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ローランド、AIRA TR-8/TB-3/SYSTEM-1/VT-3を発表! 内部96kHz/32bit浮動小数点演算で、96kHzデジタル出力できる“レジェンド・ギア”
NAMM Show開幕のちょうど1週間前の先月15日、ティーザー・ムービーと特設サイトが公開され、その存在が明らかになったローランドの新製品「AIRA」。一部ではリーク画像なども出回り、世界中のシンセサイザー・フリークの間で大きな話題となりました。はたして「AIRA」とはどのような製品なのか。リーク画像のとおり、TR-808の現代版レプリカなのか。もしそうだとしたら、アナログ回路なのかデジタル回路なのか。気になって仕方がなかった人もきっと多いと思います。しかしつい先ほど、「AIRA」の情報が公開され、その正体が明らかとなりました。
「AIRA」は、ローランドが新たに組織した社内カンパニー、“RPG(Roland Professional Group)”が手がけた最初のプロジェクト。“RPG”は、V-Mixerなどの業務用音響/映像機器を手がける“RSG(Roland Systems Group)”に続く2つめの社内カンパニーとのことで、プロフェッショナルやハイエンド・アマチュアを対象とした“カッティング・エッジ”なプロダクトを手がけてるグループとして、昨年7月に組織されたとのことです。
そして「AIRA」というのは製品ラインの名称であり、同ラインの最初のプロダクトとして、「TR-8」、「TB-3」、「SYSTEM-1」、「VT-3」という4つの製品がラインナップされます。
TR-8:RHYTHM PERFORMER
ローランドの新技術、“ACB(Analog Circuit Behavior)”によって、TR-808/TR-909のサウンドを完璧にモデリングしたリズム・マシン。操作体系は、オリジナルTR-808のものを踏襲しつつ、中央にボリューム・フェーダーを装備するなど、より使いやすいものになっています。内蔵シーケンサーは、TR-808/TR-909のシーケンサーの“揺らぎ”まで完璧に再現し、シャッフルも可能。内部のサウンドをサンプリングし、リアルタイムに切り刻んで別のフレーズを生成するユニークな“スキャッター”機能も搭載し、リバーブやディレイといったエフェクトも搭載しています。出力はステレオ+アサイナブル×2の4出力で、ヘッドフォン出力も装備。さらに外部入力に対して“スキャッター”をかけられるエクスターナル入力も備え、もちろんMIDI入出力を備えています。
そしてすごいのが、USBオーディオ・インターフェース機能。「TR-8」をはじめとする「AIRA」プロダクトは、96kHz/32bit浮動小数点で内部演算されているのですが、コンピューターとUSB接続することで、96kHz/32bit浮動小数点で生成された音をそのままDAWに取り込むことが可能になるのです。この際、メインのステレオ出力のほかに、キットごと11系統のパラ出力も可能。コンピューターとの接続は、ASIO/Core Audioといった標準的なオーディオ・ドライバで行われるので、DAWの出力を「AIRA」プロダクトで再生するといったオーディオ・インターフェース的な使い方も可能になっています。もちろん、コンピューターとUSB接続した場合は、DAWなどとMIDIクロックで同期することもできます。
TB-3:TOUCH BASSLINE
“ACB”によって、TB-303のサウンドを完璧にモデリングしたベース・マシン。TB-303の鋸波/矩形波の2つのサウンドを基本に、エフェクト込みのサウンド(Devil Fishのような改造TB-303のようなサウンドなど)が約200種類搭載されています。実機を踏襲した「TR-8」とは異なり、ユーザー・インターフェースは「TB-3」オリジナルのものを採用。鍵盤状に間仕切りされたタッチ・パネルを使って、打ち込み/演奏する新しいインターフェースとなっています。出力はステレオ出力で、MIDI入出力も装備。「TR-8」同様、USBオーディオ・インターフェース機能を備え、96kHz/32bit浮動小数点で生成された音をそのまま出力することが可能になっています。
SYSTEM-1:PLUG-OUT SYNTHESIZER
25鍵のキーボードを備えた最大4音ポリのシンセサイザー。「TR-8」と「TB-3」とは若干コンセプトが異なり、特定のシンセサイザーをモデリングした製品ではありません。正確には、SH-101のモデルも利用できるのですが、標準搭載されているアルゴリズムは、“ACB”によって開発された新しいシンセサイザー(SYSTEM-1)のモデル。このシンセサイザーは、2オシレーター+サブ・オシレーター+ノイズという音源部を持ち、オシレーターはローランドの十八番波形“SuperSAW”に加え、新開発の“SuperSquare”も選択できるようになっています。
これだけだったら従来のアナログ・モデリング・シンセサイザーとあまり変わりませんが、「SYSTEM-1」では“PLUG-OUT”という新機能によって、ソフト・シンセと高度な連携ができる設計になっています。具体的には、「SYSTEM-1」の発売と同時に提供される“PLUG-OUT”対応のソフト・シンセをコンピューター上で使用し、セッティングそのままにモデルごと「SYSTEM-1」に移すことが可能に。つまり、コンピューター上で使用しているシンセを、そのままライブやスタジオに持ち出せるというわけです。“PLUG-OUT”対応のソフト・シンセとしては、最初にSH-101のモデルが提供されるとのこと。今後、他のモデルを提供していく予定もあるとのことです。
リア・パネルには、ステレオ出力のほかにヘッドフォン出力、ペダル入力(ホールド/コントロール)、MIDI入出力を搭載。「TR-8」や「TB-3」同様、USBオーディオ・インターフェース機能を備え、96kHz/32bit浮動小数点で生成された音をそのまま出力することが可能になっています。
実機を目の当たりにすると、「SYSTEM-1」はサウンドだけでなく、そのデザインもかなり魅力的。写真ではわかりづらいかもしれませんが、ひじょうに薄いデザインに仕上がっているのです。ラップトップ・コンピューターと並べた際にすごく使いやすそうで、かなり物欲をそそるデザインになっています。
VT-3:VOICE TRANSFORMER
「VT-3」は、ボイス・トランスフォーマーとして人気を集めたVT-1を現代の技術で蘇らせた製品。10種類のアルゴリズムを搭載し、ロボット・ボイスやボコーダー・ボイスを簡単に作り出すことができます。他の「AIRA」製品同様、USBオーディオ・インターフェース機能を備え、96kHz/32bit浮動小数点で処理された音をそのまま出力することも可能になっています。
ICONでは先日、ローランドの「AIRA」担当の方にじっくり話を伺ってきましたので、さらなる詳細については、近々インタビュー記事として掲載する予定です。いましばらくお待ちください!