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Steinberg、Cubaseの新バージョン「Cubase 9」を発表! サンプラーを統合した『サンプラートラック』を搭載、1枚のウィンドウでほとんどの操作が行える新UIを採用

Steinbergが、DAWソフトウェア Cubaseの新バージョン、「Cubase 9」を発表! オンライン・ショップでは、アップデート版/アップグレード版のダウンロード販売を開始しています。

Steinberg Cubase 9

昨年末にリリースされたCubase 8.5から約1年、Cubaseの新バージョン「Cubase 9」がデビューを果たしました。Steinbergが「Cubase 9」開発にあたって掲げたテーマは、“考えうる最高の音楽制作環境の実現”。前バージョンのCubase 8.5では、ユーザーから要望が多かった機能の実装が主題だったとのことですが、「Cubase 9」では今一度Cubaseのメイン・アプリケーションである”音楽制作”に焦点を当て、現代のプロダクションに則したワークフローを実現するべく、多くの箇所をブラッシュ・アップしたとのことです。

それでは「Cubase 9」の新機能を一つ一つ見ていくことにしましょう。

1:シングル・ウィンドウでほとんどの操作を行うことができる、新デザインのユーザー・インターフェース

Steinberg Cubase 9

まず「Cubase 9」では、ユーザー・インターフェースが刷新されました。“シングル・ウィンドウ/フル・スクリーン表示”というモダン・アプリケーションのUIトレンドに従って、作業の中心となるプロジェクト・ウィンドウを再設計。1枚のウィンドウの中でほとんどの操作が行えるようになりました。具体的にはプロジェクト・ウィンドウの下部に、MixConsole、各種エディター(選択したパートのサンプル・エディターやキー・エディター)、サンプラーコントロール(後述)、コードパッドなどを統合。同時にウィンドウ右側には、VSTインストゥルメント・ラックやMediaBayを表示できるようになり、複数のウィンドウを行き来することなく、シームレスに作業を行うことが可能になりました。録音〜編集〜ミックスが1枚のウィンドウで完結してしまう新しいユーザー・インターフェースは、きっと多くのユーザーに歓迎されるのではないでしょうか。特に高解像度ディスプレイを搭載したラップトップPCでは、かなり威力を発揮しそうです。

2:サンプラーが統合された新しいタイプのトラック、『サンプラートラック』を搭載

Steinberg Cubase 9

そして「Cubase 9」では、これが目玉の機能になるのかもしれません。「Cubase 9」では、オーディオトラックやMIDIトラックとは異なる新しいタイプのトラック、『サンプラートラック』を搭載。『サンプラートラック』は、その名のとおりサンプラーが統合(!)されたMIDIトラックで、読み込んだサンプルに音階を付けてトリガーしたり、フィルターをかけたりといったことが簡単に行えます。

『サンプラートラック』に統合されているサンプラーは、とてもシンプルで、読み込めるサンプルも1本の『サンプラートラック』につき1つのみ。複数のサンプルを読み込んで、キー・ゾーンにマッピングしたりすることはできません。しかしながら、ピッチを変化させても長さを保持することができる“AudioWarp”や、マルチモード・フィルターといった機能を備え、なかなか使いでのある仕様になっています。

『サンプラートラック』のサンプラーのパラメーターは、プロジェクト・ウィンドウ下部に統合されたサンプラーコントロール・タブでエディットします。上段の波形表示では、読み込んだサンプルの再生範囲を指定したり、ループ・ポイントを設定したりすることが可能。下段では、“AudioWarp”やピッチ、マルチモード・フィルター、アンプの各パラメーターを設定することができます。

Steinberg Cubase 9

サンプラーで注目の機能は、何と言ってもマルチモード・フィルター。“TYPE”パラメーターでは、Tube/Classic/Clip/Bit Red/Rate/Rate KFという6種類のフィルター・タイプを、“SHAPE”パラメーターでは、ローパス/バンドパス/ハイパスといったフィルター・モードおよびポール数を24種類の中から選択することが可能。連続可変の“DRIVE”パラメーターでは、入力音をサチュレートさせることもでき、かなり幅の広い音作りが可能になっています。

Steinberg - Cubase 9

『サンプラートラック』の設定は、もちろんトラック・ファイルとして書き出すことができるので、別のプロジェクトでも使い回すことが可能(オーディオ・データはトラック・ファイルには内包されず、ロケーション情報のみが記録されます。従って別のプロジェクトで利用する場合は、オーディオ・ファイルの取り扱いに注意する必要があります)。また、すべての設定をHALionやGroove Agent/Groove Agent SEに転送できるので、まずは『サンプラートラック』を使用し、細かいエディットが必要になったら高機能サンプラーに移行する…… といった使い方も可能です。

Steinberg Cubase 9

ボーカルや生楽器など、オーディオ・トラック上の長尺のデータをMIDIでトリガーしたい、あるいはフィルタリングしたいと思うことはよくあると思いますが、サンプラーを立ち上げて、そこにファイルを読み込んで…… といった操作は意外と煩わしいもの。しかし『サンプラートラック』を使えば、瞬時にサンプルをMIDIでトリガーすることができます。複数サンプルのマッピング/レイヤリングこそできませんが、ピッチを付けられてループ再生もでき、フィルターもかけられるので、自分のサンプルを鳴らすためのサンプラーはこれでOKという人は結構多いのではないでしょうか。なお、『サンプラートラック』の搭載に合わせて、「Caleidoscope」と呼ばれる専用ライブラリー(数百のサンプルとプリセットで構成)もバンドルされるとのことです。

