Developer Interview

IK Multimedia ダビデ・バルビ氏インタビュー(2011/10)

iOSデバイス用のギター/インストゥルメント・インターフェース、“iRig”が世界的な大ヒットを記録しているIK Multimedia。その後も“iKlip”や“iRig Mic”など、iOSデバイス用のユニークな製品を続々とリリースし、今やiPhone/iPadユーザーの間でも知られたブランドのひとつとなりました。先日出荷が開始されたiOSデバイス用MIDIインターフェース“iRig MIDI”も、iPhone/iPod touch版SampleTankと共に大好評のようで、その勢いはとどまるところを知りません。

ただ、iOSデバイス関連製品に注力している姿を見ると、DAWユーザーとしては少し寂しくもあります。長いこと噂されているSampleTank 3はいっこうに出る様子がありませんし、その昔アナウンスされていたT-RackS TDMはどこに行ってしまったのやら……。というかそれ以前に、新しいAAXには対応してくれるのでしょうか? 先日のAES New York 2011には、IK Multimediaは出展していなかったので、確認することができませんでした。そこで同社のCTO(最高技術責任者)であるダビデ・バルビ(Davide Barbi)氏に、AAX対応についてメールで質問してみました。

IK_Multimedia_Davide_Barbi

——— IK Multimediaは、AmpliTubeやT-RackSといったTDM/RTASプラグインに関して、AAX版をリリースする予定はありますか?

DB 前向きに検討しています。ただ、リリースは早くても2012年以降になると思います。

——— TDM版もあるARC Systemは、AAX DSP対応でリリースしますか?

DB ARC Systemに関しては、バージョン2の開発予定があります。ですので、そのときのアップグレード時に、AAX DSPに対応するかどうか総合的に判断したいと思っています。ARC System 2のリリース時期は、現時点では未定です。

——— IK Multimediaは以前、T-RackS TDMのリリースをアナウンスしていかと思います。T-RackSやClassik Studio Reverb(CSR)がAAX DSPに対応する可能性はありますか?

DB AAXの仕様については、我々はまだ詳細を把握している段階です。ただ、AAX DSPは浮動小数点処理とのことなので、その開発にあたっては、AAX Nativeプラグインからの応用が利きそうな印象です。もし容易に開発できるのなら、ぜひとも検討したいですね。

——— Avidがこのタイミングで新しいプラグイン・フォーマットを導入したことに関しては、どのような印象をお持ちですか?

DB 総合的に見て、素晴らしい判断だったと思います。ネイティブ版とDSP版の開発環境が近くなるのは、我々デベロッパーにとって大変喜ばしいことです。AAXへの移行は、長い目で見ればユーザーにとっても大きな恩恵があるでしょう。

——— 新しいPro Tools 10に関しては?

DB 現在、既存のTDM/RTASプラグインが問題なく動作するかテストを繰り返しているのですが、今のところ問題は見つかっていません。逆に8コア以上のCPUを積んだMacでは、インストゥルメント・プラグインの動作がPro Tools 9と比べて軽快になった印象があります。

Special Thanks to IK Multimedia Asia