Feature Image

DAW & PLUG-IN

世界初、イマーシブ・オーディオに対応した“空間シンセサイザー”、Sound Particles「SkyDust 3D」がデビュー

いよいよ明日13日にスタートする世界最大の楽器のトレード・ショー、『The NAMM Show 2023』。その開幕直前、Sound Particlesから、もの凄いソフト・シンセが発表になりました。発表と同時にダウンロード販売が開始された「SkyDust 3D(スカイダスト・スリーディー)」は、市販品としては世界で初めてイマーシブ・オーディオに対応したシンセサイザー。8基のオシレーターから生み出されたサウンドを、360°の空間に自由に定位させ、様々なフォーマットで出力することができる新世代のシンセサイザーです。

Sound Particles - SkyDust 3D - Immersive Audio / Dolby Atmos Synthesizer

世界初のイマーシブ・オーディオ対応シンセサイザー、Sound Particles「SkyDust 3D」

ポルトガル中部の都市、レイリアに開発拠点を置くSound Particles(サウンド・パーティクルズ)は、2016年に設立された新興のソフトウェア・デベロッパー。創立者/CEOのヌーノ・フォンセカ(Nuno Fonseca)氏は、趣味の音声処理の研究に没頭するためにIT企業の従業員から大学教授に転身したという異色の経歴の持ち主で、現在はAES(Audio Engineering Society)の技術委員にも名を連ねるプロ・オーディオ業界のキー・パーソンの一人です。そんなヌーノ・フォンセカ氏が創立したSound Particlesは、イマーシブ・オーディオ/Dolby Atmosに対応したプラグインで名前を馳せた会社で、音の“明るさ”を基にパンニングを行うBrightness Panner、音の“強さ”を基にパンニングを行うEnergy Pannerなど、独創的なプラグインを次々にリリース。今ではイマーシブミックスに欠かせないツールとして、多くのエンジニア/クリエイターに愛用されています。

Sound Particles - SkyDust 3D - Immersive Audio / Dolby Atmos Synthesizer

Sound Particlesの創立者/CEO、ヌーノ・フォンセカ(Nuno Fonseca)氏

Sound Particles - SkyDust 3D - Immersive Audio / Dolby Atmos Synthesizer

音の“明るさ”を基にパンニングを作り出すBrightness Panner

そして本日、『The NAMM Show 2023』の開幕前日に発表されたSound Particlesの最新作が、「SkyDust 3D」と命名された同社初のソフトウェア・シンセサイザーです。「SkyDust 3D」は、一般に販売される製品としては世界初となる、イマーシブ・オーディオ対応のソフトウェア・シンセサイザー。「SkyDust 3D」では、8基のオシレーターの出力を360°の空間に自由に定位させることができ、豊富に用意されているモジュレーション・ソースを使って、ダイナミックな動きを付けることも可能。出力フォーマットは、ステレオ、5.1ch、7.1ch、Dolby Atmos、Auro-3D、Ambisonics、Binaural、さらにはNHK 22.2chに至るまで、30以上のコンフィギュレーションに対応します。開発を主導したヌーノ・フォンセカ氏は「SkyDust 3D」について、以下のようなコメントを出しています。

“空間シンセサイザー”の新たなる世界へようこそ。私はイマーシブ・オーディオに対して常に情熱があり、音楽とイマーシブ・オーディオの組み合わせが素晴らしいものを生み出すことを確信していました。しかし音楽をイマーシブ・オーディオに取り入れる場合、多くの人たちが3Dパンナーを使うことがすべてであると考えています。確かに3Dパンナーは必要なツールではありますが、アーティストはよりクリエイティブなツールを使って、イマーシブ・サウンドを創造すべきであると考えました。私たちが開発した「SkyDust 3D」は、従来のシンセサイザーと3Dパンナーの組み合わせでは成し得ないことを実現します。まったく新しい“空間シンセサイザー”を、ぜひ楽しんでください。

