SYNTH & MACHINE
テーブルトップSIDシンセ、Twisted Electrons TherapSIDがアップデート…… 最終モデルとなる「TherapSID MKIII」が発売
Twisted Electronsが、TherapSIDのアップデート・バージョン、「TherapSID MKIII(サラプシド・マークスリー)」を発表。根強い人気を誇るTherapSIDですが、この「TherapSID MKIII」が最終モデルとなります。
フランスのTwisted Electronsが2014年に販売を開始したTherapSIDは、1980年代から1990年代にかけて製造された音源チップ=SIDチップを使用したテーブルトップ・シンセサイザー。SIDチップは、Commodore 64/128/MAX MachineといったCommodore製家庭用コンピューターに搭載されていた音源チップで、そのローファイでプリミティブな電子音は、今もなお多くの人たちを魅了し続けています。
これまでElektronやALM/Busy Circuitsなど、いくつかのメーカーがSIDチップを積んだモダン・シンセサイザーを世に送り出してきましたが、TherapSIDはパネル上に多数のノブ/ボタンを装備しているのが大きな特徴。これにより、アナログ・シンセのような直感的な音色エディットを実現しています。3基のオシレーターはパラフォニックで発音させることも可能で、後段には4種類のモードを選択できるアナログ・フィルターも搭載。高機能なアルペジエーターやプリセット・ランダマイザーといった機能も備え、DAW上で音色をエディットできるVSTプラグイン形式のコントロール・ソフトウェアも用意されています。
そして今回発表された「TherapSID MKIII」は、前モデルのMKIIをベースに、細部がブラッシュ・アップされた最新モデル。具体的には、オーディオ出力がミニ端子から標準フォーン端子に、MIDI入出力がミニ端子からDIN端子に換装され、新たに電源スイッチも追加されました。
「TherapSID MKIII」の主な特徴は、以下のとおりです。
- SIDチップを音源として使用したデスクトップ・シンセサイザー
- すべてのSIDチップ(6581/6582/8580/swinSid)に対応(注:SIDチップは別売)
- MIDIだけでなくCV/Gateにも対応
- それぞれ4種類の波形を選択できる3基のオシレーター
- 3ボイス・シンセとして使用できるパラフォニック・モード
- マルチ・ティンバー仕様。3ボイスそれぞれにMIDIチャンネルをアサイン可能
- 4種類のモード(LP/BP/HP/LP+HP)を選択できるアナログ・フィルター
- フィルターはボイスごとにアサイン可能
- MIDIシンクにも対応した3基のLFO。ADSR 3をモジュレートすることも可能
- 内蔵のLFOを置き換える3系統のCV入力
- 4種類のモードを選択でき、リアルタイムにスクラブできるアルペジエーター
- プリセット・ランダマイズ機能
- MIDI出力は、プリセット・ダンプ/アルペジエーターのノート出力/すべてのノブ/ボタンのCC出力に対応
- 異なるSIDチップをマッチングできるマルチSID機能(4ステレオ・ファット・モード)
- DAW上から音色をエディットできるVSTプラグイン形式のコントロール・ソフトウェア
- 横幅25cm×奥行15cm×高さ5cm
非常に魅力的な仕様の「TherapSID MKIII」ですが、SIDチップは自分で用意しなければならない(製品には含まれていない)という点に注意が必要です(購入後にTwisted ElectronsにSIDチップを送ると、テストとインストールをしてくれるとのこと)。「TherapSID MKIII」の販売価格は474ユーロで、Twisted Electronsのオンライン・ストアで購入することが可能。さらなる詳細は、Twisted ElectronsのWebサイトをご覧ください。