NAMM Show 2012
NAMM: Antares、楽器組み込み用にAuto-TuneをDSPカード化
先日のNAMMショーでは、Peavey社やParker社といったメーカーがAuto-Tune機能を備えたギターを出品していました。これはAntares社が新たに開発した「Auto-Tune for Guitar」というDSPカードをギターに内蔵することによって実現しています。
名刺大サイズの「Auto-Tune for Guitar」には、以下のような機能が備わっています。
● オート・チューニング
ボタンやフット・スイッチといった外部トリガーによって、ギターの各弦のチューニングを瞬時に合わせます。もちろん、ギターそのもののチューニングを合わせるわけではなく、出力音のピッチをデジタル・ドメインで補正するだけですので、他のオート・チューニング・ギターのようにモーターといった機械的な構造を組み込む必要はありません。出力段に名刺大の基板を搭載するだけでオート・チューニング機能を利用できるというのが「Auto-Tune for Guitar」の大きな特徴です。
● “Solid-Tune”テクノロジーによるピッチ補正
「Auto-Tune for Guitar」では、“Solid-Tune”と呼ばれる独自のテクノロジーによって各弦の出力音を常時監視し、ギター特有のピッチの揺れ(指圧やフィンガー・ポジションなどによるピッチの変化)も完璧に補正します。“Solid-Tune”はインテリジェントなテクノロジーなので、ピッチ・ベンドやビブラートといったプレーヤーが意図したピッチの変化には機能しません。
● オルタネート・チューニング
もちろん、オルタネート・チューニングにも対応。スタンダード・チューニングから瞬時に切り替えることができます。
● ギター/ピックアップ・モデリング
「Auto-Tune for Guitar」の機能は、チューニングに関わるものだけではありません。Mic Modなどで定評のあるモデリング・テクノロジーにより、ギターやピックアップの特性をモデリングする機能も搭載しています。
気になるのは処理によるレーテンシーですが、Antares社は「極小レーテンシーなので、プレーヤーはこれまでどおり演奏することができる」と言っています。
また、「Auto-Tune for Guitar」にはMIDI入力も備わっており、外部からピッチをコントロールすることも可能になっています。このMIDI入力は、ファームウェアの更新時にも用いられるようで、将来的に機能が追加された際はスタンダードMIDIファイルとして提供されるとのことです。
「Auto-Tune for Guitar」を内蔵したPeavey社/Parker社のギターは、本年半ばにはリリースされるとのこと。ピッチが不安定なアナログ・シンセを所有している人の中には、ぜひ内蔵したいと思った人もいるのではないでしょうか……(笑)。
Antares: Auto-Tune for Guitar