Summer NAMM 2012

Summer NAMM: Pro Toolsのソフト・シンセを開発したA.I.R.が、まったく新しいタイプの音楽制作ソフト「Ignite」を発表!

先日、Avid社からInMusic社に売却されることが決まったドイツのソフトウェア開発チーム、A.I.R. Music Technology(旧A.I.R.)が、まったく新しいコンセプトの音楽制作ソフトウェア「Ignite」を発表しました。「Ignite」は、12日10時(日本時間13日0時)にアメリカ・ナッシュビルで開幕するSummer NAMMでお披露目される予定となっています。

A.I.R. Music Technologyは、ピーター・ガーガスによって設立されたWizooを母体とする開発チームで、高品位なサウンド・ライブラリーで名を馳せた後、SteinbergからのオーダーでHypersonicやVirtual Guitaristといったソフトウェア・インストゥルメントの開発を行っていました。その後はAvid社に買収され、“A.I.R.”として、StructureをはじめとするPro Tools用のソフトウェア・インストゥルメントやプラグイン・エフェクトを開発。そして今後は、InMusic社傘下のソフトウェア・デベロッパー「A.I.R. Music Technology」として、オリジナル製品を展開していくようです。

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その第一弾製品となる「Ignite」は、“スムースな楽曲制作”をターゲットに開発された、まったく新しいタイプの音楽制作ソフトウェア。従来のDAWの複雑な操作体系やエンジニア寄りのユーザー・インターフェースを見直し、ミュージシャンが作曲に集中できるようなデザインになっているのが特徴です。

A.I.R. Music Technologyのプリンシパル・プロダクト・マネージャーであるサマラ・ウインターフェルド氏は、イギリスの情報サイトSonic Stateの取材に対し、「この製品は、我々の何年にも及ぶ研究開発の成果であり、血と汗と涙の結晶です。我々も音楽制作を行いますが、従来のDAWを使った音楽制作には満足できませんでした。これが「Ignite」を開発したきっかけです。「Ignite」の最初のバージョンは、主要な機能のみ実装しています。我々は既に多くの機能を開発中で、それらはすぐに(アップデートによって)利用できるようになる予定です」と答えています。

ハッキリ言って不明な点が多く、どのように機能するのかよく分かっていないのですが、「Ignite」には以下のような特徴が備わっているようです。

● 従来のDAWとは一線を画すユーザー・インターフェース

「Ignite」の核となるのは、A.I.R. Music Technologyが“ノンリニア・アレンジャー”と呼ぶ、まったく新しいスタイルのユーザー・インターフェース。これは従来のDAWにおけるタイムライン上にトラックを並べたユーザー・インターフェース(Pro Toolsにおける編集ウィンドウ、他のDAWにおけるアレンジ・ウィンドウ)を置き換えるものとのことです。

AIR_Music_Technology_Ignite_2

上の画面が「Ignite」のユーザー・インターフェースで、おそらくは下半分の部分が“ノンリニア・アレンジャー”なのでしょう。“ノンリニア・アレンジャー”には、“Verse 1”や“Chorus”といったブロックが配置されていますが、そのレイアウトは整然としておらず、横軸が時間/縦軸がトラックという単純なものではなさそうです。果たしてこの“ノンリニア・アレンジャー”はどのように機能するのか……より詳細な情報を待つことにしましょう。

● 作曲/編曲を補助する“Smart MIDI Technology”

「Ignite」は、“Smart MIDI Technology”と呼ばれるインテリジェントな機能も搭載。コード/フレーズ/パターンの生成やアレンジなどを「Ignite」が補助してくれるようです。

● 5種類のソフトウェア・インストゥルメントを実装

A.I.R.製のソフトウェア・インストゥルメントを実装。これらはPro Tools用に開発されたものとのことです(ということは、Structure/Strike/Velvet/Transfuser/Hybridということでしょうか?)。

● 作成された楽曲の共有/公開機能

シェアリング・タブによって、作成された楽曲を即座に共有/公開することが可能。シェアリング・タブは、SoundCloudやFacebook、Eメールなどへのダイレクト・リンクを装備。この機能は、他のミュージシャンとの共同作業にも活用することができます。

なかなかおもしろいコンセプトの音楽制作ソフトウェアである「Ignite」。個人的には、今年のMusikmesseで発見したSpringbeats社のInstinctを想起しました。今後は、こういう作曲に特化したソフトウェアというのが増えていく気がします。

M-Audio_Axiom_Air_25

「Ignite」は、同時に発表されたM-Audioの新型キーボード・コントローラー「Axiom A.I.R.」シリーズにバンドルされ、単体でも販売される予定とのこと。「Axiom A.I.R.」シリーズは本年10月中旬のリリースとのことですが、その価格や単体販売についての詳細は明らかになっていません。

ICON: Summer NAMM: M-Audio、新型キーボード・コントローラー「Axiom A.I.R.」を発表

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