Feature

Creators Workspace #1:田辺恵二 〜 ゴスペラーズや古内東子、CHARAなどの作品で知られる気鋭の音楽プロデューサーの自宅スタジオ 〜

by ICON / 2015.12.26 20:00

ゴスペラーズ、古内東子、CHARA、SMAP、AKB48といったアーティストの作品で知られる音楽プロデューサー/作曲家/編曲家の田辺恵二さん( @KG_Tanabe )。編曲家としてレコード大賞の金賞を2度受賞された日本の音楽シーンを代表するクリエイターの一人です。音楽制作を行う人の間では、PreSonus Studio Oneをいち早く使い始めたプロとしても有名で、同DAWを使うユーザーからは“会長”の呼び名で親しまれています。

そんな田辺さんの創作の拠点となるのが、自宅の一室に設けられたプライベート・スタジオ、“St100kg”です。田辺さんが最初に作業場を構えたのは1996年のことで、現在のスタジオは2013年、自宅の引っ越しを機に新設されました。戸建の一般住宅の1室に設けられた“St100kg”ですが、専門の業者が施工を手がけた本格的なスタジオとなっており、メインの作業スペースだけでなく、レコーディング・ブースも用意されています。

Keiji Tanabe Interview
作業場として防音のマンションを借りていたこともあったんですが、移動が不便だったので、自宅の引っ越しを機に家の中にスタジオを造ることにしたんです。スタジオというからには、ある程度の音を出せてボーカルくらいは録れないとダメだなと思い、専門の業者にお願いして工事してもらいました。こういうスタジオを持って改めて思うのは、24時間いつでも作業できるのはやっぱり便利だなということ。ちなみに“St100kg”という名前は、スタジオの中に自分(恵二=kg)が100人いたらいいなという思いで付けました(笑)。

スタジオの核となるのはPreSonusのDAWソフトウェア、Studio Oneで、Apple MacBook Pro 15インチ Retinaディスプレイモデル(Late 2013)で使用。Studio Oneに関してはバージョン1から使い始め、バージョン2から本格的に作業に投入したとのことです。

Keiji Tanabe Interview
DAWソフトウェアはMOTU Performerから始まって、高価なDigidesign Pro Tools TDMシステムやEmagic Logic、Steinberg Cubase、Ableton Liveとひととおり使ってきましたが、ここ数年はStudio Oneを愛用しています。Studio Oneは、シンプルな操作性とクリアな音質が良いですね。他のDAWソフトウェアのようにゴチャゴチャと機能が付いてないですし、みんな言いますが本当に音がいい。ぼくのようなJ-POPの仕事をしている人間にとっては、Celemony Melodyneが統合されているのも便利ですね。Studio One上ですぐにボーカルを修正することができますから。コンピューターにMacBook Proを使っているのは、どこでも作業できるように自分の環境を持ち運べるようにしておきたいからです。

Studio Oneの入出力となるオーディオ・インターフェースは、RME Fireface UFXを愛用。オーディオ・インターフェースに関しても、Digidesignの初代Audiomediaに始まり、同 Audiomedia II、同 Audiomedia III、コルグ 1212 I/O、Digidesign 888 I/O、同 888|24 I/O、MOTU 2408、同 2408mkII、同 896、同 896HD、Apogee Rosetta 200と、多くの機種を買い替えてきたという田辺さんですが、現在愛用のFireface UFXは、色付けの少ない音質がとても気に入っていると語ります。

Keiji Tanabe Interview
Fireface UFXは、色付けの少ないストレートな音質で、ダイナミック・レンジがとても広いんです。また、こういうプライベート・スタジオではモニター・コントロール機能が充実しているのも便利で、ボリュームやスピーカーの切り替えを(専用のリモート・コントローラーである)Advanced Remote Controlで操作できるのもいいですね。出先ではコンピューターを接続せずに、単体でUSBメモリにレコーディングできるDURec機能も重宝しています。

メインの作業デスクと右側の機材棚は、ルミナスという国産メーカーのメタル・ラックで構築されています。MacBook Proは普段、クラムシェル・モード(画面を閉じたモード)で使用され、Apple Thunderbolt Display(27インチフラットパネル)とI/Oデータの液晶ディスプレイ(24インチ)を接続。2台のモニター・ディスプレイは、上下にレイアウトされています。

Keiji Tanabe Interview
縦に並べているのは、これくらいのモニター・ディスプレイを横に並べると、スピーカーの間隔が広がりすぎてしまうから。ただ、普段は下のディスプレイ(Apple Thunderbolt Display)だけで作業していて、上のディスプレイは歌詞を表示させたりDVDの鑑賞用に使うことが多いですね。

ルミナスの引き出しラックに置かれているマスター・キーボードはM-Audio ProKeys Sono 61で、Thunderbolt Displayの手前にはUniversal Audio Apollo Twin(Duoモデル)、PreSonus FaderPort、先述のRME Advanced Remote ControlIK Multimedia iRig Padsといったコントローラー類が置かれています。

Keiji Tanabe Interview
Apollo Twinは、オーディオ・インターフェースとしてではなく、UADプラグインを使うためのDSPユニットとして使用しています。FaderPortStudio Oneのコントロール用で、iRig Padsはドラムなどを打ち込む際に使用しているんですが、外でパフォーマンスを行うときにも持ち出していますね。

メインのモニター・スピーカーはPreSonus Sceptre S6で、サブ・スピーカーとしてOlasonic TW-D7IPも併用。Sceptre S6は同軸のアクティブ・スピーカーですが、試聴して即導入を決めたとのことです。

Keiji Tanabe Interview
何気なく試聴したら凄く良かったので即導入を決めました。定位の良さと中高域の伸びは同軸のスピーカーならではのものだと思います。少々高価ですが、このスピーカーは本当にオススメですね。

作業デスク右側に用意されたブースは、主にボーカルのレコーディングで使用されるとのこと。ボーカル収録時の基本セットアップは、マイクがAKG C214、マイク・ケーブルがMonster Studio Pro 1000、マイク・プリアンプがChameleon Labs 7602 ZAOLLA、リミッターがShinya’s Studio 1U76 Rev.Dという組み合わでで、Fireface UFXのライン入力からレコーディング。一方、音源やエフェクト類はすべてプラグインで、FXpansion BFDNative Instruments Kontaktといった負荷の重い音源はVienna Ensemble Proに立ち上げて使用されるとのことです。

Keiji Tanabe Interview
気になるものはすぐに買ってしまうので、MacBook Proの中には大量のプラグインが入っているんですが、中でもよく使う音源はModartt PianoteqCredland Audio BigKickBFDKontaktTAL NoiseMaker(フリー・プラグイン)といったところ。エフェクトはOverloud BreverbIK Multimedia AmpliTube CS、同 T-RackS CSWaves H-DelayUniversal Audio EMT 140、同 Lexicon 224などを愛用しています。

多くのアーティストのプロデュースを同時進行で手がけ、多忙な毎日を送る田辺さん。最後に最近の仕事で気に入っている作品を5枚挙げていただきました。

Keiji Tanabe Interview
CHARA『Jewel』、Rev. from DVL『ドキドキ☆告白ダッシュ』、さくら学院『さよなら涙』、放課後プリンセス『Dream door』、Function6ch『Hi!!!!!!』といったところでしょうか。ぜひみなさん聴いてみてください。

田辺恵二さん、お忙しいところありがとうございました!(田辺恵二さんのインタビュー記事は、エムアイセブンジャパンのWebサイトにも掲載されていますので、そちらもぜひどうぞ)

Keiji Tanabe Interview