INTERVIEW
大注目の宅録アーティスト、イロハが語るLogic Pro、Sibelius、Pro Toolsを使用した楽曲制作ワークフロー
新進気鋭のロック・バンド、さらばルバートのフロント・マンであり、最近ではソロ名義でも精力的な活動を続けているイロハ。洗足学園音楽大学出身の彼は、あらゆる楽器をこなすマルチ・プレイヤーとしても知られ、ほとんどの作品でレコーディング/ミックスも自ら手がけています。そんなイロハは先ごろ、Avidからの依頼で、楽曲制作のワークフローを解説したビデオを制作。YouTubeで無料で視聴できるこのビデオは、Apple Logic Proを使用した『作曲編』、Avid Siberiusを使用した『楽譜作成&準備編』、Avid Pro Toolsを使用した『レコーディング編』、そして『ミックス&マスタリング編』と全4章で構成され、PCで音楽制作/宅録を行っている人にとって、非常にタメになる内容になっています。このビデオを通じて制作された新曲『Only for C』は、SpotifyやApple Musicなどで配信が開始されており、自ら撮影/編集を行ったというミュージック・ビデオも公開中。そこでICONでは、新世代のクリエイターとして各方面から注目を集めるイロハにロング・インタビュー。これまでの歩みと愛用のツール、新曲『Only for C』のプロダクションについて、じっくり話を伺いました。
洗足学園音楽大学で音楽理論を学ぶ
——— マルチ・プレイヤーとして知られるイロハさんですが、最初に始めた楽器は何だったのですか?
イロハ 小学三年生のときに習い始めたピアノが最初です。同級生の男子が教室のオルガンを弾いているのを見て、何だかカッコいいなと思って。自分でも弾いてみたいと思い、誕生日プレゼントとしてピアノを買ってもらい、教室に通わせてもらったんです。小学生が通うピアノ教室というと、普通はバイエルとかからスタートすると思うんですが、ぼくは普通の曲を弾きたかったので、『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』のテーマ曲とかを弾いていました。個人の先生だったので、自由にやらせてくれて……。ピアノは結局、中学を卒業するまで習いましたね。
——— ギターを弾き始めたのは?
イロハ 中学に入ってからです。友だちから、“文化祭バンドをやるから鍵盤を弾いてほしい”と言われたんですけど、ロックをやるという話だったので、だったらギターをやってみようと思って。もちろん、ギターなんて持ってなかったので、それまで一生懸命貯めていたお金をはたいて買いました。普通は毎月定額のお小遣いをもらうと思うんですけど、ウチは自分でお弁当を作ると数百円のお小遣いをくれるという家で……。コツコツ貯めていた大量の百円玉をハードオフに持って行って(笑)、最初のギターを買いました。それでバンドを始めたわけですけど、ボーカルがいなかったので、歌もぼくが担当することになって。おもしろそうだなと思ったことは、全方向でやりたくなってしまうタイプなんです。
——— まずはどんなバンドのコピーを?
イロハ 当時好きだったバンドのスコアを買ってみたんですが、自分にとっては凄く簡単に思えたので、すぐにオリジナル曲をやるようになりました。家にWindowsパソコンがあったので、鼻歌ミュージシャンというソフトを買って、マウスでポチポチ打ち込んで……。ライブ・ハウスに初めて出演したのは中学二年のときなんですけど、その時点で曲はすべてオリジナルでしたね。その後、いろいろ話を聞いても、中学二年で全曲オリジナルでライブ・ハウスに出演した人とは出会えてないので、それは凄く誇らしいことだと思っています。
——— ロック・バンドなのにオリジナル曲をパソコンで作り始めたというのがおもしろいですね。
イロハ すぐにMTRも使うようになるんですが、曲を作りたいと思った時点では、何かに録音するという発想がなかったんですよね。お店に行ったらソフトが売っていたので、作曲というのはパソコンを使ってやるものなんだろうと。また、メロディーとコード進行だけ作ればいいという発想もなくて、ドラムやベース、ピアノもしっかりアレンジしていました。中学生でみんなヘタクソですし、自分のアイディアを形にするには、すべてのパートを打ち込んでみんなに聴かせた方が早いだろうと。中学を卒業するときには、オリジナル曲のCDを作って友だちに配ったりしましたね。恥ずかしくて今は絶対に聴けないですけど(笑)。
——— 高校時代はどんな活動を?