SkyDust 3D」は、かなり多機能なシンセサイザーですが、高品質なファクトリー・プリセットが多数収録されているため、任意の出力フォーマットを選ぶだけで直ちに使用することができます。基本的な操作は、上部の『MAIN』『OSC』『FILTER』という10種類のタブを切り替えることで行い、ファクトリー・プリセットは一番最初の『MAIN』ページで選択することが可能。出力フォーマットは、右上の『Out』プルダウン・メニューで選択します。

Sound Particles - SkyDust 3D - Immersive Audio / Dolby Atmos Synthesizer

出力フォーマットは、ステレオ、5.1ch、7.1ch、Dolby Atmos、Auro-3D、Ambisonics、Binaural、NHK 22.2chなど、30以上のコンフィギュレーションに対応

シンセサイザーとしては、最大同時発音数256音、それぞれ波形と定位を設定できる8基のオシレーター、オシレーターごとに用意されたマルチモード・フィルター、8基のオシレーターを縦横無尽に接続して周波数を変調できるFMマトリクス、最大4基併用できるエフェクト、任意のパラメーターを任意のソースで縦横無尽に変調できるモジュレーション・マトリクスというのが基本スペック。EGとLFOは、オシレーターのゲイン・モジュレーション用、フィルター・カットオフのモジュレーション用、オシレーターのピッチ・モジュレーション用に用意されているほか、モジュレーション・マトリクスなどで自由に使用できるものも8基ずつ搭載。その他、7種類のモードを選択できるアルペジエーターや、ステップ数実質無制限(!)のシーケンサーなども装備しています。

Sound Particles - SkyDust 3D - Immersive Audio / Dolby Atmos Synthesizer

8基のオシレーターの設定を行う『OSC』ページ

Sound Particles - SkyDust 3D - Immersive Audio / Dolby Atmos Synthesizer

8基のオシレーターで縦横無尽にFM変調が行える『MOD』ページ

Sound Particles - SkyDust 3D - Immersive Audio / Dolby Atmos Synthesizer

アルペジエーター/シーケンサーを搭載した『ARP』ページ

ディープな音づくりが行える「SkyDust 3D」ですが、最大のフィーチャーは何と言ってもイマーシブ・オーディオへの対応と言っていいでしょう。右上の『Out』プルダウン・メニューで出力フォーマットを選択したら、8基のオシレーターの出力は『SPATIAL』ページで360°の空間に定位します。『SPATIAL』ページでは、各オシレーターの出力を静的に定位できる『OFF』、EG/LFOを使ってダイナミックに空間定位を動かす『EG』、発音(START)から消音(RELEASE)までの空間定位を12種類の“Movement”を使って時間軸で動かす『MOVEMENT MODIFIERS』という3つのモードを選択することが可能。静的定位の『OFF』モード(Static Position)に用意されている3Dパンナーは、UI的には水平面の定位しか作れないように見えますが、実は上下にも定位できるパンナーであり、たとえばUI上でセンターに定位した場合、音源はリスニング・ポジションの真上(ハイト)に定位されます(球体の表面をグリグリと動かすようなイメージ)。下のスライダーは、定位の“拡散/ランダム具合”を設定するためのパラメーターで、右方向に動かすと上のパンナーで設定した定位がずれるように。また『EG』モードでは、DAHDSR(Delay/Attack/Hold/Decay/Sustain/Release)仕様のEGと、16種類の波形/ノイズを備えたLFOを使って、ダイナミックに空間定位を動かすことができます。そして3番目のモードである『MOVEMENT MODIFIERS』では、発音(START)から消音(RELEASE)までの空間定位を、“Random”、“Rotation”、“Floating”といった12種類の“Movement”(動作パターン)で時間軸に沿って動かすことが可能。“Final Potion”では、“Movement”終了後の最終的な定位を設定できるため、しっかり狙ったポジションに音源を配置することができます。

