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Musikmesse: アナログ・アウトボードの正確なリコールを補助するユニークなシステム、McMilad「McRecall」

年々、ガレージ・メーカーの出展数が減少している印象のMusikmesseですが、会場をくまなく回っているとヘンテコなモノに出くわします。今回見つけた「McRecall」もそのひとつ。アラブ首長国連邦のMcMiladという会社が開発した「McRecall」は、アナログ・アウトボードやアナログ・コンソールの正確なリコールを“補助”する、たいへんユニークな(笑える)システムです。

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これまで、アナログ機器の設定をリコールするためには、ノブやフェーダーの位置をメモしておくか、あるいは最近ですと、写真を撮っておいたりするのが一般的でした。しかしどちらの方法も、メモや写真を参照しながら操作子の位置を合わせなければならず、両者を何度も見比べて、ちゃんと同じ位置になっているか確認しなければならなかったのです。これはかなり煩わしい作業だったと言っていいでしょう。

そこでMcMilad社が考えたのが、設定を撮影した写真と、現在の機器を映した映像を高速に切り替えることで、リコールを容易かつ正確に行うという方法です。ヘタな文章では上手く伝わらないと思いますので、まずは下のムービーをご覧ください。

高速に切り替わっているのは、設定を撮影した写真と、現在の機器を映した映像です。両者のノブの位置が異なっているため、最初はパラパラ漫画のような映像になっていますが、ノブの位置を合わせることで、次第に動きが無くなっていくことが分かると思います。このように「McRecall」を使用することで、かなり正確に設定をリコールすることが可能になるというわけです。

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「McRecall」は、USBカメラが取り付けられたラックマウント用の可動式アームと、専用ソフトウェアのセットで動作します。可動式アームは、最大14Uの範囲で自由に動かすことができ、アウトボードのフロント・パネルを真正面から撮影することが可能になっています。この可動式アームによって、設定撮影時とリコール時で、USBカメラの位置を正確に揃えることが可能になっているのです。

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使い方は簡単で、設定を保存するときは、アームを任意のアウトボードの前に動かし、専用のソフトウェアで撮影。そしてリコールする際は、再度アームをアウトボードの前に動かし、専用ソフトウェアによって設定撮影時の写真と現在の映像を高速に切り替えます。あとはコンピューターの画面を見ながら操作子を動かせば、リコールは完了というわけです。

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McMilad社のディレクターであるモハブ・ミラッド(Mohab Milad)氏によれば、「一見原始的な方法のようだが、アナログ機材をリコールするにはこの方法がベストじゃないかな。このシステムの肝となっているのは可動式のアームで、これによって正確なリコールが可能になっている」とのこと。価格は約1,000ドルからとのことで、特注で14U以上のラックやミキシング・コンソールにも対応するとのことです。既に欧米のスタジオからは、何件か引き合いがあるとのことでした。

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McMilad

http://www.mcmilad.com/