MUSIKTECHNIK

スクリプトを使い、DAW上でオリジナルのエフェクトやシンセを開発できるユニークなプラグイン、Blue Cat Audio「Plug’n Script」が販売開始

フランスのプラグイン・デベロッパー、Blue Cat Audioが、新製品「Plug’n Script」をリリースしました。「Plug’n Script」は、プラグイン上でスクリプトを記述することによって、オリジナルのエフェクト/MIDIエフェクト/音源を作成することができる、たいへんユニークな製品です。これによりDAWソフトウェアを立ち上げたままで、オリジナルのエフェクト/MIDIエフェクト/音源を素早く、簡単に作成することが可能になります。

Blue Cat Audioによれば、「Plug’n Script」は彼らがプラグインを試作する際に使っていたツールを製品化したものとのことで、Blue Cat Audio製プラグインの多くが「Plug’n Script」によって誕生したとのこと。従って、自分専用のエフェクトや音源を作成したいという人はもちろん、プラグイン/ソフト・シンセ・デベロッパーの“試作用ツール”としても便利な製品と言えるでしょう。

Blue Cat Audio - Plug'n Script

オリジナルのエフェクト/MIDIエフェクト/音源を作成できるということで、難解で敷居の高いプラグインをイメージしてしまいますが、「Plug’n Script」の使い勝手はひじょうにシンプルです。まずはふつうのプラグイン/ソフト音源と同じようにDAWソフトウェア上で起動し、上部の“Select Script”プルダウン・メニューで使用するスクリプトを選択します。「Plug’n Script」には、コンプレッサー/ゲート/トレモロ/エコーといったエフェクトから、ポリ・シンセ/ドローバー・オルガン/FMジェネレーターといった音源にいたるまで、46種類のファクトリー・スクリプトが付属。スクリプトを選べばユーザー・インターフェース/パラメーターも自動的に切り替わり、これだけだったらマルチ・エフェクター/マルチ音源のような感覚で使うことができます。

Blue Cat Audio - Plug'n Script

あらかじめ用意されているファクトリー・スクリプトを選んでいるようす

そしてここからが「Plug’n Script」ならではのフィーチャー。上部の鉛筆マークのボタンをクリックすると、読み込んだスクリプトがOS標準のテキスト・エディタで開くのです。もちろんそのままスクリプトを書き換えることも可能。書き換えたスクリプトは、鉛筆マークの左隣の“Reload Script”ボタンをクリックすることで、改めて読み込むことができます。

Blue Cat Audio - Plug'n Script

スクリプトをテキスト・エディタで表示させたところ

肝心のスクリプトについて、「Plug’n Script」ではAngelScript(バージョン 2.29.0)というプログラミング言語が採用されています。AngelScriptは、もともとビデオ・ゲームのために開発されたプログラミング言語ですが、Blue Cat Audioによればエフェクト/MIDIエフェクト/音源の開発用としてもひじょうに適しているとのこと。C++によく似た構文が特徴で、ネット上には日本語のドキュメントもけっこうあるようです

そして記述されたスクリプトは、実行時コンパイラによって処理されます。Blue Cat Audioによれば、インタプリタ方式ではないため、処理を最適化して実行できるとのことです。

ダイアルなどのユーザー・インターフェースはAngelScriptによって簡単に実装でき、Blue Cat Audio独自のKUML言語を使えばオリジナルのユーザー・インターフェースも実装可能とのこと。パラメーターはもちろんオートメーションにも対応しています。

Blue Cat Audio - Plug'n Script

ちなみに「Plug’n Script」には、エフェクトと音源、2種類のバージョンが用意されています(両方とも自動的にインストールされます)。Blue Cat Audioによれば、この2種類のバージョンにほとんど違いはなく、エフェクト・プラグインと音源プラグインを区別するDAWソフトウェアのために2種類用意されているとのこと。従ってエフェクト・バージョンで音源のスクリプトを読み込む(記述する)ことも可能になっています。

以下、「Plug’n Script」の主な特徴です。

● スクリプトを記述することで、オリジナルのエフェクト/MIDIエフェクト/音源を作成することが可能

● DAWソフトウェアを立ち上げたまま、プラグイン上でスクリプトを記述することが可能

● プログラミング言語としては、C++によく似た構文が特徴のAngelScript(バージョン 2.29.0)を採用

● ユーザー・インターフェースは自動的に実装。Blue Cat Audio独自のKUML言語を使用することで、オリジナルのユーザー・インターフェースを実装させることも可能

● 最大48種類のインプット・パラメーターと32種類のアウトプット・パラメーターを利用可能。MIDIおよびオートメーション・コントロールに完全対応

● 好みのIDEを用いて開発することも可能

● 実行時コンパイラが統合されているため、処理を最適化して実行可能

● 46種類のファクトリー・スクリプトと120種類のファクトリー・プリセットが付属。エフェクト(コンプレッサー、ゲート、トレモロ・エコー、フィルターなど)、MIDIエフェクト、音源、ウェーブフォーム・ジェネレータなどを網羅

● 最大8chのマルチ・チャンネル処理に対応

● アンドゥ/リドゥを利用可能

「Plug’n Script」は、Mac/Windows両対応で、AAX Native/AU/RTAS/VST/DirectXといったプラグイン・フォーマットをサポート。価格はこの類のツールとしてはひじょうに安い99ドル/79ユーロとなっており、2014年10月15日までは発売記念特価として、74ドル/59ユーロで販売されています。