は何なのかという話をしましたが、みなさんぜひ反芻していただければと思います。そろそろ話を終えなければならないんですが、最後にファレルに訊きたいのは、物事を前に進める原動力は何かということです。いまの話のように、何かアイディアが浮かんでも、“まぁ、いいや”とそれを具現化しない瞬間は誰しもあるかと思います。

ファレル・ウィリアムス 意欲的にオープンになるということ。そして試すこと。試すためにはオープンでなければなりません。自分が閉じていたら、インスピレーションが入ってくる余地がありません。人間誰もがモチベーションを持っているかと言えば、そうではないと思います。人の意思について、私がアドバイスできることはありません。インスピレーションとは一瞬の儚いものです。それを具現化するかどうかはその人次第です。欲求というのは、教えられるものではないのです。

Apple Music Lab featuring Pharrell Williams and Roland Lamb for ROLI
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