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ソフト・シンセの傑作、Native Instruments Absynthが復活…… AIの力を借りて理想の音色を探求できる新機能を搭載、ブライアン・イーノ制作の新プリセットも収録
Native Instrumentsがソフト・シンセの傑作、Absynthを蘇生。理想の音色をビジュアル・マップで探求できる最新バージョン、「Absynth 6」がリリースされました。ブライアン・イーノやケイトリン・オーレリア・スミスらが手がけた魅力的なプリセットも多数収録されています。
Native Instruments「Absynth 6」
開発が終了したかと思われていたAbsynthが復活しました。Native Instrumentsが2001年にリリースしたAbsynthは、実在するハードウェア・シンセサイザーの再現ではなく、“コンピューターならではの音づくり”を追求したソフト・シンセの傑作です。もともとはこの世界では有名なブライアン・クレヴィンジャー(Brian Clevinger)氏が開発し、現在はPlasmonicで知られるRhizomaticからダウンロード販売されたAbsynthでしたが、その出音の良さ、柔軟性の高さに着目したNative Instrumentsがコラボレーションを打診。晴れてNative InstrumentsからリリースされたAbsynthは、画期的なセミ・モジュラー・デザイン、強力な波形描画機能、他では見られない最大68ポイントのエンベロープ(!)といった機能を備え、世界中のアーティスト/サウンド・デザイナーたちを魅了しました。しかしここ数年は大きなアップデートがなく、KOMPLETEからも除外され、開発が終了したかに見えたAbsynthですが、2025年末に復活。本日(2025年12月9日)、「Absynth 6」として再リリースされました。Absynthの復活について、Native Instrumentsの最高製品技術責任者であるサイモン・クロス(Simon Cross)氏は、次にようにコメントしています。
約30年前にスタートした我々の最初の製品はシンセサイザーでした。つまり、Absynthに戻ることは、我々のインスピレーションの源泉に立ち返ることなのです。Absynthは今もなお、エレクトロニック・ミュージックにおいて、もっともユニークなインストゥルメントの1つだと自負しています。もちろん今回のAbsynthの復活には、ブライアン・クレヴィンジャー氏が深く関与しており、彼の関与なしには到底実現できないと確信していました。
オリジナル・デベロッパーのブライアン・クレヴィンジャー(Brian Clevinger)氏
最新のバージョン6でも、Absynthのメイン・コンセプトであるセミ・モジュラー・デザインはそのまま維持されています。FM/グラニュラー/サンプルといったオシレーター・モジュール、ローパス/ノッチ/コームといったフィルター・モジュール、最大68ポイントのマルチ・ステージ・エンベロープといった機能を備え、柔軟でディープな音づくりが可能。インテリジェントな音色生成機能である『Mutator』や、Aetherizer/Cloud Filterといったユニークなエフェクトも引き続き搭載され、旧バージョンとのプリセットの互換性もしっかり保たれています。
最大68ポイント(!)という強力なエンベロープ機能も健在
それでは「Absynth 6」では何が進化したのか。目玉となるフィーチャーは、AIの力を借りてプリセットを探索できる革新的な機能、『Absynth Preset Explorer』です。「Absynth 6」には実に2,000種類以上のファクトリー・プリセットが収録されていますが、『Absynth Preset Explorer』は音色の特性をディープ・ラーニングで解析し、タイプごとに色分けしてビジュアル・マップで表示。もちろん、ユーザーはフィルターを設定することも可能で、理想の音色に近いプリセットを素早く見つけることができます。Native Instrumentsの応用AIの開発責任者であるアンディ・サーロフ(Andy Sarroff)氏は新しい『Absynth Preset Explorer』について、次のようにコメントしています。
AIは想像の領域を広げるべきものであり、排除すべきものではありません。『Absynth Preset Explorer』は、使い手の演奏に注意深く耳を傾けます。そしてその洞察を使い手に提供することで、新しい発見を促してくれるのです。これは、あくまでも“ガイド”であり、決して使い手のスキルを置き換えるものではありません。
AIの力を借りてプリセットを探索できる革新的な機能、『Absynth Preset Explorer』
なお「Absynth 6」には、ブライアン・イーノやケイトリン・オーレリア・スミス、リチャード・ディヴァインといった著名なアーティストが制作した新しいファクトリー・プリセットが350種類以上収録されています。また、『Absynth Preset Explorer』の特徴的なUIは、Weirdcoreとのコラボレーションで制作される「Absynth 6」のビジュアルでもフィーチャーされるとのこと。今後、著名なアーティストやDJが「Absynth 6」を使用したオリジナル・トラックを発表予定で、そのビジュアル・ワークをWeirdcoreが手がけるとのことです。
ブライアン・イーノやケイトリン・オーレリア・スミスらが制作したプリセットも収録
もちろん、「Absynth 6」の新機能は『Absynth Preset Explorer』だけではありません。「Absynth 6」ではMPEとポリフォニック・アフタータッチをフル・サポート。また、MTS-ESP/マイクロ・チューニングやマルチ・チャンネル出力にも対応し、これまで以上に表現力のあるサウンド・デザインが可能になっています。
エフェクト『Aetherizer』の画面。サラウンドで音像を作れるようになった
「Absynth 6」のダウンロード販売は本日より開始され、新規版の価格は30,800円。旧バージョンの登録ユーザー向けのアップデート版の価格は、15,300円となっています(価格は、いずれも税込)。なお、本日から2025年12月31日までの間に「Absynth 6」を購入/登録すると、Massive X Expansionsがプレゼントされるとのこと(Massive X Expansionsは、無性のMassive X Playerでも使用可能)。さらなる詳細は、メディア・インテグレーションのWebサイトをご覧ください。






