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製品開発ストーリー #39:Steinberg UR-RTシリーズ 〜 Rupert Neve Designs製カスタム・トランスを搭載、音質に徹底的にこだわった新型URがデビュー! 〜

Steinbergはドイツ・フランクフルトで開幕した『Prolight+Sound/Musikmesse 2018』において、新製品「UR-RT」シリーズを発表しました。USB 2.0接続の新型オーディオ・インターフェース「UR-RT」シリーズは、世界中で大ヒットを記録した「UR」シリーズをベースに、入力段にトランスフォーマーを搭載したプレミアム・モデル。採用されているトランスフォーマーは、あのRupert Neve DesignsがSteinbergのために開発した特別なもので、これにより高級アウトボードを通したかのような存在感のあるサウンドを簡単に得ることができます。高音質マイク・プリアンプ『D-PRE』、DSPミキサー/DSPエフェクト、ループバック機能といった「UR」シリーズで好評のフィーチャーはそのまま継承され、6ch入力/4ch出力の「UR-RT4」、4ch入力/2ch出力の「UR-RT2」という2モデルがラインナップされる「UR-RT」シリーズ。そこでICONでは、開発チームのリーダーであるヤマハ音響事業本部の吉田威大氏に、「UR-RT」シリーズの開発コンセプトについて話を伺いました。

Steinberg - UR-RT

Rupert Neve Designsが特別に開発した、”Middle Stage Transformer”を搭載

——— まずは「UR-RT」シリーズ開発のスタート・ポイントからおしえていただけますでしょうか。

吉田 「UR」シリーズの製品ラインナップをさらに拡充するべく、2015年の終わりくらいから新製品の検討を始めました。いろいろと検討を重ねる中で、ふと“『D-PRE』+アルファ”で何かできないだろうかと思ったんです。「UR」シリーズで採用している高音質マイク・プリアンプ『D-PRE』は、ユーザーの皆様から大変高く評価していただいています。そこに何かを加えることで、音作りのバリエーションを増やすことができたらいいんじゃないかと。そして浮かんだのが、入力段にトランスフォーマーを搭載するというアイディアでした。トランスフォーマーと『D-PRE』の組み合わせによって、より存在感のある音でレコーディングすることができ、最終的には音楽の表現力を引き上げることができるのではないかと考えたのです。つまり「UR」シリーズをベースに、入力段にカスタムメイドのトランスフォーマーを搭載した“プレミアム・インターフェース”、それが「UR-RT」シリーズなのです。

——— 「UR」シリーズの後継機ではなく、ワンランク上の製品ということですね。

吉田 そのとおりです。「UR-RT」シリーズでは、入力段に搭載されたトランスフォーマーによって『D-PRE』単体では出せないサウンドを得ることができます。もちろん、トランスフォーマーはフロント・パネルでオン/オフが切り替えられるため、トランスフォーマー+『D-PRE』、あるいは『D-PRE』のみと、ソースに合ったサウンドでレコーディングすることが可能です。しかし「UR-RT」シリーズは、「UR」シリーズに単純にトランスフォーマーを追加しただけの製品ではありません。我々がこれまで培ってきたノウハウを注ぎ込み、ブラッシュアップできる回路は改善に努めました。結果、かなりハイ・レベルなオーディオ・インターフェースに仕上がっていると自負しています。

Steinberg - UR-RT

UR-RTの開発チームのリーダー、ヤマハ音響事業本部の吉田威大氏(ソニー・ミュージックスタジオにて)

——— この記事を読んでいる人の中には、トランスフォーマーが入ったマイク・プリアンプを使用したことがないという人も多いと思います。トランスフォーマーを経由させることで、一体どのようなサウンドが得られるのでしょうか。

吉田 何と言っても音の表現力が増します。また、音の存在感が際立つので、前に出したいトラックには非常に有効ですし、リバーブなどのエフェクトのノリも良くなるため、ミックスもやりやすくなると思います。仕方なくEQで強調するといった処理も減ると思いますので、ミックス全体にも良い影響をもたらすはずです。

Steinberg - UR-RT

下がアナログ6ch入力/4ch出力の「UR-RT4」、上がアナログ4ch入力/2ch出力の「UR-RT2」

——— 特にこの楽器に有効というのは、あったりしますか?