イロハ 高校でもバンドは続けようと思ったので、それだったら軽音が盛んな学校に入った方がいいだろうと。いくつか見学して、Nirvanaの曲をめちゃくちゃカッコよく演奏していたバンドがいた高校に入りました(笑)。中学のときは空手をやったりもしていたんですけど、高校の3年間は完全に音楽漬けでしたね。ギターとボーカルはもちろん、ベースやドラムも始めて。普通はギターだったらギターだけに集中すると思うんですが、ぼくは興味を持ったことは全部やってしまう。レコーディングやPAもやりましたし、結局軽音の部長にもなりました(笑)。
——— 高校卒業後は?
イロハ 何となく音楽の専門学校に行きたいなと思ったんです。曲を作ることはできましたし、コードの構成音とかも分かりましたけど、音楽理論を学びたいなと。何でこの響きのときはこういう感情になるんだろうとか、そういう知識が欲しかったんです。それで親に相談したら、“専門学校に行くのであれば、ちゃんと勉強して音大に行った方がいいんじゃない?”と言われて、それはそうだなと思い、音大を受験しようと。でもそのとき既に高校三年の7月だったので(笑)、音楽の先生にお願いして、放課後毎日レッスンしてもらいました。他の先生にも、“音大を受験することにしたので、音楽の勉強をしてもいいですか”と言って、数学の授業中でも音楽の勉強をしていましたね。いま振り返ると、理解のある先生方に恵まれて、とても感謝しています。
——— 大学は、洗足学園音楽大学と伺いました。
イロハ 作曲だけでなく音響にも興味があったので、レコーディングやPAの授業がある大学がよかったんです。高校時代、ライブ・ハウスのスタッフにお願いして、他のバンドのPAをやらせてもらったことがあるんですが、それが凄くおもしろくて。それでいろいろ調べたところ、洗足学園音楽大学の音楽・音響デザインコースが自分にはピッタリだった。当時の音楽・音響デザインコースは、作曲、録音、PAの各専攻があって、すべて聴講することができたんですよ。講師の先生も、録音専攻は小貝俊一さんや深田晃さん、PA専攻は小松“KMD”久明さんと一流の方ばかりで。また、副科でいろいろな楽器を履修できたので、ドラムやジャズ・ギターを習ってみたり、とても充実した4年間でしたね。でも、大学二年のときにオーケストラや劇伴を譜面で書くクラシックの授業があったのですが、それが凄く難しくて……。吹奏楽をやっていた人とかは最初からある程度書けたりするんですが、自分はまったく分からなかったので、それが嫌で仕方ありませんでした。なのでそこからは一生懸命クラシックの勉強も始めたんですけど、大学四年のときに全然足りないぞと思って、大学院に行くことにしたんです。大学院時代の2年間は、クラシックの勉強ばかりしていたので、それは今かなり役に立っています。
制作のメイン・ツールは、Logic ProとPro Tools
——— DAWの変遷をおしえてください。
イロハ 鼻歌ミュージシャンの次は、オーディオ・インターフェースに付いてきたCakewalk SONARを使うようになりました。その後、大学で使うソフトがApple Logic Proだったのでそっちに移り、途中から録音のときはAvid Pro Toolsを使うようになって。今は基本Logic Proで、ドラムやオーケストラなどのマルチトラックの録音をするときはPro Toolsを使っています。
Logic Proに関しては、何がいいというのは特にないんですけど(笑)、ショートカットに慣れていることもあって使い続けています。強いて言うなら、Logic ProはMIDI周りが良いですね。Pro Toolsは、本格的にレコーディングするのであればやっぱりPro Toolsしかないだろうと併用するようになって。ギターやボーカルくらいだったらLogic Proに録ってしまうことも多いのですが、ドラムやオケなどはPro Toolsに録っています。いくつものテイクを管理したり、複数テイクを編集したりする場合は、Pro Toolsの方が圧倒的に優れていますらからね。ちなみにPro Toolsは、バージョン2020.11から実装されたダーク・モードで使っています。ぼくは部屋を暗くして、映画館のような状態で作業することが多いんですが、画面が明るいと目がチカチカするんですよ。
——— オーディオ・インターフェースに関しては?
