MUSIKTECHNIK
Musikmesse 2014: 手のひらサイズのかわいいモジュラー・ガジェット電子楽器、Bastl Instruments！ 新作のグラニュラー・サンプラーも展示
年々、小さなガレージ・メーカーの出展が減っている感じがするMusikmesse。とてもさびしい限りなのですが、今年は去年よりもさらに減っている印象でした（シンセサイザー／DAW関連でいえば、ほとんど壊滅に近い感じです）。そんななか、がんばって出展していたのが、中欧チェコのガレージ・メーカー、Bastl Instruments。ガジェット楽器好きの方なら既にチェック済みと思いますが、以前ICONでも紹介したStanduinoを開発したMakerたちが新たにスタートさせたブランドです。
同ブランド初の製品となるのが、手のひらサイズの電子楽器、「Trinity」モジュール。現在までに以下のような製品がリリースされています。
● Poly：変幻自在の3ボイス・ポリフォニック・シンセサイザー。減算／FMの両アルゴリズムが使用でき、LFOやEGも搭載。
● Mono FM：実験的なアルゴリズムのモノフォニック・シンセサイザー。1キャリア／3モジュレーターという仕様で、LFOも搭載。
● Drum：5ボイスのドラム・マシン。シーケンサーも搭載し、1つのプリセットに6つのサウンドと5つのパターンを記録することが可能。最大6プリセット。
● XOR：6ボイス・ポリフォニック・シンセサイザー。XORモジュレーション・アルゴリズムで、LFO、アルペジエーター、EGも搭載。
● Sqncr：最大3個の「Trinity」モジュールを鳴らすことができるシーケンサー。1つのプリセットに4つのパターンを記録することが可能。最大3プリセット。
● MIDI Bastl：「Trinity」モジュールでMIDI入出力が利用できるようになるモジュール。MIDIクロックをCVクロック（2／12／24／48パルス切り替え）に変換することも可能。
「Trinity」モジュールは、それぞれボタンやノブが備わっているので、単独で音を鳴らしたり、シーケンスさせたりして遊ぶことができます。また、複数の「Trinity」モジュールは連結できるようになっており（littleBitsのような感じです）、「Sqrl」モジュールを繋げてシーケンスさせたり、「MIDI Bastl」モジュールを繋げてMIDIコントロールに対応させたりできます。
見た目はかわいいですが、そのサウンドは、けっこう攻撃的（デモ・ムービーを撮影してきましたので、ぜひごらんください）。普通のシンセやドラム・マシンとはひとあじ違うサウンドで、いじり始めたら延々とハマってしまいそうです。ちなみにBastl Instrumentsのガジェット楽器は、すべてArduinoをベースに開発されているとのこと。
そしてBastl Instrumentsは、Musikmesseの直前に新製品、「microGranny 2.0」を発表しました。「Trinity」モジュールよりも大きな筐体（といっても、コンパクトです）の「microGranny 2.0」は、“モノフォニック・グラニュラー・サンプラー”を謳うガジェット。microSDカードのWAVファイル（モノ、8／16bit、22.05kHz、ファイル名は2文字限定）を読み込み、独自のグラニュラー・アルゴリズム（サンプルを細かく切り刻み、様々な方法で再生するアルゴリズム）で処理して再生することができます。
もちろん、サンプルはループ再生でき、スタート・ポイントやエンド・ポイントをリアルタイムに変えることも可能。グラニュラーは、グレイン・サイズ（切り刻んだサンプルのサイズ）や再生スピード、再生方向を自由に操作することができます。MIDI入力も備え、EGも搭載しているので、普通のサンプラー的な使い方にも対応。パラメーター設定は、10バンク／60種類microSDカードに保存することが可能です。こちらもデモ・ムービーを撮影してきましたので、ぜひご覧ください。
「microGranny 2.0」は、現在予約受付を開始しており、最初のロットは“Limited Orange Edition”として30台限定で発売されるとのこと。価格は160ユーロで、4月7日に配送を開始するとのことです。一方、「Trinity」モジュールは既に発売中で、価格はそれぞれ75ユーロ（「MIDI Bastl」は30ユーロ。「Trinity」モジュールは、価格の安い組み立てキット・バージョンも用意されています。
かわいい見た目で物欲をそそるBastl Instrumentsのガジェット楽器群。要注目のブランドです。
関連リンク：
