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Mac AU専用の“モジュラー”プラグイン・スウィート「Airwindows」…… Neve/API/SSLのコンソール・シミュレーターなど、多数のフリー・プラグインも配布中
「Airwindows(エアウィンドウズ)」というプラグイン・スウィートをご存じでしょうか?
クリスさんという方が開発を行っている「Airwindows」は、Audio Unitsフォーマットのみ(つまりはMacのみ)でリリースされているプラグイン・スウィートで、著名なアナログ・コンソールのバスの特性をシミュレートしたものや、E-mu SP-1200のローファイ・サウンドをシミュレートしたものなど、他には無さそうなユニークなプラグインが揃っているのが特徴です。また、どのプラグインも余計な機能やパラメーターを削ぎ落とした極めてシンプルな設計になっているのも特徴で、そのポリシーはUIにも貫かれており、一般的なプラグインのようなグラフィック・ユーザー・インターフェースを備えていません。パラメーターの設定は、Audio Units標準の横方向のスライダー/数値ディスプレイで行う仕様で、最初は少々味気ない感じがするものの、使い慣れれば“音”に集中できていいかもしれません。
クリスさんは、「Airwindows」を“モジュラー・プラグイン“と呼んでおり、複数のプラグインを組み合わせた使用方法をいくつか提案しています。たとえば、「ITB mixing system」という組み合わせでは、ミキサーの各チャンネルに「Console2Channel」、ミックス・バスに「Console2Buss」といったプラグインをインサートすることで、アナログ・コンソールの音の変化/ふるまいをDAWミキサーで再現しています。つまり、「Airwindows」プラグインの機能がどれもシンプルなのは、それぞれがモジュラー・シンセサイザーにおけるモジュール(あるいはMaxにおけるオブジェクト)だからで、そのパッチはDAWミキサーのルーティングで行う……と考えれば、「Airwindows」プラグインのコンセプトが理解できそうです。もちろん、各プラグインは単体でも機能するので、組み合わせての使用は必須ではありません。
前置きが長くなりましたが、「Airwindows」プラグイン・スウィートは基本有償なのですが、フリーのプラグインもたくさん配布されています。サウンドにアンビエンスを付加する「MineSpace」、フランジャー・プラグインの「Flanger2」、マルチバンド・ディストーションの「MultibandDistortion」などなど……。中には、コンボリューション・リバーブ用のインパルス・レスポンスを集めた「Fireworks Reverbs」なんていうものもあります。
その中で、海外の掲示板/ブログなどで評価が高いのが「Channel 3」というプラグイン。これは、任意のチャンネルにインサートすることで、Neve/API/SSLのコンソールのサウンドを再現できるというプラグインです。
パラメーターはシンプルで、Neve/API/SSLを切り替える“Console Type”と、サチュレーション・レベルを設定する“Drive”の2つのみ。実際に使用してみると、本物に似ているかどうかはわかりませんが、評判どおり確かに良い質感を付加してくれます。CPU負荷も軽いので、トラックをちょっと鈍らせたいというときに重宝するのではないでしょうか。
見た目は極めてシンプルな「Airwindows」プラグイン・スウィートですが、しっかりとアップデートされており、現在はすべてのプラグインが64bitに対応しています。MacでAUプラグインが使える方は、ぜひお試しください。