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元AKGの社員22名が新しいマイク・メーカー、“Austrian Audio”を設立…… ワイヤレスでポーラー・パターンを選択できるマイク「OC818」を発表
昨日、閉幕したヨーロッパ最大規模の楽器の展示会、『Musikmesse 2019』。今年も多くの新製品が発表されましたが、中でも来場者の大きな注目を集めていたのが、Austrian Audioというマイクロフォン・メーカーの製品群です。

社名のとおり、オーストリア・ウィーンに拠点を置くAustrian Audioは、AKGに勤めていた22名のスタッフによって昨年7月に創設された新興のマイクロフォン・メーカー(現在は28名のスタッフが在籍)。同社が最初の製品として送り出すのは、ラージ・ダイアフラムのコンデンサー・マイクロフォン「OC818」および「OC18」で、どちらもCK12を元に開発されたセラミック・カプセル「CKR12」を搭載。上位モデルの「OC818」は、255ものポーラー・パターンを切り替えることができ、「OC18」はカーディオイド・パターン固定のモデルです。

手前が「OC18」、奥が「OC818」

カーディオイド・パターン固定のモデル、「OC18」
Austrian Audioが注目を集めていたのは、元AKGのスタッフが多数集まって創設された新しいマイクロフォン・メーカーということもありますが、「OC818」のポーラー・パターン切り替え機能が秀逸だったのも理由の一つです。「OC818」には、「OCR8」という専用アタッチメント(Austrian Audioは“ドングル”と呼んでいます)が用意され、それを装着することでスマートフォンからワイヤレスで(!)ポーラー・パターンの切り替えが可能になっているのです。接続プロトコルはBluetoothで、「PolarPilot」というコントロール・アプリが無償で提供されます(iOS/Android対応)。さらには、VST3/AU/AAX対応の「PolarDesigner」というプラグインも提供され、これを使用すればオリジナルのポーラー・パターンを作成することも可能。Austrian Audioによれば、ワイヤレスでポーラー・パターンをコントロールできる世界初のマイクロフォンとのことです。

マルチ・ポーラー・パターンの上位モデル、「OC818」

オリジナルのポーラー・パターンを作成できる専用プラグイン、「PolarDesigner」
マイクロフォンの他にも、「HI-X55」と「HI-X50」という2種類のヘッドフォンも展示。ブースでは、“Made In Austria”であることも大きくアピールしていました。

ヘッドフォン「HI-X55」もお披露目

全製品“Made In Austria”
気になるのが価格ですが、「OC818」「OC18」ともにマッチド・ペア・パッケージとアクセサリー無しパッケージも用意され、「OC818」が999〜1,899ユーロ、「OC18」が699〜1,399ユーロとなっています。“Made In Austria”の品質と機能を考えれば比較的安価で、戦略的な価格設定と言っていいのではないでしょうか。いずれも間もなく出荷開始予定で、話を伺ったセールス担当のデイヴ・カールセン(Dave Karlsen)氏によれば、日本でも慎重にローカライズした上で販売を開始したいとのこと。Austrian Audio、プロ・オーディオの世界では久々に登場した大型の新興メーカーという印象です。
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