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TBProAudio、最終段のスペクトラム(周波数分布)補正を簡単に行うことができるマスタリング用プラグイン、「sTilt」の無償配布を開始! Mac/Windows両対応

TBProAudioが新開発のプラグイン、「sTilt」の無償配布を開始。非常にシンプルなユーザー・インターフェースで、パッと見スルーしてしまいそうですが、とてもよくできた完成度の高いプラグインです。

TBProAudio - sTilt

マスタリング用(マスター・トラック用)に開発された「sTilt」は、入力信号のスペクトラム(周波数分布)を、指定した周波数(センター周波数)を境に、シーソーのように上げ下げできるプラグイン。これにより、ミックスによって高域あるいは低域に偏ってしまったスペクトラムを、簡単に補正することができます。TBProAudioによれば、リニア・フェイズ仕様のEQを使っても同じように補正することはできるものの、設定にかなり時間がかかってしまうとのこと。「sTilt」を使用すれば、大きなメイン・ノブを上げ下げするだけで、簡単にスペクトラムの偏りを補正することができます。最終段で使用するものですので、位相の変化が気になるところですが、「sTilt」はリニア/ゼロ・フェイズ仕様とのことで、安心してマスタリング/マスター・トラックで使うことができそうです。

sTilt」による処理(音の変化)を表したのが下のグラフです。横軸(f)は周波数、縦軸(A)は音量、“fc”は指定した周波数(センター周波数)を表し、例えば入力信号が“in”のようなスペクトラムだった場合、メイン・ノブを右方向に回すと、出力信号のスペクトラムは赤色の“out”のように変化するというわけです。

TBProAudio - sTilt

sTilt」の処理(音の変化)を表したグラフ

具体的な使用方法としては、耳でモニターして(あるいは「sTilt」の後段にスペクトラム・アナライザーなどをインサートして)、高域が気になればメイン・ノブを左方向に回し、逆に低域が気になればメイン・ノブを右方向に回します。グラフのとおり「sTilt」はシーソーのようにスペクトラムを変化させるため、高域を持ち上げれば(メイン・ノブを右方向に回せば)その分低域は抑えられというのがポイントです(その逆も然り)。

以下、「sTilt」に用意されているパラメーターです。

● Quality:処理の品質を、Low/Eco/Medium/High/Maxの5つから選択します。処理の品質を上げればレーテンシーが増え、CPU負荷も重くなります(レーテンシーは、Lowが768、Ecoが1,536、Mediumが3,072、Highが12,288、Maxが49,155サンプル)。デフォルト値はLowです。

● Center Frequency:シーソーの中心となるセンター周波数を10〜22,000Hzの範囲で設定します。デフォルト値は1,000Hzです。

● Auto Gain:Onにすると、スペクトラムの変化によって(「sTilt」の処理によって)変わってしまった出力ゲインを、入力ゲインと同じ値に補正します。デフォルト値はOffです。

● Clip Protection:Onにすると、スペクトラムの変化によって(「sTilt」の処理によって) クリップが生じた場合、0.0dBSでリミッターをかけます。デフォルト値はOnです。なお左上には、処理後の信号が0.0dBSを超えた場合に点灯するClipインジケーターが備わっています。

● A/B:ボタンを押すと緑色のランプが消え、処理がバイパスされます。

● メイン・ノブ:右方向(+の方向)に回すと、センター周波数よりも高いスペクトラムを持ち上げ、低いスペクトラムを抑えます。逆に左方向(-方向)に回すと、センター周波数よりも低いスペクトラムを持ち上げ、高いスペクトラムを抑えます。メイン・ノブのスロープは、-6dB/Oct〜+6dB/Octとなっています。

sTilt」は、TBProAudioのWebサイトから無償でダウンロードすることが可能。Mac/Windows両対応で、VST/VST3/AU/RTASの各フォーマットをサポートしており(RTAS以外はすべて64bitにも対応)、AAX対応版も現在開発中とのことです。