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NI Maschineの開発者が設立した新興メーカー、New Sonic Artsの製品が本日より国内販売開始! 注目は新感覚ホスト・アプリケーション「Freestyle」
昨年来、欧米で大きな話題になっている新興デベロッパー、New Sonic Arts(ニュー・ソニック・アーツ)のソフトウェア群が本日より国内でも販売が開始されます。
New Sonic Artsは、元Native Instrumentsのプログラマー、ジェームズ・ウォーカー=ホール(James Walker-Hall)氏が設立した新興デベロッパー。イギリス出身のプログラマーであるジェームズ氏は、Maschineシリーズ開発の中心メンバーだった人物です。
New Sonic Artsの製品ラインナップは現在5種類。グラニュラー・シンセサイザー「Granite(グラナイト)」、ソフトウェア・サンプラー「Nuance(ニュアンス)」、ループ・スライサー「Vice(ヴァイス)」、ホスト・アプリケーション「Freestyle(フリースタイル)」、以上4つをバンドルした「Freestyle Suite(フリースタイル・スイート)」の5製品が販売されます。いずれもVST/AU対応のプラグインだけでなく、スタンドアローン・バージョンも提供されます。
市場には既にたくさんのグラニュラー・シンセやサンプラーが存在しますし、どれも機能的には珍しくないものばかりですが、そんななかNew Sonic Artsの製品が欧米で人気を博しているのは、非常に優れたユーザー・インターフェースを備えているからと言っていいでしょう。New Sonic Arts製品のUIは、基本1画面で、階層を辿ることなく直感的に操作することが可能。OpenGL(コンピューター・グラフィックスAPI)による描画はとても滑らかで、透過UIや波形表示などは美しいの一言です。
New Sonic Artsをスタートさせたのは、Maschineがヒットして大きなプロジェクトになってしまい、自分の思うような製品開発ができなくなってしまったというのもありますが、OpenGLを使って新しいユーザー・インターフェースを試してみたかったというのも大きかったんです。ここ数年、プラグインのユーザー・インターフェースは、例えば実機のハードウェアを単純に模しただけだったり、どれもワン・パターンになってしまっていましたからね。シンプルで直感的、かつ美しいユーザー・インターフェースのソフトウェアを作りたかったんです。(ジェームズ氏)
New Sonic Arts最初の製品である「Granite」は、映画やテレビ番組、ゲームに関わる作曲家やサウンド・デザイナーから高く評価されているというグラニュラー・シンセサイザー。モーション・レコーダー機能によって、パラメーターの動きを再現できるのが特徴で、それにより音のアトモスフィアやテクスチャーを表現することが可能になっています。
「Nuance」はとてもシンプルなソフトウェア・サンプラーで、ジェームズ氏によれば「Ableton LiveのSimplerのような誰でも簡単に使えるサンプラーを作りたかった」とのこと。単発のサンプルを鳴らすのに最適なドラム・モードも搭載し、操作がシンプルなだけでなく、CPU負荷が非常に軽いのも特徴です。LFOとEGを2基ずつ搭載し、強力なモジュレーション・マトリクスを備えているのもポイント。
「Vice」は、Propellerhead ReCycleスタイルのループ・スライサー。読み込んだサンプルは自動的にスライスが実行され、スライスごとに細かくパラメーターを設定できるのが特徴です。
今のところすべてサンプル・ベースのインストゥルメントですが、それは私がサンプルを加工するのが大好きだからです(笑)。3種類のインストゥルメントは、9割方コードが同じですね。将来的にはシンプルなシンセサイザーも開発したいと思っています。(ジェームズ氏)
そして最大の注目は、第4の製品「Freestyle」。「Freestyle」は、VSTプラグインを読み込んで自由にパッチ/マッピングできるホスト・アプリケーションで、スタンドアローン・アプリケーションとしてだけでなく、これ自体がVST/AUプラグインとしても利用できるという大変ユニークな製品です(つまり、Apple Logic ProなどAUプラグインのみ対応のホスト・アプリケーションでは、VSTプラグイン・ラッパーとしても機能するというわけです)。
「Freestyle」では、ブラウザーからVSTプラグインをドラッグ&ドロップで読み込み、Cycling ’74 Maxのような感じで入出力自由にパッチングすることが可能。MIDIノートを分割する“KeySplit”や、出力をマージする“Mixer”などのユーティリティー・モジュールも多数用意されているため、複数のインストゥルメント/エフェクトを組み合わせたアルゴリズムを自由に作成することが可能です。よく使うプラグインのパラメーターを任意のMIDIコントローラーにアサインするマクロ・コントロールや、パッチの状態を保存するスナップショットといった便利機能も充実。“Beat Delay”、“Chorus”、“Filter”といったエフェクト・モジュールも6種類内蔵されています。
機能を見ると、Apple MainStageのような“キーボーディストのための演奏用ホスト・アプリケーション”のような印象がありますが、開発者のジェームズ氏は、プロダクション用途も見据えた“新世代のホスト・アプリケーション”であると強調します。
「Freestyle」は、演奏とサウンド・デザイン、両方に使える新世代のホスト・アプリケーションです。MainStageとは違い、「Freestyle」には古典的な“チャンネル”という概念がありません。私は既存のホスト・アプリケーションの“トラック”や“チャンネル”という概念が、トラディショナルな使いにくさを生んでいると思っているのです。現在はバージョン1.xですが、メジャー・バージョン・アップ後の2.xではDAW領域での機能強化も見据えています。つまり、作曲やアレンジにも使えるホスト・アプリケーションへと進化していくということですね。(ジェームズ氏)
遂に日本上陸を果たしたNew Sonic Artsのソフトウェア群。すべてMac/Windows両対応で、VST/AU版だけでなくスタンドアローン版も提供されます。日本では本日よりbeatcloudでダウンロード販売が開始され、気になる価格は「Granite」「Nuance」「Vice」が各9,000円(2017年2月末までのイントロ・プライス。2017年3月以降は各12,000円)、「Freestyle」が12,000円(2017年2月末までのイントロ・プライス。2017年3月以降は15,000円)、バンドルの「Freestyle Suite」が23,000円(2017年2月末までのイントロ・プライス。2017年3月以降は27,000円)となっています(価格はすべて税別)。詳しくは、beatcloudをご覧ください。