吉田 フロント・パネルでオン/オフを切り替えられる仕様になっているのですが、我々は今回、“常時オンで心地よい音”を目指して開発を行いました。従ってどんなソースに対しても効果を期待できると思いますが、特にボーカル、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、ドラムといったソースにはとても合いますので、ぜひその効果を試していただければと思います。

——— そして「UR-RT」シリーズのトランスフォーマーは、何とあのRupert Neve Designsとのコラボレーションによって開発されものだそうですね。

吉田 そうです。Rupert Neve Designsの製品は、現在市場に出回っているアナログ機器の中でも一級品だと思っています。PorticoやShelfordなど、どれもすばらしいサウンドがしますからね。我々は今回「UR-RT」シリーズを開発するにあたって、それらのサウンドを特徴づけているトランスフォーマーを採用し、そのエッセンスを取り入れたいと思ったのです。

——— トランスフォーマーは「UR-RT」シリーズのために開発された“カスタムメイド”とのことですが、Rupert Neve Designsにはどのようなリクエストをしたのですか?

吉田 トランスフォーマーを搭載することで、ボーカルや楽器音に艶や太さを出し、表現力を引き上げたいということを最初に伝えました。そしてRupert Neve Designsは我々の意向を受け、特別な”Middle Stage Transformer”を開発してくれたのです。

アナログのマイク・プリアンプにトランスフォーマーを搭載する場合、通常は回路の入力段(Input Stage)と出力段(Output Stage)にトランスフォーマーを実装します。しかしオーディオ・インターフェースにトランスフォーマーを搭載する場合は、ADコンバーターの前段にトランスフォーマーを配さなければなりません。Input StageとOutput Stageの中間に実装することになるため、我々は”Middle Stage Transformer”と呼んでいるのですが、Rupert Neve Designs社は今回、出力段のトランスフォーマーと同じ効果を生む特別な”Middle Stage Transformer”を開発してくれました。これが「UR-RT」シリーズのサウンドの肝となっています。

——— 「UR-RT」シリーズのトランスフォーマーは、サウンド的にはどのような特徴を持っていますか?

吉田 言葉で説明するのは難しいのですが、Rupert Neve Designs社の製品らしい音の艶と、独特のサチュレーション感が特徴だと思っています。この出音の良さ、サウンドの心地良さは、きっとプレーヤーの演奏にも大きな影響をもたらすのではないかと思います。実際、開発時のテストに参加してくださったあるボーカリストの方は、“トランスフォーマーをオンにすると、歌い方の微妙な違いに応えてくれる感じの音になって、とても歌いやすい”とおっしゃっていました。

Steinberg - UR-RT

UR-RTに搭載されたRupert Neve Designs製のカスタム・トランスフォーマー

DAコンバーターやヘッドフォン・アンプもブラッシュ・アップ

——— 入力段にRupert Neve Designs製のトランスフォーマーが搭載されている以外は、従来の「UR」シリーズと同等の機能/スペックと捉えていいのですか?

吉田 いいえ。『D-PRE』とADコンバーターに関しては、従来の「UR」シリーズと基本的には同じ回路構成になっていますが、トランスフォーマーの音色をより効果的に出力したかったので、DAコンバーターの回路構成は変更しました。また、ヘッドフォン・アンプも改良し、音質面をブラッシュ・アップしています。

——— 最近はThunderbolt対応のオーディオ・インターフェースが増えています。今回、引き続きUSB 2.0を採用したのはなぜですか?

吉田 できるだけ多くの方々に使っていただきたかったからです。それに「UR-RT」シリーズで扱うチャンネル数は少ないので、Thunderboltの転送帯域は不要ですからね。

Steinberg - UR-RT

「UR-RT4」「UR-RT2」ともにMIDI入出力端子も装備。ファンタムのオン/オフは背面で行う

——— 筐体デザインは従来の「UR」シリーズと基本的に同じ感じですが、見た目の印象はかなり違いますね。

吉田 そうですね。従来の「UR」シリーズの流れを汲みつつ、プレミアム感のあるデザインを目指しました。一目見てRupert Neve Designsとのコラボレーションということが分かるデザインということも考えましたね。また、内部のトランスフォーマーが見えるように、天板にはスリットを開けています。これによって所有する悦びも増すのではないかと思っています。

——— 「UR-RT」という製品名の“RT”には、どのような意味が込められているのですか?

吉田 “本物のトランスフォーマーを搭載する!”という想いを込め、開発の段階では“Real Transformer”を略して“RT”と呼んでいたんです。それがそのまま製品名として採用されたのですが、Rupert Neve Designsの頭文字である“R”も含まれていますし、なかなか良い製品名になったのではないかと思います。

——— 最後にこの記事を読んでいる人に、開発者からメッセージをお願いします。

吉田 「UR-RT」シリーズにはRupert Neve Designsの一級品のトランスフォーマーが搭載されていますので、それで得られるサウンドや表現力をぜひ体験していただければと思います。単にトランスフォーマーを搭載しただけではなく、DAコンバーターやヘッドフォン・アンプ、そして外観など、全体的にかなりこだわって開発を行いました。この製品が皆様の音楽制作に役立つ機材になれば、開発者冥利に尽きます。

Steinberg - UR-RT

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