SYNTH & MACHINE
ローランド、新感覚ガジェット『AIRA Compact』を発表…… 本物の“Rolandサウンド”で気軽に曲づくりを実現
今週木曜日から3日間にわたって開催される、世界最大のシンセサイザーの祭典『SUPERBOOTH 22』(2022年5月12〜14日/於:ドイツ・ベルリン)。その開幕を前に、ローランドが大注目の新製品をアナウンスしました。本日発表された『AIRA Compact(アイラ・コンパクト)』シリーズは、手のひらサイズのコンパクトな音楽制作&パフォーマンス・ガジェット。「T-8」(TR&TB-303ビート・マシン)、「J-6」(JUNO-60ベースのコード・シンセサイザー)、「E-4」(ボイス・トランスフォーマー&ルーパー)という3製品がラインナップされ、今月27日から販売が開始されます。
コルグ volca、teenage engineering pocket operatorといったマシンが牽引するミュージック・ガジェット市場に、遂にローランドも参入してきました。間もなく店頭に並ぶ『AIRA Compact』シリーズは、曲づくり/サウンドメイクのおもしろさをコンパクト筐体に凝縮した音楽制作&パフォーマンス・ガジェット。“ACB(Analog Circuit Behavior)”でモデリングされた“本物のRolandサウンド”と、シンプルで直感的な操作性が特徴で、既にこの類の製品を愛用しているマシン・ラバーはもちろん、ハードウェア・マシンに興味を持っていた人の最初の1台としても最適なシリーズとなっています。
『AIRA Compact』シリーズの筐体サイズは、横幅約19cm×奥行き約11cm×高さ約4cm/重さ約300グラムと非常にコンパクトで(筐体サイズと重さは、製品によって微妙に異なります)、リチウムイオン・バッテリーが搭載されているため、場所を選ばずに使用することが可能。端子類はすべて3.5mmのミニ・ジャックで、ステレオ・オーディオ出力(ヘッドフォン出力と兼用)、他のマシンのサウンドをミックスできるステレオ・オーディオ入力、他のマシンと同期できるシンク入出力、MIDI入出力(Type-A)を装備しています。背面にはType-C端子のUSBポートも備わり、汎用のUSBアダプターを使って電源供給/内蔵バッテリーの充電を行うことが可能(5V/500mA以上のUSBアダプターに対応)。このUSBポート、2ch入出力のオーディオ・インターフェース/MIDIインターフェースとしても機能し、特別なドライバーをインストールすることなく、DAWと連携することも可能になっています(Mac/Windows/iOS対応。AIRA Linkもサポート)。
それでは『AIRA Compact』シリーズの特徴を製品ごとに見ていくことにしましょう。
BEAT MACHINE: T-8
“BEAT MACHINE”を標榜する「T-8」は、1台でリズムとベースをカバーするマシン。リズム・パートは6トラック(キック、スネア、クラップ、タム、クローズド・ハイハット、オープン・ハイハット)仕様で、プラス、TB-303音源のベース・パートを搭載。リズム・パートは、名機TR-808/TR-909/TR-606を元に開発された音源を搭載し、キックとスネアはチューン/ディケイ、クラップとタムはチューン、クローズド・ハイハットとオープン・ハイハットはディケイを調整することも可能になっています。ベース・パートはTB-303のモデリング音源で、カットオフ/レゾナンス/ディケイ/エンベロープ・モジュレーションといったパラメーターをエディットできるほか、TB-303同様にノコギリ波と矩形波を切り替えることも可能。ディレイ、リバーブ、オーバードライブ、サイドチェーン(ダッキング/ゲート)といったエフェクト機能も内蔵しています。
内蔵シーケンサーは、最大32ステップ/最大64ユーザー・パターンという仕様で、リズム・パートは伝統のTRスタイルを採用、ステップごとのベロシティやサブ・ステップ(ステップ内ステップ)も入力するすることができます。ベース・パートは、TRスタイルで発音させるステップをオンにし、エンコーダーでノートを設定するというスタイル(ステップ・ボタンを鍵盤として機能させるモードも装備)。アクセントやスライドにも対応し、一度入力したフレーズも細かく編集することができます。秀逸なのが、発音確率を設定できるプロバビリティと、任意のステップを繰り返すことができるステップ・ループで、単純なパターンもダイナミックに変化させることが可能。プロバビリティは、サブ・ステップやシーケンス全体にも設定することができます。
CHORD SYNTHESIZER: J-6
『AIRA Compact』シリーズの中で、最も注目を集めそうなのが「J-6」です。“CHORD SYNTHESIZER”を謳う「J-6」は、’80sシンセサイザーの名機、JUNO-60のモデリング音源を搭載した音源内蔵シーケンサー。最大の特徴は、様々な音楽スタイルをカバーする100種類の『コード・セット』(プリセット・コード)を内蔵している点で、コードや作曲理論についての知識が無くても、簡単にコード・シーケンスを作り出すことができます。使い方はシンプルで、好みの『コード・セット』を選び、キーボードを使ってルート・ノートを鳴らすだけ。良い感じのコードが見つかったら、右上の“CHORD SEQUENCER”セクションの各ステップに入力し、シーケンスを作っていきます。「J-6」が凄いのは、コードに“動き”を付けられるところで、右上の“Style”および“Varietion”ノブを操作すれば、コードをアルペジオやパターンに変化させることが可能。キーボードがまったく弾けなくても、ボタンとノブの操作だけで、バッキング・パターンをかなり作り込むことができます。
内蔵音源はJUNO-60をモデリングした4ボイスのシンセサイザーで、厳選された64種類のプリセットを搭載。フィルターやエンベロープを調整することもでき、リバーブやディレイといったエフェクトも搭載しています。
VOICE TWEAKER: E-4
そして「E-4」は、VT-4直系のボイス・トランスフォーマーで、『AUTO PITCH』『HARMONY』『VOCODER』という3種類のプリセットを搭載。ピッチとフォルマントはスライダーで操作することができ、高品位なリバーブも内蔵しています。「E-4」の大きな特徴と言えるのが、ルーパー/スキャッター機能で、内蔵メモリに最大24秒録音することが可能。ルーパーは声をオーバーダブさせることもでき、大型の“SCATTER”ノブを使えば、簡単にグリッチ・ボイスを作り出すことができます。
ローランドが満を持して発表した音楽制作&パフォーマンス・ガジェット、『AIRA Compact』シリーズ。2022年5月27日発売予定で、価格はオープン・プライス、市場想定価格は各19,900円(税別)となっています。さらなる詳細は、ローランドのWebサイトをご覧ください。