NAMM Show 2012

NAMM: Line 6初のデジタル・ミキサーのUIが、凄まじく未来的な件

今回のNAMMで発表された新製品で、ウラのMVPは密かにコレかなと思っております……。Line 6初のデジタル・ミキサー、「StageScape M20d」です!

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デジタル・ワイヤレス製品が好評のLine 6社は今回、SR市場により本格的にコミットするべく、新たに2つの製品ラインを発表しました。1つは「StageSource」と呼ばれるパワード・スピーカーで、もう1つは「StageScape」と名付けられたSR用のデジタル・ミキサー。DSPを搭載した「StageSource」も凄いですが、特に注目なのはデジタル・ミキサーの「StageScape」の方で、相当ヤバい仕上がりになっています。

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何がヤバいって、まずはその外観を見てください。標準的なフェーダーが搭載されておらず、その代わりに大型のタッチ・パネルが備わっているのです。ユーザーはどのようにミックスを行うかというと、タッチ・パネルに触れて(必要に応じて下部のエンコーダーや、脇のダイアルを併用して)ミックスを行います。「なんだ、従来のミキサーのサーフェースがタッチ・パネルに置き換わっただけか……」と思った方、そうではありません。タッチ・パネルが採用されているのには相応の理由があり、数多く搭載されたインテリジェントな機能によって、ミックスに不慣れな人でも素晴らしいサウンドが得られるように設計されているのです。Line 6はこのインテリジェントなミキサーを“スマート・ミキサー”と称しています。

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それでは何がインテリジェントなのか、簡単に紹介することにしましょう。まず、上部の入出力部にはXLRのコンボ入力が12ch備わっているのですが、ここにXLRケーブルを挿すとタッチ・パネルにはマイク・スタンドが表示され、フォーン・ケーブルを挿すと楽器が表示されます。入力ゲインに関しては、オート・センシング機能によって、一定時間信号を入力すれば自動的に調整が完了。そしてもし接続したのが楽器だったら、下のアイコンの中から接続した楽器(たとえばエレクトリック・ギター)を選択すれば、入力信号の処理(EQ/ダイナミクス)がその楽器に合わせて最適化されるのです。ハウリングが発生しやすい楽器のために、フィードバック・サプレッサーも搭載しています。

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接続したマイク/楽器をすべてアイコン化した後は、タッチ・パネルを操作して定位を決めます。ギターを上手に配したい場合は、ギターのアイコンを指先で右側にドラッグするだけ。もちろん左右だけでなく、前後にも動かすことができます。EQやダイナミクス処理に関しては、独自のX-Y画面で調整。EQだったらブライト〜ダークといった感じで、指先だけで簡単に望んだ音色にすることができます。もちろん、従来のEQのような画面で操作することも可能で、その場合も指先で操作できるので非常に快適です。

……と、稚拙な文章で説明してきましたが、たぶん上手く伝わっていないと思いますので、その操作を撮影したビデオをご覧ください。

どうです? なかなか凄くありませんか? 従来のミキサー&アウトボードとはまったく異なるインターフェースは非常に革新的で、ちょこっと触っただけでも「うわ、これはオレでもまともなミックスができそうだ」と感じさせてくれます。Line 6としては、ミックスに慣れてないバンド・マンのツアーリング用途や設備音響(教会など)をターゲットにしているようですが、この“スマート・ミックス”はスタジオでも威力を発揮しそうです。開発の中心メンバーであるLine 6の副社長、サイモン・ジョーンズさんにそのことを伝えてみたところ、「とりあえず現在のターゲットはSR市場で、その後の展開は今後の話」との答えが返ってきました。タッチ・パネルに表示される文字の2バイト化(日本語化)も検討しているという「StageScape」。まさに「未来のミキサー」遂に現るといった感じです。

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Line 6: StageScape M20d

http://jp.line6.com/stagescape-m20d/