イロハ ずっとMOTU 896mk3 Hybridを使っていたのですが、昨年Avid Pro Tools | Carbonに乗り換えました。Pro Tools | Carbonは、めちゃくちゃ音が良くて、今市場に出回っている個人向けのオーディオ・インターフェースの中では最高峰なんじゃないかなと思います。導入して1年も経っていませんが、今ではこれ無しでの作業は考えられません。
Pro Tools | Carbonで一番気に入っているのが、ヘッドアンプの音質です。これまでもSSLのオーディオ・インターフェースや単体のアウトボードなど、いろいろ試してみたんですけど、Pro Tools | Carbonのヘッドアンプは圧倒的に解像度が高いですね。ドラムやギターはかけ録りをするわけですが、安価な機材でかけ録りをすると、音が鈍ってしまう感じがするんですよ。しかしPro Tools | Carbonでかけ録りをしても、音が鈍らずに生々しくレコーディングできるんです。この解像度の高さは、96kHzとかで作業すると如実に分かりますね。48kHzで作業すると、ドラムのハイハットがすごく耳障りに聴こえるときがあるんですけど、Pro Tools | Carbonの96kHzだとドラムの金物がそれほどうるさく聴こえない。また、音の情報量が多いからか、プラグインを通した質感も全然違うので、Pro Tools | Carbonを導入してからはできるだけ96kHzで作業するようになりました。
——— AAX DSPプラグインは活用していますか?
イロハ もちろんです。ぼくは外のスタジオで作業することも多いので、パソコンはMacBook Proを使用しているのですが、デスクトップ・マシンと比べるとパワー不足を感じることもあって。なのでDSP処理のプラグインにはずっと興味を持っていたんです。Pro Tools | Carbonですと、プラグインを通しても内蔵DSPを使えばレーテンシーが無いですし、ドラムやボーカルにコンプ、EQをかけて録れるのでストレス・フリーで作業ができています。それと気に入っているのが、ヘッドフォン出力が4系統備わっていて、トークバックが付いていたり、モニター/コミュニケーション機能が充実しているところ。ヘッドフォン出力が4系統備わっているのは、バンド・メンバーと一緒に作業するときにとても便利ですね。オーディオ・インターフェースとしては、かなり高額だと思いますけど、その音質と機能を考えればコスト・パフォーマンスは相当高いと思います。
——— 普段よく使うプラグインをおしえてください。
イロハ 一番使うのは、WavesのSSL E-Channelですね。これが基本プラグインで、すべてのチャンネルに挿さっています。ぼくのパソコンはMacBook Proなので、なるべく負荷をかけないように、プラグインの数はできるだけ少なくしたい。たくさんインサートしても、最終的には何もかけない方が良かったりしますしね。SSL E-Channelは、とにかく動作が軽いですし、EQ、フィルター、コンプ、ゲートとひととおり揃っている。外のスタジオでコンソールを使ってやる処理が、これ1本でできてしまうところが気に入っているんです。
ちなみにSSL E-Channelは、ミックス初心者にもおすすめできるプラグインですね。クリス・ロード・アルジが制作したものとか、プリセットがたくさん入っているんですが、それがとても勉強になるんですよ。プリセットのEQを上げ下げしてみると、その楽器のおいしいポイントと要らないポイントが凄くよく分かるんです。“キックはこの帯域が肝なんだな”とか、“スネアのQ幅はこれくらいがちょうどいいんだな”とか、付いてくるプリセットが本当にタメになる。思い切った設定になっているプリセットもけっこうあって、“こんなにやっちゃっていいんだ”と、ミックスし始めの頃は凄く勉強になりましたよ。EQとダイナミクスを組み合わせてゼロから音を作っていくのは時間がかかるので、ぼくの場合はSSL E-Channelのプリセットをスタート・ポイントに作業を始めることが多いですね。
それと最近のお気に入りが、FabFilterのPro-Q 3です。EQとマルチバンド・コンプレッサーを組み合わせてやっていた処理が1本で済みますし、動作も軽い。導入して、みんなが絶賛している理由が分かりましたよ(笑)。Pro-Q 3は音もそうですが、視認性が良いところも気に入っています。アナライザーがめちゃくちゃ分かりやすいですし、ピークが数値で表示されて、それが残ってくれるところがいいんです。
——— リバーブはどのようなものを?
