AES New York 2011

AES: Wavesのミック・オレシュ氏に訊く、AAX対応の本当のところ

気になるWavesのAAXへの対応。昨日、Wavesの上級副社長であるミック・オレシュ(Mick Olesh)さんが言っていた、“Wavesは将来的にもAAXをサポートしない”というコメントをツイートしたところ、大変な反響を呼びました。本当にWavesはAAXをサポートしないのでしょうか? ミックさんに時間を取ってもらい、あらためて(しつこく)確認してみたところ、昨日とは少しニュアンスが違っていました。この感じですと、まだAAX対応への可能性は残っているようです。

——— 昨日のミックさんの“Wavesは絶対にAAXをサポートしない”というコメントをTwitterでツイートしたところ、かなりの反響を呼びました。ですのであらためて、WavesのAAXへの対応について、おしえていただけますか。ミックさんは昨日、ぼくが“将来においても?”と訊いたら、“No”と言い切りました。

MO “Wavesは絶対にAAXをサポートしない”というのは正確ではありません。“現時点においては、WavesはAAXをサポートしない”、これがWavesの公式のコメントです。ご存じのとおり、Pro Tools 10ではTDM、RTAS、そしてAudio Suiteプラグインが問題なく動作します。我々としては、それでPro Tools 10への対応はできていると考えています。

AAXに関しては、来年の第一四半期にもう一度社内で議論する予定です。AAXプラグインの市場の広がりと、ユーザーへの普及度を見極めて、もう一度検討するということですね。

——— ということは、将来的にAAXをサポートする可能性はあるということですか?

MO まだ何も決まっていません。評価中です。WavesのWebサイトには、公式のコメントを掲載しています。

——— Pro Toolsは世界で最も使われているDAWだと思います。Wavesの顧客の多くがPro Toolsユーザーなのにも関わらず、なぜすぐにAAXのサポートを表明できないのでしょうか。

MO Pro Toolsが一番普及しているDAWであることは間違いありません。しかし、組織にはやるべきことの優先順位があります。いま我々が取り組まなければならないのは、64bitサポートです。そして同時に新しいプラグインの開発も行っています。AAXサポートは、その後の検討課題なのです。

——— Avidがいま、このタイミングで新しいプラグイン・フォーマットを導入したことについては、どのような印象をお持ちですか。

MO 彼らは彼らで、いろいろな調査を行った結果、このタイミングになったのでしょう。それ以上の感想はありません。

——— DSPを使うプラグインというのは、今後も残っていくと思いますか?

MO もうかなりの処理がコンピューターだけで行えると思っています。ただ、DSPに頼らなければならない処理というのがあるのも事実です。今後も両者は共存していくのではないでしょうか。

——— 昨日、あるプラグイン・デベロッパーは、“Wavesは250以上のプラグインを抱えているので、AAXや64bitに対応させるのはもの凄いハード・ワークだろう。10種類くらいしかリリースしていないウチでも、こんなに大変なのに”と言っていました。

MO そのとおりですね。64bit対応への作業は、もう2年間やっていますがまだ終わりません。技術者もかなりの数投入しています。

——— 何人くらいですか?

MO プログラマーだけではなく、R&Dのスタッフやテスターもいるので、何人のスタッフが関わっているか私も把握していません。あえて言うまでもありませんが、我々のプラグインはシェルという構造を採用していますので、対応するときは段階的にではなく全プラグイン一気にリリースします。

——— 64bitバージョンはいつリリースされる予定ですか?

MO 来年のなるべく早い時期をターゲットにしています。