Sound Particles - SkyDust 3D - Immersive Audio / Dolby Atmos Synthesizer

8基のオシレーターの出力を360°の空間に定位できる『SPATIAL』ページ

SkyDust 3D」で音づくりを行う上で、重要な機能と言えるのがウィンドウ下部に用意された『SPATIAL』画面です。この画面では、「SkyDust 3D」から出力されるボイスの空間定位を、完全な360°画面の“360 View”、四角い空間を後方から視点で表した“Rear View(Cube)”、四角い空間を上方からの視点で表した“Top View(Cube)”、円形の空間を上方からの視点で表した“Top View(Sphere)”、多角形の空間を上方からの視点で表した“Polygon View”という様々なUIで確認することが可能。右端には、マスター・メーターも備えているので、空間定位と出力レベルを視覚的に確認しながら音づくりを行うことができます(もちろん、ファクトリー・プリセットを使う際も有用です)。

Sound Particles - SkyDust 3D - Immersive Audio / Dolby Atmos Synthesizer

出力されるボイスの空間定位/レベルを視覚的に確認できる『SPATIAL』画面

SkyDust 3D」の主な特徴は、以下のとおりです。

遂に登場したイマーシブ・オーディオ対応のシンセサイザー、「SkyDust 3D」。Sound Particlesでは発売を記念し、通常価格51,700円のところ、25%OFFの38,775円で販売しています。また、イマーシブ・オーディオをサポートしていない(ステレオのみ対応の)「Sky Dust Stereo」というバージョンも用意され、こちらは通常価格25,960円、25%OFFのセール価格は19,470円となっています。さらなる詳細は、国内代理店のフォーミュラ・オーディオのWebサイトをご覧ください。

ローランド、新型フラッグシップ・シンセ、「FANTOM EX」シリーズを発表…… SH-101やJUPITER-8のACB音源を標準搭載

歌い手との距離をセンサーで測定し、音量と音色を自動で補正する“オートフォーカス・マイク”、LEWITT「RAY」がデビュー

Universal Audio、テープ・レコーダーをモデリングした新作プラグイン「Verve Analog Machines Essentials」を無償配布中…… 4月30日まで

Amigaをギター用ストンプとして使う…… Magical Synth Adventure、A500をエフェクターとして使用するビデオを公開

『Maxサマースクール・イン・藝大 2024』が7月29日から8月2日の日程で開催…… Maxの生みの親であるミラー・パケット氏、IRCAMの研究者も参加

ソニーの業務用モニター、PVMシリーズのミニチュア液晶モニターが登場…… 5インチと3.5インチの2モデルがラインナップ

IK Multimedia、珠玉の“メタル・トーン”を再現する「TONEX Metal Gems」をリリース…… Peavey 5150やSoldano SLO-100などを忠実にモデリング

シングルボードコンピュータをモジュール化した“Eurorack PC”、「PAC BOT」…… モジュラーシンセの中でDAWやプラグインを使用することが可能に

ストンプ・メーカーが作ったJUNO/Polysixインスパイアのバーチャル・アナログ・シンセ、VONGON「REPLAY」がデビュー

Amiga独特のローファイでクラッチーなサウンドを再現するプラグイン・サンプラー、PotenzaDSP「Amigo」がリリース

ディストーション・プラグインの傑作、iZotope「Trash」が復活…… 無償版の「Trash Lite」も提供されるように

ボタンとジョイスティックでコードを演奏できるポケット・シンセ、Pocket Audio「HiChord」が誕生

Waves、入力音のダイナミクスでエフェクトを変調できる、これまでにない空間系複合プロセッサー「Space Rider」を発売

Arturia、「Pigments 5」を発表…… マルチ・コア処理に最適化、1クリックでメロディーを生成するジェネレーティブ機能も搭載

ローランド、オール・イン・ワンのゲーム配信用デバイス、「BRIDGE CAST X」を発表…… HDMI入力の装備により、映像も扱うことが可能に

コルグ「handytraxx play」がデビュー…… クロス・フェーダーやルーパー、エフェクトを搭載、これ1台でDJプレイが楽しめるクリエイティブなレコード・プレーヤー

コルグ、伝説のシンセサイザーを復刻した「PS-3300FS」を発表…… 約半世紀の年月を経て蘇る、“全鍵ポリフォニック”のモンスター・シンセ

ALM/Busy Circuitsから便利モジュール、「MEGA MILTON」が登場…… レベル変換/ミキサー/スリュー・リミッター/S&H/マルチプルといった機能が集約

ICON