3:変更履歴が記録され、いつでも前の状態に戻ることができるMixConsole

Steinberg - Cubase 9

『サンプラートラック』と比べると地味ですが、多くの人に喜ばれそうな新機能がMixConsoleの変更履歴(History)機能です(Pro/Artistのみ)。「Cubase 9」でのMixConsoleの操作は、プロジェクトの編集履歴などとは独立した形で、独自の変更履歴として記録されます。変更履歴はMixConsoleの“History”タブにリストとして表示され、いつでも以前の状態に戻ることが可能。“History”タブには、フェーダーの微妙な上げ下げからプラグインのエディットに至るまで、MixConsole上での操作が詳細に記録されているため、ミックスを思う存分追い込むことができます。これはかなり有用な機能と言っていいでしょう。

4:最大10トラック作成できるマーカー・トラック

プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、マーカーの役割が重要になってきますが、「Cubase 9」ではマーカート・ラックを最大10トラック作成できるようになりました(Proのみ)。これによって、“編集時マーカー”、“書き出し時マーカー”など、用途に合わせてマーカー・トラックを使い分けることが可能に。これもMixConsoleの変更履歴同様、とても実用的な機能と言えます。

5:“音楽的”なEQ処理を実現する新プラグイン『Frequency』

Steinberg - Cubase 9

もちろん「Cubase 9」では、プラグインも強化されています。中でも大注目なのが、新開発のEQプラグイン、『Frequency』(Proのみ)。『Frequency』 は、8バンド/リニア・フェイズ仕様の高品位なEQプラグインですが、最大の特徴は上部に備わったディスプレイにあります。このディスプレイでは、入力音の周波数分布を視覚的に確認できるのですが、横軸のスケールがなんと周波数+鍵盤(!)になっているのです。これにより入力音のピークやディップを、Hz/kHz単位に加えて“ノート・ナンバー”で捉えることができ、例えば楽曲のキーやスケールから外れた帯域を抑えるといったことが簡単に行えるようになります。EQ処理を“音楽的”に行うことができる、とても画期的なプラグインと言っていいでしょう。もちろん、不要であれば鍵盤表示はオフにする(横軸を周波数単位のみにする)こともでき、また流行のM/S処理にも対応しています。

6:新設計されたマキシマイザー・プラグイン『Maximizer』

現代の音楽制作に欠かせないのが、マキシマイザー/ピーク・リミッター・プラグインです。「Cubase 9」では、標準のマキシマイザー/ピーク・リミッター・プラグイン『Maximizer』が全面リニューアル。ユーザー・インターフェースだけでなく内部のアルゴリズムも刷新され、これまで以上に色付けのない自然な処理が可能になりました。“Classic”と“Modern”の2種類のモードが用意されており、楽曲に合った処理を選ぶことができます。

7:より強力になったオートパン・プラグイン『AutoPan』

『Maximizer』だけでなく、標準のオートパン・プラグイン『AutoPan』も強化されました。ユーザー・インターフェースが刷新され、複雑なパンニングも簡単に設定することが可能に。様々なパンニング・シェイプ、同期モード、パノラマ設定が用意され、音場空間のデザインがより柔軟に行えるようになりました。

その他、Brickwall Limiter、Compressor、Expander、Gate、Envelope Shaperといった標準プラグインも、新しい『Maximizer』と『AutoPan』同様、ユーザー・インターフェースが刷新され、パラメーターも全体的にリファインされています。

8:VST 3対応のソフト音源をエフェクトとして活用できる『Audio-Ins』

Cubase 9」では、『Audio-Ins』と呼ばれるソフトウェア・インストゥルメント用の新機能が追加されました(Pro/Artistのみ)。このオプションをオンにすると、サイドチェイン入力を装備したVST 3対応のソフトウェア・インストゥルメントを、エフェクトとして使用することが可能になります。これにより、例えばRetrologueをはじめとするソフト・シンセのフィルターを、フィルター・プラグインとして活用することが可能に。これはかなり使いでのありそうな新機能です。

以上、「Cubase 9」の新機能を紹介しましたが、改善点はこれだけではありません。「Cubase 9」の開発にあたっては、64bit版の開発にリソースを集中したとのことで、64bit環境にいっそう最適化されたとのこと。また、動作に影響を及ぼす可能性のあるプラグインを起動時に自動検出するなど、Cubase 8.5と比べると安定性/信頼性がかなり向上しているもよう。さらには『サンプラートラック』のライブラリー「Caleidoscope」とは別に、400以上のドラム・ループで構成される「Production Grooves」というライブラリーもバンドルされるとのことです。

これまでどおり、Pro/Artist/Elementsの3グレードがラインナップされる「Cubase 9」(後日、AI/LEも登場予定)。パッケージ版の発売日は12月9日(金)で、価格はオープン・プライス、市場想定価格は「Cubase Pro 9」が57,000円(アカデミック版は38,000円)、「Cubase Artist 9」が32,000円(アカデミック版は18,000円)、「Cubase Elements 9」が12,000円(アカデミック版は7,000円)となっています。また、オンライン・ショップでのアップデート版/アップグレード版は本日より販売が開始され、価格はCubase Pro 8.5から「Cubase Pro 9」が10,800円、Cubase Pro 8から「Cubase Pro 9」が21,600円、Cubase 7/7.5から「Cubase Pro 9」が27,000円、Cubase 4〜7から「Cubase Pro 9」が32,400円(価格は変更されることもあるそうなので、最新価格はSteinbergのWebサイトでご確認ください)。また、10月27日(木)以降にライセンスをアクティベーションした人は無償で「Cubase 9」にバージョン・アップできるとのことです。

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