
SYNTH & MACHINE
Frap Tools、同社初のスタンドアロン・シンセ、「Magnolia」を発表…… Buchla/西海岸シンセシスをベースにした、斬新な“スルーゼロFMポリ・シンセ”がデビュー
イタリアのモジュラー・メーカー Frap Toolsが、同社初のスタンドアロン・シンセサイザー、「Magnolia(マグノリア)」を正式に発表。ウェストコースト・シンセシスの伝統を継承した斬新なデザインのポリフォニック・シンセサイザーが、5月8日に開幕する『SUPERBOOTH 2025』でお披露目されます。

Frap Tools初のスタンドアロン・シンセサイザー、「Magnolia」(写真はプロト・タイプ)
イタリア・モデナに拠点を置くFrap Toolsは、メディア・アーティスト/Maxプログラマーとして活動していたシモーネ・ファブリ(Simone Fabbri)氏が2015年に立ち上げたモジュラー・メーカーです。2種類のEurorackケースからスタートした同社は、2017年にランダム・モジュールのSAPÈLをリリースし、Eurorackモジュール市場に参入。Buchla/ウェストコースト・シンセシスを基本としつつ、現代的なアイディアを取り入れた同社のEurorackモジュールは、生粋のモジュラー・プレーヤーからMaxプログラマーに至るまで、幅広いユーザー層から支持を集めています(日本ではClockfaceが輸入販売を行っています)。

Frap Toolsの創業者、シモーネ・ファブリ(Simone Fabbri)氏 (Photo by ICON / No Unauthorized Reproduction)

Frap ToolsのEurorackモジュラー・システム (Photo by ICON / No Unauthorized Reproduction)
5月8日に開幕する『SUPERBOOTH 2025』を前に発表された「Magnolia」は、Frap ToolsがこれまでEurorackモジュールで展開してきたアイディアを、61鍵のポリフォニック・シンセサイザーとして昇華させた同社初のスタンドアロン・インストゥルメント。サウンド・ソースとなるのは、スルーゼロFMに対応した2基のアナログ・オシレーターで、その後段にはウェーブシェイパー/ウェーブフォルダーを搭載し、まさしくウェストコースト・シンセシスの回路構成となっています。このオシレーター回路は、Brensoを元に開発されたものとのことで、スルーゼロFMにウェーブシェイパー/ウェーブフォルダーを組み合わせることにより、クリスタルのようなパッドから唸るようなベースまで、幅広い音色を作り出すことが可能。そしてこの作り出した音色を、8ボイス・ポリフォニックで鳴らせるというのが「Magnolia」の大きなフィーチャーです。

2基のアナログ・オシレーターは、スルーゼロFMに対応

「Magnolia」と同社のオシレター・モジュール、Brenso
さらにオシレーター/ウェーブシェイパー/ウェーブフォルダーの後段には、Cunsaを元に開発されたというハイパス/ローパス・フィルターを搭載。ウェストコースト・シンセシスにとらわれずに、フィルター部には専用のADSRエンベロープも備わり、2基のフィルターを発振させてFM変調させる(!)ことも可能になっています。もちろん、モジュレーション機能も充実しており、3基のLFOや鍵盤のベロシティ/アフタータッチで、さまざまなパラメーターを変調させることが可能。エフェクトやアルペジエーターも搭載し、もちろん作った音色のプログラムにも対応しています。

2基のフィルターを搭載。それぞれ発振させてFM変調させることも可能

指先で簡単にアサインできるモジュレーション・セクション
同じイタリアのFatar製鍵盤が採用された、Frap Tools初のスタンドアロン・シンセサイザー、「Magnolia」。5月8日に開幕する『SUPERBOOTH 2025』にプロト・タイプが展示され、夏頃に最終の完成形の発表を予定しているとのこと。Frap ToolsのWebサイトでは、ニュース・レターの登録を受け付けているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。