STUDIO TOOLS
ローランド、ライブ配信に必要な機能を網羅した超小型ビデオ・ミキサー、「V-02HD MK II」を発表…… AIRA VT-4直系のボイス・チェンジャーも搭載
このところ大流行のライブ配信。最近はシンセ界隈でも製品レビューやマシン・ライブを生配信する人が増えており、そういったチャンネルを見て、“自分もやってみたい!”と思っている人も多いのではないでしょうか。そんな人に打ってつけのデバイスが、間もなく発売になります。ローランドが本日発表した「V-02HD MK II」は、手のひらサイズの超小型ビデオ・ミキサー。2系統のHDMI入力を合成できるだけでなく、10ch入力のオーディオ・ミキサーも内蔵し、USB端子にパソコンを接続すれば、そのままライブ配信ができてしまう優れものデバイスです。ICON的には、AIRAシリーズのVT-4直系のボイス・チェンジャー機能が標準搭載(!)されている点も要注目と言えるでしょう。
今月24日に販売が開始される「V-02HD MK II」は、ローランドのビデオ・ミキサー“V”シリーズの中で、最も小さく、最も低価格なモデル。2018年に発売され、世界中で大ヒットを記録したV-02HDの後継機となる製品です。横型のデスクトップ筐体は、幅160×奥行108×高さ51mm/質量600gと超コンパクトで、場所を選ばずに使用することが可能。底面には1/4インチのネジ穴が備わっているので、三脚やアームなどに取り付けることもできます。
“ビデオ・ミキサー”という機器について、よく分かっていないという人もいると思いますが、文字どおり“複数の映像を合成して(切り替えて)出力できるデバイス”です。「V-02HD MK II」は、HDMI入力を2系統備え、中央のビデオ・フェーダーや両脇の1/2ボタンを使って、2種類の映像を自由に合成して出力することが可能。HDMI入力には高性能なスケーラー(映像の解像度やフレーム・レート、画角を自動的に揃えてくれる機能)が備わっているので、カメラやパソコン、スマートフォン、ゲーム機など、さまざまなデバイスを接続することができます。そして「V-02HD MK II」が凄いのは、合成した映像をHDMI出力からだけでなく、USB端子からストリーミング出力できるところ。USB端子に手持ちのパソコンを接続すれば、YouTube LiveやFacebook Live、Twitchといったプラットフォームを利用して、簡単にライブ配信を行うことができるのです。しかもストリーミングの映像は、非圧縮・最大1080/60pの高画質(注:USB 3.0接続対応のパソコン使用時)。初代V-02HDは、USB端子へのストリーミング機能が備わっていなかった(HDMI出力のみだった)ので、これが新しい「V-02HD MK II」の目玉のフィーチャーということになります。
映像合成機能も非常に強力で、2種類の映像を混ぜながら切り替える『ミックス』、元の映像に次の映像を割り込ませながら切り替える『ワイプ』、背景映像の上に小さな映像(小画面)を重ね合わせる『ピクチャー・イン・ピクチャー(PinP)』、映像の黒/白部分を透明にして切り抜き、別の映像に合成する『ルミナンス・キー』、映像の特定の色部分を透明にして切り抜き、別の映像に合成する『クロマ・キー』といった機能を搭載。2画面を同時に表示できる『ピクチャー・イン・ピクチャー(PinP)』は、ライブ配信では欠かせない機能で、『ルミナンス・キー』や『クロマ・キー』を使えば、タイトルや背景などを簡単に合成することができます(下の図を参照)。さらには、映像の選択範囲にモザイクをかけたり、白黒映像にしたり、色相/彩度/明度をコントロールしたりといったビジュアル・エフェクト(VFX)も利用可能。ライブ配信/映像制作に必要な合成機能は、ひととおり網羅されていると言っていいでしょう。
「V-02HD MK II」は、他でもないローランド製品ですので、オーディオ機能も妥協はありません。右側面にはプラグイン・パワー対応のオーディオ入力を2基備え(端子は3.5mmのミニ端子で、ともにステレオ入力に対応)、ライン・レベルの機器だけでなく、マイクもダイレクトに接続することができます(初代V-02HDは、プラグイン・パワー非対応、なおかつオーディオ入力は1系統だったので、ここも大きく進化したポイントです)。オーディオ入力が2系統あるということは、トーク用のマイクと楽器を同時に接続する場合も、外部ミキサーなどは不要。「V-02HD MK II」には、10ch入力のオーディオ・ミキサーが内蔵されているので、HDMI入力の音声(ステレオ2系統)/オーディオ入力の音声(ステレオ2系統)/USB端子からの音声(ステレオ)、合計10ch(ステレオ×5)の音声を本体内で自由にミックスすることができます。音づくりに欠かせないオーディオ・エフェクトも充実しており、ディレイ、リバーブ、ハイパス・フィルター、ノイズ・ゲート、ディエッサー、コンプレッサー、EQ、ボイス・チェンジャー、マルチバンド・コンプレッサー、リミッター、テスト・トーン・ジェネレーターを搭載。ボイス・チェンジャーを使用すれば、声をロボット・ボイスに変えたり、入力音をリアルタイムに加工できます。
本体だけで十分に操作できる「V-02HD MK II」ですが、iPad用のリモート・コントロール・アプリ「V-02HD MK II Remote」と、Mac/Windows用のリモート・コントロール・ソフトウェア「V-02HD MK II RCS」も無償で提供されます(注:「V-02HD MK II RCS」は、2021年中に提供開始予定)。これらのアプリを使用すれば、大きな画面で「V-02HD MK II」を操作することが可能。もちろん「V-02HD MK II RCS」は、ライブ配信用のパソコン上で、OBS Studioなどの配信用ソフトウェアと同時に使用することができます。また本日、「V-02HD MK II」と同時に、「AeroCaster Switcher」という新作のiPad用アプリも発表されました。ローランド製ビデオ・ミキサー(対応モデルのみ)とiPadをHDMI接続することで使用できる「AeroCaster Switcher」は、ワイヤレス接続した最大4台のスマート・デバイス(iOS/Android対応)の映像を切り替えることができる、“バーチャル・ビデオ・ミキサー”。このアプリを使用すれば、「V-02HD MK II」の映像入力をソフトウェア的に拡張することができます。凄いのが、iPadの内蔵カメラをビデオ入力として使用できる(!)点で、パソコンをワイヤレス接続すれば、Google Chrome経由で画面共有も行うことも可能。無料で提供される「AeroCaster Switcher」は、「V-02HD MK II」ユーザー必携のアプリと言っていいでしょう。
手のひらサイズのコンパクト筐体に、2系統のHDMI入力を合成できるビデオ・ミキサー、高性能スケーラー、多彩な映像合成機能、10ch入力のオーディオ・ミキサー、オーディオ・エフェクト、そしてUSBストリーミング機能を凝縮した新世代のライブ配信用デバイス、「V-02HD MK II」。国内では2021年9月24日に販売開始予定で、価格はオープン・プライス、市場想定売価は50,000円前後となっています。さらなる詳細は、ローランドのWebサイトをご覧ください。