イロハ WavesのRenaissance Reverbをよく使うんですけど、最近はArturiaのRev PLATE-140も気に入っています。プレート・リバーブなんですが、響きの質感が凄くいいんです。
——— マスター・トラックで使用しているのは?
イロハ iZotope Ozone 9とIK Multimedia T-RackS 5ですね。ぼくは大学時代からT-RackSを愛用していたので、少し前までOzoneは使っていなかったのですが、今ではOzone無しで作業するのは考えられません。ダイナミックEQとかマキシマイザーとか、やっぱり凄いなと思います。一方、T-RackSは、使い慣れているというのも大きいのですが、本物のアウトボードを通したような“実機感”があるのがいいんですよね。ぼくはそれほど実機を触ったことがあるわけではないのですが、T-RackSを通すとグッと質感が加わるんです。特に打ち込みだけの曲は、T-RackSを通すだけでかなり違いますよ。
——— 画面にはメーター系のプラグインがたくさん立ち上がってますね。
イロハ そうですね。音だけでなく数値もちゃんとしていないと気持ち悪いので、作曲時からメーターは常に立ち上げています。以前はRMS値を重視していたのですが、昔と今では音圧のトレンドも違いますし、最近はラウドネスのLUFS値を監視するようになっていますね。やっぱり、YouTubeとかで再生されることを考えると、LUFS値が重要になってくる。そういった知識は、マスタリング・エンジニアの森崎雅人さんのビデオとかを見て学んでいます(笑)。メーター・プラグインの中で気に入っているのは、無料のT-RackS CSに入っているヤツですね。T-RackS CSのメーターは、直感的で分かりやすいんですよ。
音楽制作のワークフローを解説したビデオ4本を公開
——— 先ごろ発表された新曲『Only for C』は、Avidとのコラボレーションで制作されたと伺いました。
イロハ Avidさんから、“Pro Tools | Carbonを使った曲作りのワークフローを解説してほしい”との依頼があり、そのビデオ用に書き下ろした曲なんです。解説ビデオは、第1章がLogic Proを使った『作曲編』、第2章がAvid Sibeliusを使った『楽譜作成&準備編』、第3章がPro Toolsを使った『レコーディング編』、第4章が『ミックス&マスタリング編』という構成で、YouTubeで無料で公開されていますので、ぜひご覧いただければと思います。撮影や映像編集もすべて自分でやりました。
——— 曲作りに入る時点で何かコンセプトはありましたか?
イロハ この前に作った曲がバンド・サウンドだったので、今回はオケを録りたいなというのが最初にあったんです。ぼくは“イロハ・オーケストラ”という名義でも活動していて、久々に生のストリングスを録りたいなと。でも、あまりクラシックっぽい楽曲にはしたくありませんでした。
——— イロハ・オーケストラは、どのような活動なんですか?
イロハ ステージ上で生楽器をサンプリングして、即興で組み立てるというライブ・パフォーマンスのことを“イロハ・オーケストラ”と呼んでいるんです。確か大学2年か3年のときに始めたと思うんですけど、最初はAbleton Liveを使って1人でパフォーマンスをしていたんですが、次第に同じことを生楽器でやってみたくなって。友人に田中航というすごくテクニックのあるドラマーがいて、彼の演奏をリアルタイムにサンプリングし、Squarepusherのように細かく切り刻んだりとか。今回の曲にも、そのときのリバイバルではないですけど、ブレイクビーツのようなドラムが入っていますね。
——— クラビやギターのグルーヴィーなフレーズが印象的ですが、曲作りはどのように行ったのですか?
