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INTERVIEW

NAMM 2019: Arturia、タッチ・キーボードを搭載した“実験的”ハイブリッド・シンセ、「MicroFreak」を発表

このあと開幕する世界最大規模の楽器のトレード・ショー『The NAMM Show』で、Arturiaは新型シンセサイザー「MicroFreak(マイクロフリーク)」をお披露目します。2オクターブのタッチ式キーボードが目を惹く「MicroFreak」は、デジタル・オシレーターとアナログ・フィルターを融合したハイブリッド・シンセサイザー。デジタル・オシレーターは、同じフランスのEurorackモジュラー・メーカー、Mutable InstrumentsPlaitsのソース・コードを元に開発され、多彩なアルゴリズムが選択できるようになっています。アナログ・フィルターは、Oberheim SEMベースのマルチモード・タイプで、太くなめらかなサウンドが特徴。このフレキシブルなデジタル・オシレーターと、強力なアナログ・フィルターの組み合わせによって、「MicroFreak」では幅広い音作りが可能になっています。その他、Buchla Music Easelを彷彿とさせるタッチ式のPCBキーボードや、強力なアルペジエーター/シーケンサー機能も搭載するなど、かわいらしい見た目からは想像できないパワフルなシンセサイザーに仕上げられている「MicroFreak」。そこでICONでは、Arturiaのマーケティング・マネージャー、ブライアン・ボーチャーズ(Bryan Borcherds)氏に、その開発コンセプトと機能を伺ってみることにしました。

【お詫びと訂正】初出時、「Mutable Instrumentsと共同開発」「Mutable Instrumentsとのコラボレーション」との記載がありましたが、実際には共同開発やコラボレーションではなく、Plaitsのソース・コードを利用しただけとのことが分かり、記事内容を修正しています。記事は、Arturiaスタッフへの直接の取材と、提供された資料/プレス・リリースを元に制作したものでしたが、公開後にメーカー・サイドから「表現を修正してほしい」との連絡がありました。読者の皆様にお詫びするとともに、訂正させていただきます。(2019年1月28日11:00)

Arturia - MicroFreak

Mutable Instruments Plaitsのソース・コードを元に開発

——— 新しい「MicroFreak」は、見た目も機能もかなりユニークなシンセサイザーという印象ですが、まずは開発のスタート・ポイントからおしえていただけますか。

ブライアン・ボーチャーズ(BB) これまで我々は、ヴィンテージ・イミュレーションのソフトウェア・インストゥルメントや、フル・アナログのシンセサイザー/ドラム・マシンなど、様々な製品を世に送り出してきましたが、いずれもデジタルとアナログ、どちらかの世界に寄ったものでした。2019年はArturia設立20周年となる節目の年ですし、デジタルとかフル・アナログとかそういうことにはこだわらず、両方の世界の良い部分を取り入れたシンセサイザーを作りたいと思ったのが開発のスタート・ポイントです。それが約2年前のことで、Arturia製品の開発期間としては、かなり長い方かもしれません。

デジタル技術とアナログ技術を融合したハイブリッド・シンセサイザーということに加え、使うたびに発見のある“実験的なシンセサイザー”というのも開発コンセプトの一つでした。単に音が良いだけでなく、ついつい手が伸びてしまう、使い手の好奇心を満たしてくれるシンセサイザー。あとは簡単に使えてコンパクト、お茶目でかわいいルックス、手に入れやすい価格というのもコンセプトでしたね。

——— それでは「MicroFreak」の機能を音源部からおしえてください。

BB 音源部は完全にデジタルで、複数のオシレーター・タイプを切り替えられる仕様になっています。具体的には、同じフランスのEurorackモジュール・メーカー、Mutable InstrumentsPlaitsのソース・コードを元に開発を行いました。デジタル・オシレーターのSuperwave、倍音合成のHarmonic Oscillator、物理モデリングのKarplus-Strong、様々な波形を収録したWavetable、太くて温かみのあるVirtual Analog、鋭いサウンドが特徴のWaveshaper、金属的な音を得意とするFM、グラニュラー・シンセシスのGrain、コード・サウンドを生成するChords、スピーチ・シンセシスのSpeechといったオシレーター・タイプを選択することができ、これらはまだ最終確定ではないので、発売時にはもっと充実する可能性があります。Plaitsのことを知っている人なら、あのサウンドがハードウェア・シンセサイザーで使えるというのは大きな魅力なのではないでしょうか。『Timbre』や『Shape』といったパラメーターをハンズオンでコントロールでき、一つのオシレーター・タイプでもバリエーション豊かなサウンドを得ることができます。

Arturia - MicroFreak

Mutable Instruments Plaits

——— フィルター部は?

