Report
AES 2011: Pro Tools 10&HDXがお披露目された衝撃のAvid発表会レポート
10月20日、AES New York 2011の初日の夜(展示会初日の前夜)、Avidは世界各国のプレス関係者を集めて発表会を行いました。ここではその模様をレポートすることにしましょう。
発表会が行われたのは、Jazz at Lincoln CenterのFrederick P. Rose Hallというセントラル・パーク近くの有名なホール。この晩はクラシックのコンサートか何かが行われていたようで、Jazz at Lincoln Centerのロビーやエレベーターは年配の方でいっぱいでした。
発表会の案内には19時からと書いてあったのですが、実際に始まったのは19時半から。それまでは会場にはBeckやDavid Bowie、Gorillazなどが流れ……。
Avidのエグゼクティブ(女性)が登壇。Avidはビデオ分野はもちろんのこと、オーディオ分野でも引き続き成長しているということを力強くアピールしていました。
次に登壇したのは、恰幅の良いマーケティングの人。
「Pro Toolsは今年、誕生から20周年を迎えました。記念すべき年です」(場内拍手)
「昨年は今晩と同じAES展示会前夜に、Pro Tools 9を発表しました。このバージョンでは、サード・パーティー製のオーディオ・ハードウェアを利用できるようし、Pro Toolsの世界をさらに大きく拡張しました。これによりユーザーはさらに増加し、そのコミュニティはますます広がっています。サード・パーティーにオーディオ・ハードウェアを開放したのは、Pro Toolsの歴史上、ひじょうに大きな出来事でした」
「また、我々はPro Tools|HDシステム用のHDインターフェースも刷新しました。新しいHD I/Oは業界最高品質のAD/DAコンバージョン・クオリティを有しており、柔軟なコンフィギュレーションが可能です」
「それとPro Toolsファミリーの重要な製品ラインであるMboxも新しくなりました。Mboxは、低価格で持ち運びしやすい小型のオーディオ・インターフェースですが、そのクオリティは“Pro Tools品質”です」
「AESの直前には、Pro Tools|HD Nativeという新しい製品もリリースしました。Pro Tools|HD Nativeは、ネイティブ・ベースのDAWシステムでありながら低レーテンシーを実現した画期的な製品です。Pro Tools|HDのほとんどの機能を利用することができます」
「そして本日、我々はPro Toolsの新しいバージョンを発表します。Pro Tools 10です」(場内拍手)
「Pro Tools 10では、50を超える新機能を盛り込み、また数えきれないくらいさまざまな部分が改善されています」
「代表的な新機能としては、クリップごとにゲインを簡単に調整できる“Clip Gain”(Pro Tools 10から、リージョンは“クリップ”という呼称に変わったようです)、Euphonix System 5のチャンネル・ストリップをプラグイン化した“Channel Strip”、フェードをリアルタイムに作成できる“Real time fades”、さらに強化されたEuConサポートなどが挙げられます。その新機能の詳細については、Pro Toolsスペシャリストの×××に紹介してもらいましょう」
そしてPro Toolsスペシャリストの×××氏が登壇。メチャクチャ早口です。
Pro Tools 10の画面。パッと見、9との違いはよく分かりません。
リアルタイム・フェードを実演を交えて解説。詳しくはAvidのWebサイトで……。
複数のAudio Suiteプラグインを同時に立ち上げられるようになったことを紹介。リアルタイム・プラグインと同じように右上にターゲット・ボタンが備わりました。実行できるのは1つのみです。
Pro Tools 10で追加された新プラグイン、“Channel Strip”。Euphonix System 5のチャンネル・ストリップをプラグイン化したものとのこと。何千万円もする業務用デジタル・コンソールのチャンネル・ストリップを、Pro Tools 10ならばCPUパワーが許す限り使えてしまうわけです。それは凄い……。
「Pro Tools 10の価格は$699からで、旧バージョンからのアップグレードは$299です。本日、リリースを開始します」(場内拍手)
「もちろん、Pro Tools HD10だけに備わっている機能もあります。その代表的なものとしては、より拡張されたディスク・キャッシュ、Satellite Linkで同期できるシステムが最大12台に、複数のD-Commandを接続できる“D-Command Multimode”、より強化された“Clip Gain”、トラック数の増加……などが挙げられます」
衝撃の後半戦に続く……。