イロハ オケを録る以外のアイディアがなかなか浮かばなかったので、MacBook ProとPro Tools | Carbonを抱えて、山梨まで一人合宿に行きました(笑)。スタジオを押さえてしまっていたので、レコーディングの日までに形にしないとマズイなと。最初に浮かんだのはコード進行というかベースで、そこにギターを載せてイメージを膨らませていきました。ちなみにOnly for C』というタイトルの“C”には、“クリエイション”、歌詞にも出てくる“カオス”、そしてPro Tools | Carbonの“C”という意味が込められています。曲のキーも、AマイナーなのでCですね(笑)。
——— 鍵盤はすべて打ち込みですか?
イロハ そうです。クラビはNative Instruments Scarbee Vintage Keysで、オルガンも同じくNative InstrumentsのVintage Organsですね。シンセ系はXfer RecordsのSERUMが中心で、ループもけっこう重ねています。ティンパニなどのオーケストラ系の音はEast West Symphonic Orchestraで、このあたりは譜面を作らずに、打ち込みしながらアレンジしていきました。
——— 生楽器のレコーディングはすべてPro Toolsで?
イロハ はい。Pro Tools | Carbonを導入したとき、ギターやベースをライン入力して手持ちのDIと聴き比べをしたんですが、Pro Tools | Carbonに直で録るのが一番良かったんです。Pro Tools | Carbonは、インピーダンスを可変できるので、自分のギターはファズをかまして、バンド・メンバーに弾いてもらったベースはダイレクトに録りました。Pro Tools | Carbonのヘッドアンプは本当に気に入っているので、オーケストラを録音するときもスタジオに持ち込んで使用しましたね。昔は外のスタジオで録るときは、MOTU 896mk3 Hybridとアウトボードとかいろいろ持ち込んでいたんですが、今は基本Pro Tools | CarbonだけでOKなのでかなりラクになりました。
——— ギターのアンプ・シミュレーターはどんなものを?
イロハ 普段はNative Instruments Guitar Rig 6 Proを使うことが多いんですが、今回はAAX DSPプラグインのBrainworx bx_rockrackを使いました。bx_rockrackはストラトのハーフトーンとの相性がめちゃくちゃ良くて、クランチ系の音には最高のプラグインですね。
——— マスター・トラックで使用したのは、Ozone 9とT-RackS 5の2つですか?
イロハ そうですね。最初にT-RackS 5のLinear Phase Equalizerで補正してから、WavesのBus Compressorをかけて、Ozone 9のDynamicsとDynamic EQで処理し、T-RackS 5のMastering Processorを通して、最後はOzone 9のMaximizerとDitherで仕上げました。
——— 今回の曲で、“ここに注目してほしい”というのがあればおしえてください。
イロハ そうですね……。強いて挙げるなら楽曲の冒頭部分、ストリングスのみのセクションの和声感ですかね。ジブリの音楽で使われている4度和声だったり、オーギュメント・コードだったり、自分の好きな響きがたくさん入っている。この曲の和声感こそ、高校時代に憧れたではないですけど、勉強して作れるようになりたいと思った響きなんです。あとは中盤までは素直に進んでいくんですけど、途中のオーケストラにEDMが融合した感じもおもしろいなと思っています。エグいベースの音もSERUMで、あの音色はけっこう作り込みましたね。それとサックスのソロも、あんまり得意ではないんですけど、せっかくなので自分で吹きました。いろいろな要素が詰まっている楽曲なので、ぜひチェックしてください。
——— 今後はどのような活動を?
イロハ 今回の曲はソロ名義でしたが、ルバートの活動も続けていきたいと思っています。でも、今はライブができない難しい時期なので、これまでにないタイプの曲を作ったり、新しいことにもチャレンジしていきたいですね。他の人に曲を提供したり、ドラマの劇伴とか、何でもやってみたいと思っているので、ぜひ声をかけていただければと思います。