MUSIKTECHNIK

NAMM 2015: Tiptop Audioが復刻Serge Modularをお披露目! Eurorackフォーマットで蘇る’70sモジュラー・シンセサイザー

2015年1月22日(木)から25日(日)にかけて、アメリカ・カリフォルニア州のアナハイム・コンベンション・センター(Anaheim Convention Center)で開催された世界最大規模の楽器の展示会、『The NAMM Show 2015』。今年もメーカー各社から多数の新製品が発表されましたが、中でもシンセサイザー系は例年以上に注目製品が多かったような気がします。コルグ ARP ODYSSEY、ローランド JD-XiJD-XA、Dave Smith Instruments Sequential Prophet-6、Moog Music Moog Modular、各社Eurorackモジュール……。いずれも発売が楽しみな製品ばかりです。

その中でもICON的に注目だったのは、Tiptop Audioがお披露目した「Serge Modular for Eurorack」です。Tiptop Audioは約2年前に、Serge ModularのEurorackフォーマットでの復刻に取り組んでいることをアナウンスしていましたが、いつかのモジュールのプロト・タイプが遂に完成。今回、デモンストレーションを行っていました。

Serge Modularは、作曲家のサージ・チェレプニン(Serge Tcherepnin)が1970年代に開発したモジュラー・シンセサイザーで、タッチ・センシティブ・キーボードやウェーブ・マルチプライヤーといったユニークなモジュールが用意されているほか、パッチ・ケーブルにバナナ・プラグが採用されているのが主な特徴。欧米の電子音楽家を中心にとても人気のあるモジュラー・シンセサイザーで、日本でもヤン富田さんやモーリー・ロバートソンさんといった方々に愛用されています。生産は1986年に一度終了しますが、1990年代に再びオーダーが可能となり、現在はまた入手困難となっているようです。

Image by wayne marshall via Flickr

今回お披露目されたのは、「Smooth & Stepped Generator」と、Serge Modular後期に追加されたモジュール「Wilson Analog Delay」の2つ。いずれも実機のルックスそのままに、Eurorackフォーマットに落とし込まれていました。

Smooth & Stepped Generator

Wilson Analog Delay

Tiptop Audio グル・ミルスタイン氏インタビュー

——— なぜSerge ModularをEurorackフォーマットで復刻しようと思ったのですか?

GM Serge Modularは素晴らしいシンセサイザーだが、今では手に入れるのが難しいし、それが現代のフォーマットで使えたらいいんじゃないかと思ったんだ。ぼくもSerge Modularの大ファンだしね。

——— ミルスタインさんはSerge Modularを持っているんですか?

GM いくつかのモジュールだけね。周りでは持っているヤツが何人かいるよ。

——— どうやって復刻まで漕ぎ着けたのですか?

GM ちゃんとSergeに許諾を得て、設計図もすべて入手した。できるだけオリジナルに忠実の復刻を目指している。

——— Serge Modularの魅力と言うと?

GM やっぱりモジュールが凄く変わっているよね。あまり大きな声では言えないけれど、Make Noiseの変態的なモジュールは、Serge Modularからアイディアを得ているんだ。たとえばMATHSとかね。気づいている人は気づいていると思うけど。

——— 今回は「Smooth & Stepped Generator」と「Wilson Analog Delay」、2種類のモジュールが展示されています。

GM 今は「Dual Slope Generator」の開発を行っているし、他のモジュールにも順次取り組む予定。時間はかかると思うけど、すべてのモジュールを復刻したいと思っている。

——— 発売時期は?

GM なるべく早い時期に発売したいけど未定だね。価格もまだ決まっていない。

Tiptop Audioのオーナー、グル・ミルスタイン(Gur Milstein)氏