BB パワフルなデジタル・オシレーターに組み合わせるのであれば、フィルターはアナログの方が良いと考えました。フレキシブルなオシレーターと、アナログならではの太くて存在感のあるフィルターの組み合わせというのは、「MicroFreak」の大きなコンセプトです。フィルターは「MicroFreak」のために新規で開発したもので、回路的にはOberheimのSEMがベースになっています。クリーミーな効きが特徴のステートヴァリアブル・フィルターで、ローパス/バンドパス/ハイパスの3種類のモードを切り替えることができます。

——— 左上に備わっているのは、モジュレーション・マトリクスですか?

BB そうです。「MicroFreak」は、5×7のモジュレーション・マトリクスを搭載しており、オシレーターの『Timbre』やフィルターのカットオフなど、様々なパラメーターをモジュレーションできるようになっています。モジュレーション・ソースは、6種類の波形が選択できるLFOとADSRのエンベロープに加え、AD/ASRタイプのエンベロープも搭載しました。このエンベロープはループすることも可能で、アタックとディケイのカーブをそれぞれ変えることができます。

Arturia - MicroFreak

——— そして何と言っても目を惹くのが、タッチ式のキーボードが採用されている点です。普通の鍵盤ではなく、タッチ式のキーボードを採用したのはなぜですか?

BB 先ほども言ったとおり、今回は実験的なシンセサイザーにしたいと思ったので、Buchla Music Easelのようなタッチ式のPCBキーボードが良いんじゃないかと思ったんです。「MicroFreak」のPCBキーボードは非常に反応が良く、プレッシャーを検知するだけでなく、ピッチベンド的な効果を付けたり、様々な表現が可能になっています。もちろん、そういうコントロールをすべて切って、シンプルなキーボードとして使うこともできます。可動式のパーツを使っていないので、壊れにくいのもPCBキーボードの特徴ですね。見た目的にはユニークですが、実際に弾いてみるとそれほど変わったキーボードではありません(笑)。MIDI出力に加えてCV/Gate/Pressure出力も備えているので、外部のモジュラー・シンセサイザーと接続することもできます。

——— MPEにも対応するとおもしろいかもしれませんね。

BB それは現在、検討しているところです。現時点では確定していませんが、対応する可能性は高いですね。

Arturia - MicroFreak

——— シーケンサーも内蔵しているのですか?

BB はい。高機能なアルペジエーターと最大64ステップのシーケンサーを内蔵しており、4種類のパラメーターをオートメーションすることもできます。パラメーター・オートメーションに関しては、Bruteシリーズにも搭載したかったんですが、フル・アナログで実装するのはなかなか難しかった。しかし「MicroFreak」はデジタル/アナログのハイブリッド製品なので、ようやく実現することができました。シーケンサーには、『Spice』と『Dice』というランダイマイズ機能が備わっているのも特徴です。

——— その他の機能というと?

BB そうですね。視認性に優れた有機ELディスプレイを装備し、128種類のファクトリー・プリセットを収録しています。もちろん、ユーザー・プリセットも64種類保存することが可能です。発売後もファームウェアの更新を予定しており、おそらく新しいオシレーター・タイプが追加されることでしょう。

——— 「MicroFreak」という名前が良いですね。

BB とても悩んだんですが、商品の雰囲気を表した名前が良いなと思い、小さくてギークなシンセサイザーということで「MicroFreak」に決まりました。

——— 完成までに苦労した点をおしえてください。

BB 値段を高くしたくなかったので、設定したターゲット・プライスの中でやりたいことをすべて詰め込むというのは大きなチャレンジでした。でもそれはしっかり実現できたと感じています。

——— ブライアンさんが個人的に気に入っている機能は?

BB デジタル・オシレーターとアナログ・フィルターが融合したサウンドですかね。我々が発売してきたどの製品とも違うサウンドです。それと簡単に使える操作性と、実験的なところ。使って楽しいシンセサイザーに仕上がったのではないかと思っています。

——— 昨年はIK Multimediaも参入し、ハードウェア・シンセサイザー市場はますます群雄割拠になっています。ElektronやNovationといったライバル・メーカーに対するArturiaの強みというと?

BB ユニークなところですかね。我々の製品はどれも、Arturiaならではの特徴があると自負しています。でも、多くのメーカーがハードウェア・シンセサイザーを発売するのはとても良いことですよね。どのメーカーも素晴らしい製品を作っていますし、我々の社員でも他社のシンセサイザーやマシンを愛用している人はたくさんいます(笑)。それは一般のユーザーも同じだと思いますし、一つのメーカーにこだわるというのはナンセンスですよね。

Arturia - MicroFreak

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