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Plogue、ヴィンテージ・コンピューターの声質を再現した本格的な歌声シンセサイザー、「Alter/Ego」の無償配布を開始！
カナダはモントリオールのソフトウェア・デベロッパー、Plogue Art et Technologies社が、歌声シンセサイザー「Alter/Ego」の無償配布を開始しています。
「Alter/Ego」は、今年初頭に販売が開始された歌声シンセサイザー、「chipspeech」の無償バージョン。「chipspeech」は、世界初のコンピューター歌唱曲『Daisy Bell』のIBM 704をはじめ、Texas Instrumentsのホーム・コンピューター、TI-99/4A用カートリッジなど、’60〜80年代の“ヴィンテージ・スピーチ・シンセサイザー”を再現したマニアックなソフトウェア音源として注目を集めましたが、無償版「Alter/Ego」ではそのエッセンスを凝縮。使える音声は現時点では1つだけで、一部パラメーターも省かれていますが、歌声シンセサイザーとして十分な機能を備えています。
「Alter/Ego」では、ソフトウェア本体と音声ファイルが別々に提供されます。現時点で提供されている音声ファイルは、ヴィンテージ・コンピューターっぽい歌声の『Daisy』1種類のみですが、今後別の音声ファイルを提供する予定もあるとのこと。音声ファイルをインストールするには、DAW上で「Alter/Ego」を立ち上げた後、“Daisy”フォルダ内の“Daisy.bank.xml”というファイルをプラグイン・ウィンドウにドラッグ＆ドロップすればOKです。
「Alter/Ego」の基本となるパラメーターは上段に並んでいます。一番左側の“PRESET”メニューでは、音色（シンセサイズ・パラメーターをエディットしたプリセット。自分で作成することもできます）を選ぶことができ、その右側には“Volume”、“Wave Rate”（波形のレート）、“Phoneme Speed”（音素の速さ）といったグローバル・パラメーターを設定することが可能。音声ファイルを選択する“VOICE”メニューは、現在は『Daisy』のみが選べるようになっています。
そしてグローバル・パラメーターの下部には、“WORDS”、“CONTROLS”、“MODULATION”、“MIX”、“ABOUT”という5つのタブが並び、歌詞は“WORDS”タブで入力します。
歌詞を入力するためのテキスト・ボックスは0〜127で128個用意されており、ここに任意の短文を入力します。英語のほか日本語でも入力することができ（しっかりインライン変換に対応しています）、拡張SAM音声記号のX-SAMPA方式でも入力することが可能。そして「Alter/Ego」にMIDIノートを入力すると、選択されているテキスト・ボックスの文章が、音節単位で発音されます。例えば、『どみそ』と入力してあるテキスト・ボックスが選ばれている状態で、MIDIノート“C”、“E”、“G”を入力すると、『ど（C）〜み（E）〜そ（G）〜』と発音されます。そして128個のテキスト・ボックスは、マウス・クリックだけでなく、MIDIコントロール・チェンジ #2でDAWソフトウェア側から選択することもできます。
テキスト・エディターの機能はなかなか充実しており、テキスト・ボックスに入力した歌詞を上下のテキスト・ボックスに移動する“MOVE UP／MOVE DOWN”のほか、“COPY”、“PASTE”、“UNDO”といったボタンを装備。そしてテキスト・ボックスに入力した歌詞は、プリセットとして保存することも可能です（“PRESET”メニューには、『Daisy Bell』や『さくら』といったファクトリー・プリセットも用意されています）。
“CONTROLS”タブでは、「Alter/Ego（chipspeech）」の大きな特徴であるシンセサイズ・パラメーターをエディット可能。このパラメーターによって音色を細かくエディットすることが可能で、またそのすべてがMIDIコントロール・チェンジにも対応しています。
そのさらに右側の“MODULATION”タブでは、ビブラートやエクスプレッション、ヒューマナイズといった歌唱に関するパラメーターをエディットすることが可能。また“MIX”タブには、残響を付加する“Ambience”や、ケロケロ・ボイスを作ることができる“Detune”といったパラメーターが用意されています。
無償とは思えない、かなり本格的な歌声シンセサイザーである「Alter/Ego」。Mac／Windows両対応で、VST／AU／RTAS／AAXの各フォーマットをサポートしているほか、スタンドアローン版も用意されています。ヴィンテージ・コンピューターのような歌声が欲しい方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。
