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バーチャルEurorackモジュラー・シンセ「VCV Rack」が無償配布開始! MutableやBefacoのモジュールも使用可能
コンピューター・プログラマーのアンドリュー・ベルト(Andrew Belt)氏が、先週末開催されたイベント『Knobcon 2017』に合わせて、「VCV Rack」というソフトウェアの無償配布を開始しています。
Mac/Windows/Linuxの3プラットホームに対応する「VCV Rack」は、流行のEurorackモジュラー・シンセサイザーをコンピューター上に再現するソフトウェア。アンドリュー氏は、「VCV Rack」のことを“Open-source virtual Eurorack DAW”と謳っており、ソースコードも合わせて配布されています。
使用方法は極めてシンプルで、ソフトウェアを立ち上げると空のラックが開くので、あとはサブ・メニュー(右クリックで表示)から使いたいモジュールを配置していきます。「VCV Rack」には標準の“Fundamental”モジュールが8種類付属しており、またオーディオの入出力とMIDI信号をCVに変換するための“Core”モジュールも用意されています。
標準で用意されているモジュールは以下のとおりです。
- Core: Audio Interface:最大8chのオーディオを入出力するためのモジュール。オーディオ・インターフェースやサンプル・レート、バッファー・サイズも設定可能
- Core: MIDI Interface:受信したMIDI信号をCVに変換して出力するモジュール。MIDIインターフェースも選択可能
- Fundamental: VCO:4種類の波形を生成するオシレーター・モジュール。デジタル/アナログの切り替えで、波形の質を変えることが可能
- Fundamental: VCF:マルチモード・フィルター・モジュール
- Fundamental: VCA:LIN/EXPの2つの入力を備えたデュアルVCA
- Fundamental: Delay:ディレイ・モジュール。音色を変えられる“COLOR”パラメーターを装備
- Fundamental: ADSR:4ステージのエンベロープ・ジェネレーターで、すべてCVコントロール可能
- Fundamental: VC:3ch入力のミキサー・モジュール。それぞれ出力が備わっているのでアッテネーターとしても使用可能
- Fundamental: Scope:デュアル仕様のスコープ・モジュール
- Fundamental: SEQ-3:8ステップ/3段仕様のシーケンサー・モジュール。ステップごとにゲート出力を装備
使用したいモジュールを配置したら、あとは自由にパッチしていきます。モジュールはドラッグで自由に移動することができ、ケーブルの表示濃度は上段の“Cable opacity”で、長さ(テンション)は“Cable tension”で設定することが可能。“CPU usage”ボタンをクリックすれば、各モジュールの上部にCPU消費量が表示されます。なお、ラックの横幅や段、使用モジュール数に制限は無く、コンピューターのパワーが許す限りいくらでも使用することができます。
これだけでも十分おもしろい「VCV Rack」ですが、凄いのは実在するモジュールをアドオンで追加できるところ。現在、人気のMutable Instruments、Synthesis TechnologyのE340 Cloud Generator、Befacoのモジュールがアドオンとして用意されています(すべて無償)。中でもMutable Instrumentsは、BraidsやClouds、Ringsといった代表的なモジュールがほとんど用意されており、これらがすべて無償で提供されているのはなかなか驚きです。
『Knobcon 2017』会場で、開発者のアンドリューさんとお話しすることができました。
コンセプトとしては基本的にSoftubeのModularと同じで、大きな違いは「VCV Rack」はスタンドアローン・ソフトウェアであるという点。しかし現在開発中のVST BridgeとAU Bridgeがリリースされれば、DAWとオーディオのやり取りも可能になるよ。標準のモジュールは、パネル・デザインを見て分かるとおり、Grayscaleの協力のもと開発した。アドオン・モジュールに関しては、Mutable Instrumentsのモジュールは回路が公開されているので、パネル・デザインを含め承諾を得てソフトウェア化したんだ。これから人気のBefaco Rampageをリリースするし、オープンソースなのできっと誰かが新しいアドオンを開発すると思う。もちろん、オーディオ・インターフェースを使えば、本物のEurorackモジュラーと接続することも可能だよ。
ベータ・バージョンながら非常に完成度の高いバーチャル・モジュラー「VCV Rack」。何と言ってもMutable Instrumentsのモジュールがコンピューター上で利用できるのは大きな魅力です。興味のある方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。詳しくは、「VCV Rack」のWebサイトをご覧ください。
なお、北米最大規模のシンセサイザー・イベント『Knobcon 2017』の模様は、現在準備中の新しいWebサイト「MODULATION」のInstagramとFacebookページでレポートしています。こちらはモジュラー・シンセサイザー中心ですが、ぜひフォローをお願いします。
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